弁護士の退職代行の費用:基本料金と成功報酬・追加費用の確かめ方
弁護士の退職代行の費用は、帝国データバンクの調査(2025年10月配信)にある**弁護士法人の最低料金の平均は、一番小さな内容のプランの価格で、総額ではありません。**全国共通の料金表はなく、大阪弁護士会の相談センターも、弁護士費用は個々の弁護士が報酬基準を設けているので依頼する弁護士に直接問い合わせるよう案内しています。平均の数字の読み方と、見積りで何を確かめれば総額が見えるかを順に示します。結論は、「通知だけ」か「交渉まで含むか」で費用の形が変わるので、自分の希望を言葉にしてから見積りをもらう、ということです。
平均の数字は「最低料金」:総額ではない
退職代行の費用の数字として公に出ているのは、帝国データバンクが2025年10月24日に配信した調査です。主な退職代行の事業者として全国に少なくとも52法人を数え、各社の「最低料金(着手金などを含む、正社員、税込)」の平均を出しています。
調査では、弁護士法人の最低料金の平均が民間経営より高い傾向でした。平均の具体的な金額は退職代行の金額の目安:運営形態別の平均と料金に含まれるものに1か所でまとめています。ただし、この数字は一番小さな内容のプランの価格です。調査の説明では、サービスは「退職の意向を電話で伝えるだけ」のものから、有給休暇の取得の交渉や貸与品の返却をオプションで付けるものまで様々とされています。有給の交渉や未払い賃金の請求を入れると、平均の数字より上がる前提で考えます。平均で安いと感じた金額を、そのまま自分の総額と思い込まないことが大切です。
なお、調査に書かれていない点(弁護士法人の料金の幅、追加料金の金額、後払いや返金保証の有無)は、この記事でも数字にしません。事務所ごとの料金表で確かめます。
費用の項目と、退職代行での意味
見積りに出てくる言葉は、法律事務所ごとに少しずつ違います。次の表で、退職代行で何に当たるかをそろえておきます。
| 項目 | 退職代行での意味 | 見積りで聞くこと |
|---|---|---|
| 基本料金(着手金) | 退職の通知など、受けた時点で払う費用 | 通知だけか、会社とのやり取りを含むか |
| 成功報酬(報酬金) | 有給の取得や未払い賃金の回収など、成果に応じて払う費用 | 何が起きたら発生し、どう計算するか |
| 実費 | 郵送料、内容証明の費用、交通費など | 前払いか、実際にかかった分の精算か |
| 日当 | 出張や出頭の拘束時間への費用 | 退職代行の範囲で発生し得るか |
| オプション | 夜間対応、書類の請求の代行など | 基本料金に入っているか |
「基本料金」と「成功報酬」の線引きが、総額の差になりやすいところです。通知を出すだけなら成果の計算はなく、基本料金だけで終わる設計もあります。逆に、会社と有給の日数や未払い賃金で話し合う設計では、基本料金のほかに成功報酬が付くことがあります。
成功報酬は「場面」で聞く
「成功報酬はいくらですか」という聞き方だと、答えが抽象的になります。自分に起こり得る場面を3つに分けて、場面ごとに総額を書いてもらうと見積りが具体的になります。
- 退職の通知だけで終わった場合:基本料金のほかに払うものはあるか
- 有給を使って退職日まで出社しない形になった場合:有給の日数に応じた報酬は発生するか。発生するなら何で計算するか
- 未払い賃金や残業代の請求が必要になった場合:回収できた金額に割合で報酬が付くのか、定額なのか、回収できなかったときは払うのか
文例:「退職の通知だけで終わった場合、有給の交渉が入った場合、未払い賃金の請求が入った場合のそれぞれで、合計いくらになるか見積書に書いていただけますか。」
回収できたかどうかが報酬に関わる場面では、結果は交渉の経過で変わります。広告の言い回しが結果を言い切っていないかも、同時に見ておきます。景品表示法第5条は、内容について実際より著しく優良、または取引条件について実際より著しく有利と誤認される表示を禁じています。「安い」「追加費用なし」と書いてある場合は、何と比べた安さか、どこまでが基本料金かを書面で聞いて確かめます。
申込み前に確かめる5項目と、解約のときの精算
見積りの項目が出そろったら、次の5つを確かめます。
- 誰が契約の相手か:弁護士・弁護士法人か、民間企業が受付をしているのか。弁護士法第74条は、弁護士でない者が弁護士や法律事務所を名乗ることを禁じています。運営者の確かめ方は弁護士の退職代行でできること:未払い賃金・有給の交渉が要る場合にまとめています。
- 費用を払う相手は誰か:振込先の名義が、契約書の当事者と同じかを見ます。
- 見積りと委任契約書の金額が同じか:口頭の説明だけで決めず、書面で一致を確かめます。
- 支払いの時期と方法:一括か分割か、後払いの条件があるか。条件の読み方は退職代行の後払いとは?お金がないときに先に確かめる支払い条件で扱います。
- 解約と精算:途中でやめたときの費用がどうなるか。
5つ目の根拠として、民法第651条は委任をいつでも解除できると定め(相手に不利な時期の解除は損害賠償を問われることがあります)、第648条3項は委任が履行の途中で終了したときに既にした履行の割合に応じて報酬を請求できると定めています。いくらを返し、いくらを精算するかは契約の文面で決まるので、署名の前に該当箇所を読んでおきます。
比較表を作る:空欄を埋めて並べる
見積りを2〜3か所からもらったら、次のように同じ形の表に書き写して並べます。金額は見積書のとおりに書き、空欄のまま残る項目は聞き返す項目です。
| 項目 | A事務所 | B事務所 |
|---|---|---|
| 通知のみの合計 | 円 | 円 |
| 有給の交渉が入った場合の合計 | 円 | 円 |
| 未払い賃金の請求が入った場合の合計 | 円 | 円 |
| 実費の扱い | ||
| 途中解約の精算 |
費用を抑えたい事情があるときは、基本料金の低さだけで選ばず、上の3場面の合計で比べます。会社に通知するだけで足りるかどうか迷う場合は、運営形態ごとの違いを退職代行の弁護士・労働組合・民間企業の違い:交渉できる範囲を比較で見たうえで、自分で伝える方法も含めて検討できます。追加でかかりやすい項目は退職代行の追加料金チェック:申込み前に聞く8つの質問に質問の形でまとめています。パワハラの慰謝料まで考える場合の弁護士費用の全体像は、パワハラの弁護士費用の内訳:相談料・着手金・報酬金の確かめ方が参考になります。
弁護士の退職代行を選択肢に入れるときは、費用のほかに次の点を一緒に確かめておくと、申込み後の食い違いを減らせます。
よくある質問
Q. 弁護士の退職代行は、いくらを目安に考えればよいですか?
帝国データバンクが2025年10月に配信した調査では、弁護士法人の最低料金の平均は民間経営より高い傾向でした(金額は[退職代行の金額の目安](/daikou-kingaku/)にあります)。ただし最低料金は「通知だけ」のような最小の内容の価格で、有給や未払い賃金の交渉を含めた総額ではありません。目安は平均で決めず、自分の希望を入れた見積りで確かめます。
Q. 見積りは複数の事務所で取ってよいですか?
取ってかまいません。同じ前提(退職日の希望、有給の残り、請求したいお金の有無)を書いて依頼すると、金額を並べて比べやすくなります。契約前の見積りや相談の料金がかかるかは、問い合わせのときに聞いておきます。
Q. 途中で依頼をやめたいときも、費用は全額かかりますか?
契約の定めによります。民法は、委任が途中で終わったときに、それまでに済んだ仕事の割合に応じて報酬を請求できると定めています。どこまでを済んだ仕事と数えるかは契約書に書かれるので、署名の前に解約したときの精算の項目を読んでおきます。
出典・参考にした公的な情報
- よくあるご質問(弁護士費用について)(大阪弁護士会 総合法律相談センター)
- 民法 第648条・第651条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 弁護士法 第72条・第74条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 特定商取引に関する法律 第11条(通信販売についての広告)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 不当景品類及び不当表示防止法 第5条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。