都道府県の労働相談窓口とは?労働局とは別の自治体の相談の使い方
都道府県の労働相談は、県庁の労働部門が設けた労働相談センター・労働事務所などの窓口や、都道府県労働委員会が行う相談・あっせんのことで、国の機関である労働局(総合労働相談コーナー)とは別の窓口です。パワハラを含む職場のトラブルを相談でき、県によっては、会社との間に入って話し合いをまとめるあっせんも受けられます。根拠となる法律では自治体の取り組みは努力義務とされているため、窓口の名前や受けられる手続は都道府県ごとに違います。この記事では、労働局との違いと、自分の県の窓口の探し方を説明します。
都道府県の労働相談でできること
個別労働紛争解決促進法第20条は、地方公共団体が、労働者と事業主の間の紛争を未然に防ぎ、早く解決するために、情報提供・相談・あっせんその他の施策を推進するよう努めることを定めています。これに基づいて、都道府県は大きく2種類の窓口を持っています。
| 窓口 | 主な役割 |
|---|---|
| 県の労働部門の窓口(労働相談センター、労働事務所、労政主管課など) | 労働相談。県によってはあっせんも |
| 都道府県労働委員会 | 個別労働紛争のあっせん(行っていない都県もある) |
労働委員会のあっせんは、中央労働委員会の案内によると次のように進みます。
- 申請:紛争が起きている事業所を管轄する都道府県労働委員会の事務局に申請書を出す
- あっせん員の指名:通常、公益側(学識経験者など)・労働者側(労働組合の役員など)・使用者側(会社の経営者など)から1人ずつ、計3人
- 事前調査:事務局の職員が、双方から経過と主張の要点を聞き取る
- あっせん:あっせん員が双方から別々に事情を聞き、解決案(あっせん案)を示すなどして歩み寄りを促す
- 終結:合意による解決、打切り、取下げのいずれかで終わる
あっせんは任意の手続で、合意は双方の意思に基づきます。相手が応じなければ打切りで終わり、この制度には時効の完成猶予の効力もないとされています。お金の請求で時効が近い場合は、あっせんだけに頼らず、早めに弁護士に相談しておくと安心です。
労働局(国)の窓口との違い
都道府県の労働相談と、労働局の総合労働相談コーナーは、名前が似ていて混同しやすい窓口です。違いを並べると次のとおりです。
| 項目 | 都道府県(労働相談センター・労働委員会など) | 労働局(総合労働相談コーナー・雇用環境・均等部(室)) |
|---|---|---|
| 運営 | 都道府県 | 国(厚生労働省の地方機関) |
| 根拠 | 個別労働紛争解決促進法第20条(努力義務) | 個別労働紛争解決促進法、労働施策総合推進法など |
| あっせん等をする人 | 労働委員会は公益・労働者・使用者の三者のあっせん員 | 紛争調整委員会の委員(弁護士・大学教授など) |
| パワハラの紛争の手続 | 労働相談・あっせん(県による) | 労働局長の助言・指導・勧告と、紛争調整委員会の調停(労働施策総合推進法第36条・第37条) |
| 時効の扱い | 労働委員会のあっせんには時効の完成猶予の効力がないとされる | 労働局のあっせんが打ち切られ、通知から30日以内に訴えを起こした場合の特例がある(個別労働紛争解決促進法第16条) |
| 窓口の数・時間 | 県ごとに違う | 総合労働相談コーナーは全国の労働局・労働基準監督署内などにある |
パワハラについては、会社のパワハラ防止の義務に関わる紛争を、労働局の助言・指導・勧告と調停で扱う仕組みが法律で用意されています。会社の義務を前提に話を進めたいなら労働局、県の窓口の方が近くて相談しやすい、労働相談の延長で間に入ってほしいといった場合は都道府県、という分け方が考えられます。総合労働相談コーナーの中身は総合労働相談コーナーとは?予約不要・無料でできる相談と次の手続きで説明しています。
県ごとの違い:東京・神奈川・大阪などの扱い
中央労働委員会がまとめている窓口一覧には、県ごとの扱いの違いが書かれています。主なものを抜き出すと次のとおりです。
| 都道府県 | 扱い(中央労働委員会の一覧の参考欄から) |
|---|---|
| 東京都 | 労働委員会は個別労働紛争のあっせんを行っていない。労働相談は東京都労働相談情報センターが担当し、労働相談の延長として、労使双方の要請を踏まえてあっせんを行うことがある |
| 兵庫県 | 労働委員会は個別労働紛争のあっせんを行っていない。兵庫労使相談センターは2023年12月で閉鎖され、業務は兵庫労働局の総合労働相談コーナーが引き継いだ |
| 福岡県 | 労働委員会は個別労働紛争のあっせんを行っていない。福岡県労働者支援事務所(4か所)が労働相談とあっせんを担当し、事案に応じて労働委員会の委員があっせん員となる方式もある |
| 神奈川県 | あっせんは原則として、労政主管部局(かながわ労働センター)が先に行う |
| 大阪府 | 調整とあっせんの申請は大阪府労働相談センターが受け付け、事前に労働相談で事情を聞く |
このように、同じ「県の労働相談」でも、あっせんを労働委員会がするのか、県の労働部門がするのか、そもそも県の窓口がないのかが違います。また、労働委員会のあっせんは、住んでいる場所ではなく、紛争が起きている事業所を管轄する委員会に申請します。自宅と職場の県が違う人は、職場のある県の窓口から当たりましょう。
自分の県の窓口の探し方
窓口の名前が県ごとに違うので、次の順で探すと迷いません。
- 中央労働委員会のサイトの「個別労働紛争の相談・あっせん窓口一覧」を開き、働いている事業所のある都道府県の行を見る
- 「労働委員会」の行と、「労働相談センター」「労働事務所」などの行の両方を控える
- 県の公式サイトで「◯◯県 労働相談」と検索し、受付の曜日・時間、電話か来所か、予約の要否を確かめる
- あっせんを考えているなら、その窓口があっせんを受けているか、申請書の入手方法を確かめる
電話の前に確かめておきたいのは、次の点です。
- 相談は無料か、夜間や土曜の相談日があるか
- パワハラの相談を受けているか、あっせんまで進めるか
- 相手の会社が県外の本社でも、事業所が県内なら使えるか
- 記録や資料を持参できるか、事前に送れるか
公務員の人は窓口が違います。厚生労働省の案内では、一般職の国家公務員は人事院の相談窓口か所属府省の人事担当部局、地方公務員は人事委員会(公平委員会)や人事担当課、公立学校の教員は教育委員会への相談が示され、総合労働相談コーナーや労働委員会ではこれらの人の相談を受けていないとされています。番号や受付時間をまとめて確かめたいときは、パワハラの相談窓口一覧:電話番号・受付時間・できることの早見表を見てください。
社外の労働組合に入って会社と交渉する方法もあります。パワハラを労働組合に相談する:社内組合・ユニオンでできることで、団体交渉でできることを整理しています。気持ちのつらさが強いときは、こころの耳の相談とは?働く人のための無料の電話・LINE相談のような心の相談も並行して使えます。
よくある質問
Q. 都道府県の労働相談と労働局の総合労働相談コーナーの両方に相談してもいいですか?
相談だけなら両方を使えます。窓口によって受付の曜日や時間、得意な分野が違うので、話を聞いてもらう段階では使いやすい方を組み合わせて構いません。あっせんなどの手続に進むときは、どちらで進めるかを決め、もう一方にはそれまでの経過を伝えておくと話が混乱しません。
Q. 労働委員会のあっせんに費用はかかりますか?
中央労働委員会の案内では、労働委員会の個別労働紛争のあっせんは無料です。ただし、資料の郵送に使う切手代などがかかる委員会もあるとされています。県の労働相談センターなどが行う労働相談の費用は、各都道府県の案内で確かめてください。
出典・参考にした公的な情報
- 個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律 第16条・第20条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 個別労働紛争のあっせん(労働委員会)(中央労働委員会(厚生労働省))
- 都道府県の個別労働紛争の相談・あっせん窓口一覧(中央労働委員会(厚生労働省))
- 総合労働相談コーナーのご案内(厚生労働省)
- 労働施策総合推進法 第36条・第37条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- ハラスメントの相談窓口(公務員の窓口を含む)(厚生労働省(あかるい職場応援団))
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。