記録と証拠 / 手順

チャットツールのパワハラを証拠に:TeamsやSlackでの残し方

この記事のもくじ
  1. 社内チャットの証拠は「誰が・いつ・どこで」が分かる画面で残す
  2. 会社の情報の持ち出し規程との関係
  3. 編集・削除・退会に備える
  4. 画面を撮れないときは、記録メモで補う
  5. オンライン会議・通話での発言も一緒に残す

TeamsやSlackなど社内チャットでのパワーハラスメント(パワハラ)は、投稿者の名前・投稿日時・チャンネル名(または相手の名前)・前後の流れが入るように画面を残すのが基本です。ただし社内チャットは会社の情報そのものなので、会社の端末からデータを書き出したり、私用の場所へ送ったりすることは、情報の持ち出しの規程に触れるおそれがあります。この記事では、写す範囲、編集や削除への備え、規程との関係、撮れないときの記録メモでの補い方を順に説明します。

社内チャットの証拠は「誰が・いつ・どこで」が分かる画面で残す

チャットの1行だけを残しても、どのチャンネルで、誰が見ている場で書かれたのかが分かりません。社内チャットで写したいものを、ツールの画面の場所と一緒に並べます。

早見表:社内チャットで画面に入れるもの
入れるもの 画面のどこにあるか 示せること
チャンネル名・チャット名 画面の上部 どの場で書かれたか(部署全体か、1対1か)
投稿者の名前とアイコン 各投稿の上か横 誰が書いたか
投稿日時 投稿の横。時刻だけの表示なら、日付の区切りも入れる いつ書かれたか
前後の投稿・スレッドの返信 問題の投稿の上下、スレッドを開いた画面 何に対しての発言だったか
メンバーの数・一覧 チャンネルの詳細画面 何人が見られる場だったか
「編集済み」の表示 投稿の横 あとから書き換えられたか

撮るときは、問題の投稿の少し前から始め、前の画像と少し重なるように続けて撮ります。スレッドの中でのやり取りは、親の投稿を開いた画面も撮ります。投稿日時が「昨日」「14:05」のように省略される場合は、マウスを重ねたり投稿を開いたりして詳しい日時を表示させてから撮ります。

厚生労働省のパワハラ指針は、相手の能力を否定し罵倒する内容の電子メール等を、相手を含む複数の労働者宛てに送ることを精神的な攻撃の例に挙げています。部署全体のチャンネルで名指しで責められた場合は、メンバーの数や一覧が、何人に向けた投稿だったかを示す材料になります。

会社の情報の持ち出し規程との関係

社内チャットは、メールよりも気軽に画面を撮れる分、何を残してよいかの線を意識しておく必要があります。チャットの中には、顧客の名前、取引の条件、開発中の情報、同僚の個人的な事情などが混ざっていることが多いからです。

残し方 規程との関係で気をつけること
会社の端末でスクショを撮り、会社のフォルダに置く 会社の管理下にあり、持ち出しにはならないが、会社に見られる可能性がある
私物のスマホで画面を撮る 写り込む情報を自分の投稿と相手の投稿に絞る。他のチャンネルや顧客情報を写さない
チャットの書き出し(エクスポート)機能を使う 多くは管理者の機能。一般の社員が使えても、まとめて書き出すと業務情報を大量に持ち出すことになる
私用のメールやクラウドへ転送・コピー 規程で禁じられていることが多い。中身を問わず避けたほうがよい

まず、就業規則や情報管理の規程、チャットツールの利用ルールを読んで、画面の撮影や私用端末での撮影がどう扱われているかを確かめます。そのうえで、自分に向けられた投稿と、その前後に絞って残します。どこまで残してよいか迷う場合や、退職が近くまとめて保存したい場合は、持ち出す前に弁護士や労働組合に相談してください。退職前・異動前の線引きは証拠保全の記事、メールの場合の考え方はメールを証拠にする方法で扱っています。

また、会社は社員のチャットや端末の利用を記録していることがあります。個人情報保護委員会のQ&A(Q5-7)は、個人データを取り扱う従業者をビデオやオンラインでモニタリングする場合に、目的をあらかじめ特定して社内規程に定め、従業者に明示することなどに留意するよう示しています。自分の会社にどんな規程があるかを知っておくと、何が会社に見えているかの見当がつきます。

編集・削除・退会に備える

社内チャットでは、投稿した本人があとから文章を書き換えたり、投稿を消したりできる設定になっていることが多いです。書き換えられると「編集済み」と表示され、消されると投稿そのものが見えなくなるか、削除されたことだけが表示されます。どこまでできるかは、会社の管理者の設定によって変わります。

  • 気づいた時点ですぐ撮る。 あとで撮ろうと思っているうちに、相手が書き換えることがあります。
  • 「編集済み」に気づいたら、その表示も撮る。 元の文面を覚えていれば、メモに「○時○分の時点では『〜』と書かれていた」と残します。
  • 削除されたら、削除された日時をメモする。 消された事実と、覚えている元の文面を分けて書きます。
  • 自分が退職・異動したら見られなくなる前提で動く。 アカウントが止まると、チャットの履歴は開けなくなるのが一般的です。
  • 古い履歴が見えなくなる仕組みに気をつける。 会社の保存期間の設定や、契約しているプランによって、一定期間より前のメッセージが表示されなくなることがあります。

会社の側には、投稿が編集・削除される前の記録がサーバーに残っている場合があります。会社のハラスメント相談窓口に相談するときは、「○月○日○時ごろ、○○チャンネルで○○さんが投稿し、その後削除された」と特定して伝えると、会社の事実確認の手がかりになります。相談の内容と回答を書面で残す方法は会社に相談の記録を残してもらう記事で説明しています。

画面を撮れないときは、記録メモで補う

規程で画面の撮影が禁じられている、撮れる状況になかった、という場合でも、記録は残せます。チャットの投稿は日時が正確に分かるので、メモと組み合わせると具体的な記録になります。

メモの例:「10月16日(木)9:42、Teamsの『営業2課』チャネル(メンバー14人)。課長が私を名指しで『また同じミス。何回言えば分かるんだ。もう担当を外れてもらう』と投稿。9:50に私が『申し訳ありません。原因を本日中にまとめます』と返信。10:30ごろ投稿が編集され、『担当を外れてもらう』の部分が消えていた。」

書くのは、日時、ツールとチャンネル名、メンバーの数、投稿者、投稿の言葉そのもの、自分の返信、その後の変化です。言葉を要約せずに書く方法は暴言を逐語メモと録音で残す方法、メモの置き場所は記録の保管方法で扱っています。

自分のメモで残しきれない部分は、会社にある記録を正規の手段で確かめてもらう道もあります。個人情報保護法にもとづく開示請求という道がありますが、開示されない場合もあります(仕組みはパワハラの証拠保全に書いています)。まずは会社の相談窓口に投稿の日時と場所を伝え、事実確認の中で確かめてもらうのが現実的です。

オンライン会議・通話での発言も一緒に残す

TeamsやSlackでは、チャットだけでなく、オンライン会議や通話の中で叱責されることもあります。会議の中の発言は、チャットのように文字で残らないので、次のように補います。

  1. 会議の日時、会議名、参加者を、会議の招待画面やチャットの履歴から写すかメモします。
  2. 会議の中で言われた言葉を、終わった直後に逐語でメモします。
  3. 会議の録画や文字起こしが会社の機能で残っている場合は、その存在と保存場所をメモしておきます。録画は会社のデータなので、私用の場所へダウンロードするかどうかは規程を読んでから決めます。
  4. 会議のあとで、業務の要点を確認するメッセージをチャットに送り、やり取りの事実を文字で残します。

自分の声が入る会議を自分で録音したいときの考え方はパワハラの録音の仕方で扱っています。チャットで返信をもらえない、自分だけ会議に呼ばれないといった、何かをされないタイプの行為の残し方は無視のパワハラを証拠に残す方法を見てください。写真や動画で残せるものについてはパワハラの証拠に写真・動画を残すときで説明しています。

よくある質問

Q. 会社のパソコンでスクショを撮ると、会社に分かりますか?

会社の端末やアカウントの操作は、会社が記録や監視をしていることがあります。個人情報保護委員会のQ&Aも、会社が従業員をモニタリングする場合の留意点を示しており、監視の仕組みを持つ会社があることを前提にしています。気づかれたくない場合は、会社の端末に画像を残さず、規程を読んだうえで私物のスマホで画面を撮るか、手書きのメモで残す方法を考えます。

Q. チャットで無視される・自分だけ返信をもらえないのも記録できますか?

記録できます。自分の投稿と、それに誰も反応しなかったこと、同じ時間帯に他の人の投稿には返信していたことを、日時つきで並べて残します。何もされないことを残すのは難しいので、記録しにくい行為の書き方を整理した無視のパワハラの記事も参考にしてください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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