パワハラ相談の記録を会社に残してもらう:相談と回答を書面にする方法
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パワハラ相談の記録は、会社が作ってくれるのを待つより、相談した日のうちに要点を窓口へメールで送り返すのが確かな残し方です。送ったメールと相手の返信が、そのまま「いつ・誰に・何を相談したか」の記録になります。あわせて、会社がこれから何をするのか(事実確認の予定や配慮の内容)を書面で答えてほしいと頼みます。このページでは、確認メールと回答依頼の文例、会社が作った相談記録の開示を求める方法、返信がないときの次の手を順に示します。相談の場そのものを録音したいときはパワハラ相談の場を録音してもいい?、相談のメールの書き方は会社にパワハラを相談するメールの書き方が近く、このページは、相談した事実と会社の回答を記録に残す方法に絞っています。
パワハラ相談の記録を残す手順:相談した日のうちに確認メールを送る
面談や電話で相談すると、話した内容は窓口担当者のメモにしか残りません。後で「その話は聞いていない」「相談ではなく雑談だと思った」と言われないために、自分から書面の形に変えておきます。
- 面談の直後に、自分用のメモを書く。 日時、場所、相談した相手(氏名・役職)、同席者、自分が伝えたこと、担当者が言ったことを、覚えているうちに書き出します。担当者の言葉はできるだけそのまま書きます。
- その日のうちに、確認メールを送る。 メモから「相手と共有してよい要点」だけを抜き出し、窓口担当者に送ります。送り先は相談した本人。窓口の共有アドレスがあれば、そちらも宛先に入れます。
- 違いがあれば知らせてほしいと書き添える。 相手に訂正の機会を渡しておくと、返信がなかった場合も「内容に異論がなかった」流れが文面に残ります。
- 返信を受け取ったら、メモと並べて保存する。 相手が言い換えた部分や、約束した期限があれば、自分のメモにも書き足します。
- 次の面談や連絡のたびに、同じことを繰り返す。 1回目の相談だけでなく、聞き取りの日程の連絡、結果の説明なども同じ形で残します。
相談の場そのものを録音してよいかは、窓口ごとに扱いが違います。録音の可否の確かめ方と、録音できない場合の残し方はパワハラ相談の場を録音してもいい?窓口・面談での記録の残し方にまとめています。確認メールは、録音の有無にかかわらず送っておけます。
| 項目 | 書き方の例 | 入れる理由 |
|---|---|---|
| 相談の日時・方法 | 10月20日(火)14時〜14時40分、第2会議室で面談 | いつ会社が知ったかの起点になる |
| 相手 | 人事部ハラスメント相談窓口 ○○様(同席:△△様) | 誰が受けたかを特定する |
| 相談した出来事 | 9月以降、□□課長から会議中に大声で叱責を受けた件(記録3件を提示) | 何について相談したかを特定する |
| 自分の希望 | 事実確認をしてほしい/当面の席の配置を相談したい | 会社に求めたことを残す |
| 担当者の説明 | 2週間以内に関係者から聞き取りをする予定と伺った | 会社が約束したことを残す |
| 伝えてよい範囲 | □□課長への聞き取りは了承。部内への共有は控えてほしい | プライバシーの扱いをそろえる |
| 訂正のお願い | 認識に違いがあればお知らせください | 相手の異論を早く引き出す |
確認メールの文例:相談した内容を送り返す
文面は短く、事実と依頼だけにします。加害者への評価や怒りの言葉は入れません。窓口が社内の別の人に転送しても困らない書き方にしておくと、そのまま聞き取りの資料にもなります。
文例:件名「本日のご相談内容の確認(10月20日 面談分)」 人事部 ○○様 本日は14時から40分ほど、お時間をいただきありがとうございました。行き違いがないよう、私の理解した内容をお送りします。
- 相談した内容:9月以降、□□課長から会議中に大声で叱責を受けたこと(日付と発言を書いたメモ3件をお見せしました)
- 私の希望:事実関係を確認していただくこと。結果が出るまでの間、席の配置についてご相談したいこと
- ○○様からのご説明:2週間をめどに関係者からお話を聞く予定であること。相談内容は担当者の間だけで扱うこと
- 共有の範囲:□□課長への聞き取りは了承します。部内のほかの方への共有は控えていただけると助かります 私の理解に違いがあれば、お手数ですがお知らせください。
面談の当日に送れなかったときも、翌日以降に「先日の面談の内容の確認」として送れます。日付が空くほど双方の記憶がずれやすいので、遅れたときは「遅くなりましたが」と添えて、早めに出します。最初の相談そのものをメールで申し込む書き方は、会社にパワハラを相談するメールの書き方:件名から結びまでの例文で扱っています。
会社の回答を書面で求める:聞くことと依頼の文例
厚生労働省のパワハラ指針は、相談を受けた会社に、事実関係の迅速で正確な確認、被害者への配慮の措置、行為者への措置、再発防止の措置を求めています。事実関係がはっきりしなかった場合も、再発防止の措置は講じることになっています。会社が何をしたか、これから何をするかは、この流れに沿って尋ねると答えを受け取りやすくなります。指針の措置の全体はパワハラで会社の義務は何?相談したら会社がするべき10の措置で一覧にしています。
聞き取りが終わったころに、次の4点を文書で尋ねます。
- 事実確認は、誰から、いつまでに話を聞く予定か(すでに聞いたか)
- 確認の結果、会社としてどう整理したか
- 自分に対してとる配慮の措置は何か(席・担当・報告先の変更など)
- 再発防止として何をするか
文例:件名「10月20日にご相談した件の、その後の対応について」 人事部 ○○様 10月20日にご相談した件で、関係者への聞き取りを進めていただいていると伺っています。今後の働き方を考えるため、差し支えない範囲で、次の点を書面(メールで構いません)で教えていただけますか。 ・聞き取りの進み具合と、結果が出る時期の見込み ・確認の結果、会社として把握した事実 ・私に対してとっていただける措置(席の配置や業務の報告先など) ・再発防止の取り組みの予定 行為者の方への処分の内容など、お伝えいただけない部分があることは承知しています。
行為者の処分の中身や、ほかの社員の証言の内容は、プライバシーの保護を理由に伝えられないことがあります。それでも「自分に何がされるのか」「再発防止として何をするのか」は、相談者に関わることとして尋ねやすい項目です。口頭で説明を受けたときは、その日のうちに確認メールで要点を送り返し、1つめの見出しと同じ形で残します。
聞き取りで自分が何を聞かれるかの準備は、パワハラのヒアリングで被害者が準備すること:聞かれる項目と伝え方を参考にしてください。
会社が作った相談記録の開示を求めるとき:個人情報保護法第33条
会社が作った相談記録や聞き取りの記録を見たいときは、個人情報保護法の開示請求という道があります。同法第33条は、本人が、会社(個人情報取扱事業者)に対し、自分が識別される「保有個人データ」の開示を請求できると定めています。開示の方法として、電磁的記録での提供を求めることもできます。
ただし、開示には次の制限があります。条文の言葉に沿って整理すると次のとおりです。
| 条文の定め | 相談記録で起こりやすい場面 |
|---|---|
| 本人または第三者の生命・身体・財産その他の権利利益を害するおそれがある場合は、全部または一部を開示しないことができる(第33条第2項第1号) | 目撃した同僚の証言や氏名が書かれた部分 |
| 会社の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合も同じ(同項第2号) | 調査の途中の記録 |
| 開示しないと決めたとき、または該当するデータがないときは、遅滞なく本人に通知する(同条第3項) | 「記録はない」「開示しない」という回答 |
| 開示に手数料を求めることができる。額は実費を勘案して合理的な範囲で定める(第38条) | 会社の定める手続と手数料 |
開示の対象になるのは、法律上の「保有個人データ」に当たるものです。手書きのメモが整理されないまま保管されている場合などは対象に入らないこともあるので、請求の前に、会社の個人情報の取扱いの窓口(プライバシーポリシーに書かれていることが多い)で手続を尋ねます。開示を求めることと、確認メールで自分の控えを作ることは、並べて進められます。開示の結果を待つ間も、自分の記録は増やしていけます。
返信がない・口頭でしか答えないとき
確認メールや回答の依頼に返事がないときも、送ったという事実は残っています。次の順で進めます。
- 1〜2週間をめどに、同じ宛先へ「先日お送りした件について、ご確認いただけましたか」と短く送り直す。
- それでも返事がなければ、窓口担当者の上長や、別の相談窓口(外部の委託窓口があればそこ)に、これまでのメールを添えて状況を伝える。
- 社内で動きが見えないときは、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)や総合労働相談コーナーに、送ったメールと返信の有無を見せて相談する。
相談したことを理由とする解雇その他の不利益な取扱いは、労働施策総合推進法第31条第2項で禁じられています。相談後に配置や評価が変わったときは、その日付と内容も同じ記録に書き足しておくと、後から経緯を説明しやすくなります。会社が動かないときの外への出し方はパワハラを相談しても会社が対応しないとき:外へ出す前に確かめること、労働局でできることは労働局のハラスメント相談窓口:雇用環境・均等部(室)でできることにまとめています。窓口の番号と受付時間はパワハラの相談窓口一覧:電話番号・受付時間・できることの早見表で確かめられます。
残した相談記録を保管し、次の場面で使う
確認メールと返信は、相談の時系列をそのまま示す資料です。出来事の記録(いつ何を言われたか)とは別のフォルダにまとめ、日付順に並べておくと、後で全体を見せやすくなります。
- 会社のメールアドレスだけに置かない。印刷するか、規程に反しない範囲で控えを残す
- 返信がなかった日も「○月○日 返信なし、再送」と書いておく
- 口頭での説明は、聞いた日と相手の名前を添えて書き留める
保管の場所の選び方はパワハラの記録の保管方法:見られない・消えないための置き場所、出来事そのものの記録の書き方はパワハラの記録の書き方:日時・言葉・場所・目撃者を残す記入例つきで扱っています。会社の聞き取りで行為者が事実を認めなかったときに、どの記録が役に立つかは加害者がパワハラを否定したら:言い分が食い違うときに効く記録で整理しています。社内窓口に相談する前の準備は社内のハラスメント相談窓口の使い方:相談前の準備と守秘の確かめ方を、退職後に記録を集め直すときはパワハラで退職した後に証拠を集める:今からできることと限界を参考にしてください。
よくある質問
Q. 相談した内容を、会社に議事録として作ってもらうことはできますか?
作ってほしいと頼むことはできますが、記録を作るか、相談者に渡すかは会社の運用によります。断られたときに備えて、自分で要点をまとめたメールを窓口に送り、「違いがあれば教えてください」と添えておけば、相手の返信や訂正も含めて記録になります。
Q. 確認メールを送ると、会社に警戒されて不利になりませんか?
相談したことを理由に解雇その他の不利益な取扱いをすることは、労働施策総合推進法第31条第2項で禁じられています。確認メールは相談の内容と日付をそろえるためのもので、責める文面にしなければ、窓口にとっても聞き取りの行き違いを防ぐ材料になります。
Q. 会社のメールアドレスで送った確認メールは、退職すると見られなくなりますか?
会社のアカウントは退職と同時に使えなくなるのが普通です。送ったメールと返信は、社内の情報の持ち出しの規程に反しない範囲で、日付と宛先が分かる形で手元に控えておきます。控えの線引きは、退職前の証拠保全の記事で詳しく扱っています。
出典・参考にした公的な情報
- 労働施策総合推進法 第31条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 事業主が講ずべきハラスメント対策パンフレット(パワハラ指針 令和8年10月1日適用時点の本文)(厚生労働省)
- 個人情報の保護に関する法律 第33条・第38条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。