パワハラを日記で記録する方法:毎日続けるための書き方と保管
パワハラを日記で記録するときは、1日の終わりに「事実」と「気持ち」を分けて3行ほど書く形にすると、無理なく続き、相談先にも使える記録になります。何もなかった日も「特になし」と一言書いておくと、記録が途切れずに続いていることを示せます。
日記の良さは、出来事が続いていく様子を日付順に残せることです。このページでは、日記の中での書き分け方、毎日続く短い形、保管と見せ方の注意を順に説明します。記録の項目そのものの書き方はパワハラの記録の書き方にまとめています。
パワハラを日記で記録する手順
- 日記帳を1冊に決める。 普段の日記と分けたいときは、パワハラの記録用に1冊用意します。分けない場合は、出来事を書いた日の見出しに印(★など)を付け、あとで探しやすくします。
- 毎日決まった時間に書く。 帰宅後や寝る前など、時間を決めると習慣になります。出来事の直後に書けないときは、スマホに一言だけメモしておき、夜に日記へ写します。
- 事実を先に、気持ちをあとに書く。 1行目に時刻・場所・相手・言葉、2行目に体調、3行目に気持ち、の順にします。
- 書いた日を変えない。 翌日以降に思い出したことは、その日のページに「追記(10月9日)」と書き足します。前のページの余白に、日付をさかのぼって書き込まないようにします。
- 週に1回見返す。 出来事のあった日を数え、メールやカレンダーで日時を確かめ、必要なら記録表に写します。
なぜ日記が役に立つのか
日記は自分で書いたものなので、それだけで出来事が確定するわけではありません。会社や労働局は、行為者の説明やほかの材料と合わせて事実を確かめます。日記の日付と同じ日に、相手から届いたメールやチャット、受診の記録が残っていれば、同じ出来事を別の材料が裏づけることになります。
精神障害の労災認定基準は、ハラスメントやいじめのように繰り返される出来事を一体として評価し、継続する状況は心理的負荷が強まるものとして扱うとしています。厚生労働省のパワハラ指針も、判断の要素に言動の頻度や継続性を挙げています。毎日の日記は、1回ごとの出来事だけでなく「どれくらい続いているか」を示せる点で、単発のメモとは違う働きをします。どのくらいの期間の記録があれば相談に使えるかはパワハラの記録はどのくらいの期間必要?で整理しています。
日記の中で事実と気持ちを書き分ける
日記は気持ちを書く場所でもあるので、事実と感情が混ざりやすくなります。混ざったままでも自分にとっては大切な記録ですが、相談先に見せるときに読み手が事実を拾いにくくなります。行を分けるか、行頭に印を付けて書き分けます。
10月14日(水) 【事実】16時ごろ、自席で○○課長に「やる気がないなら来なくていい」と言われた。隣の席に△△主任がいた。報告書の提出が予定より1日遅れていた。 【体調】帰りの電車で動悸。夕食は半分。 【気持ち】明日も顔を合わせるのが怖い。自分が悪いのかもしれないと考えてしまう。
【事実】の行には、ほかの人が読んでも同じ場面を思い浮かべられる言葉を使います。「またひどいことを言われた」ではなく、言われた言葉をかぎかっこでそのまま書きます。【気持ち】の行は自由に書いてかまいません。つらさの記録は、心身の状況を示す材料にもなります。
事実と気持ちの欄をあらかじめ分けたノートを作りたいときはパワハラの記録ノートの付け方が参考になります。
毎日続けるための短い書き方
記録が長続きしない理由の多くは、毎回きちんと書こうとして疲れてしまうことです。日記は短くてかまいません。
| 形 | 書くこと | 使う日 |
|---|---|---|
| 1行 | 「特になし」または「○○課長と接触なし」 | 出来事がなかった日 |
| 3行 | 事実・体調・気持ちを1行ずつ | 出来事があった日の基本 |
| 詳しく | 時刻・場所・相手・言葉・同席者・経緯・影響 | 強い出来事があった日、週末の見返し |
出来事がなかった日の1行は、手を抜いた記録ではありません。「何もなかった日」と「出来事のあった日」が並ぶことで、どの日に何が起きたのかがはっきりします。休日や休暇の日も、日付だけ書いて「休み」と残しておくと、出勤日とそうでない日の区別がつきます。
書くのがつらくなったら
日記を書くことで出来事を思い出し、かえって苦しくなる人もいます。そういう日は、日付と「書けなかった」だけを残し、休んでかまいません。眠れない、食べられない、涙が止まらないといった状態が続くときは、記録より先に仕事がつらい・限界のときの相談先を使ってください。
日記の保管と、相談先に見せるときの注意
日記には私生活のことも書かれているため、保管と見せ方に少し工夫が要ります。
| 注意すること | 理由 | 具体的な方法 |
|---|---|---|
| 職場に持って行かない | 机やロッカーに置くと、ほかの人の目に触れる | 自宅に置き、出先ではスマホに一言メモ |
| 家族に見られたくない内容がある | 同居の家族が読むと心配をかける、関係がこじれる | 鍵の付く引き出し、記録用の1冊を分ける |
| なくした・汚した | 原本が1冊だけだと、失ったときに取り戻せない | 週に1回、出来事のページをスマホで撮り、別の場所に控えを置く |
| 相談先に私生活まで見せたくない | 日記全体を渡すと、関係のない内容まで読まれる | 出来事のページだけを写すか、記録表に書き写して渡す。原本は手元に残し、求められたら見せる |
日記の原本は、相談や手続きが続いている間は捨てずに保管してください。損害賠償の請求や労災の給付には請求できる期間の定めがあるため、期限はパワハラの時効は何年?損害賠償と労災の期限を条文で確認で確かめてください。書き写した記録表を渡すときは、「日記から書き写したもの」と伝え、原本があることを示しておくと、内容の裏づけを求められたときに対応できます。
紙の日記ではなく、スマホのアプリやパソコンで日記を付ける場合の安全な置き場所はパワハラの記録はアプリ・パソコン・紙のどれ?で比べています。日記の形でも証拠として意味があるかという疑問にはパワハラの証拠はメモだけでも意味がある?で答えています。
よくある質問
Q. 日記を何日か書き忘れたら、記録として価値が下がりますか?
抜けた日があっても、それまでの記録がなくなるわけではありません。思い出せる出来事があれば、書いた日を添えて追記してください。抜けた日を後からさかのぼって毎日分埋めるより、空白は空白のまま残すほうが自然な記録になります。
Q. パワハラで訴えることを考えているなら、日記は何年分くらい取っておけばいいですか?
相談や手続きを終えるまでは捨てずに保管してください。損害賠償の請求には期間の制限があり、いつ何が必要になるかは事情によって変わるためです。期限の考え方は「パワハラの時効は何年?」の記事で、記録の量の目安は「パワハラの記録はどのくらいの期間必要?」の記事で整理しています。
Q. 日記に加害者への悪口を書いてしまいました。消したほうがいいですか?
消さずに残しておいてかまいません。日記は自分のための記録で、気持ちを書くのは自然なことです。相談先に見せるときは、該当する日の事実の部分を書き写すか、見せる範囲を選べば足ります。
出典・参考にした公的な情報
- 事業主が講ずべきハラスメント対策パンフレット(パワハラ指針 令和8年10月1日適用時点の本文を収録)(厚生労働省)
- 心理的負荷による精神障害の認定基準(ハラスメント等の繰り返される出来事の評価)(厚生労働省)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。