休職と復職 / 手順

うつで休職中・復職前の産業医面談:聞かれることと伝える準備

この記事のもくじ
  1. うつで休職中・復職前の産業医面談は何を決める場か
  2. 産業医面談で聞かれること:手引きの評価項目から
  3. 伝える準備:面談メモの作り方と記入例
  4. パワハラが休職のきっかけのとき:面談での伝え方
  5. 面談のあと:意見書・復職の計画と次の手順

うつで休職中や復職前に受ける産業医面談は、「職場に戻れる状態まで回復しているか」と「戻るときにどんな配慮が要るか」を決めるための面談です。聞かれるのは、復職したい気持ち、通院と薬の状況、睡眠や生活リズム、集中力や通勤の見通し、そして復帰先や配慮についての希望です。答えに詰まらないよう、ここ2週間の生活の記録と主治医の意見、自分の希望を1枚のメモにまとめて持っていくのが一番の準備になります。パワハラが休職のきっかけなら、職場の人間関係についての希望もこの面談で伝えられます。

うつで休職中・復職前の産業医面談は何を決める場か

厚生労働省と労働者健康安全機構の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」は、休職から復職までを5つのステップに分けています。産業医面談が中心になるのは、3つ目の「職場復帰の可否の判断及び職場復帰支援プランの作成」です。

主治医の「復職可能」という診断書があっても、それで復職が決まるわけではありません。手引きは、主治医の診断は日常生活での回復の程度から判断していることが多く、職場で求められる仕事ができるところまで回復しているとは限らない、と書いています。そこで産業医が、仕事の内容と本人の状態を照らし合わせて意見を述べる、という役割分担になっています。

面談の時期 主な目的 自分の準備
休職中の定期面談 療養の様子の確認、相談先や制度の案内 体調の変化、困っていること
復職を申し出た後の面談 復職できるかの判断と、復職の計画づくり 生活記録、主治医の意見、希望
復職後のフォロー面談 体調の波や配慮の見直し 勤務後の疲れ方、守られていない配慮

この手引きは会社向けの「望ましい進め方」を示したもので、面談の回数や同席者は会社の就業規則や運用で決まります。面談の案内が来たら、誰が同席するのか、何回くらい行うのかを人事に聞いておくと落ち着いて臨めます。面談で話した内容の守秘の範囲はパワハラを産業医に相談するとき:面談で伝えることと守秘の範囲で詳しく扱っています。

産業医面談で聞かれること:手引きの評価項目から

手引きは、復職の判断のために集める情報を具体的に挙げています。産業医の質問はおおむねこの項目に沿うので、先に目を通しておくと「何を聞かれるか分からない」不安が小さくなります。

早見表:産業医面談で聞かれやすいことと、用意する材料
区分 聞かれやすいこと(手引きの項目) 用意する材料
復職の意思 職場に戻りたい気持ちと働く意欲 戻りたい理由、不安なこと
治療の状況 今後の通院の必要性、薬の副作用や昼間の眠気 通院の頻度、薬の名前と飲む時間
生活リズム 決まった時刻に寝起きできているか、昼間に眠くならないか 2週間分の起床・就寝の時刻
集中と疲れ 読書やパソコン作業を一定時間続けられるか、疲れが翌日に残らないか 図書館などで過ごせた時間の記録
通勤 通勤時間帯に一人で安全に通えるか 通勤経路を試した日と様子
今後の希望 希望する復帰先、配慮の内容と期間、職場への意見 優先順位をつけた希望の一覧

手引きは判断の目安の例として、十分な意欲がある、通勤時間帯に一人で安全に通勤できる、決まった勤務日と時間に働き続けられる、業務に必要な作業ができる、作業の疲れが翌日までに回復する、睡眠と覚醒のリズムが整っている、注意力と集中力が回復している、などを挙げています。逆に言えば、この目安のどこがまだ難しいかを自分で把握しておくと、面談で正直に話しやすくなります。

伝える準備:面談メモの作り方と記入例

面談の時間は限られています。緊張すると「大丈夫です」としか言えずに終わり、復職後に無理が出ることがあります。次の5つをA4用紙1枚にまとめ、面談の最初に「メモを見ながら話してもいいですか」と断ってから読み上げます。

  1. 休職からの経過。 休職した日、体調が底だった時期、回復を感じ始めた時期を、1行ずつ書きます。
  2. ここ2週間の生活記録。 起床と就寝の時刻、日中にしたこと、外出した時間、集中できた時間の長さを表にします。
  3. 主治医の意見。 復職できる見込みの時期と、残業の制限や短時間勤務など、主治医が必要と言った配慮を書き写します。
  4. 不安なことと、その理由。 仕事量、通勤、特定の人との関わりなど。パワハラが理由なら、出来事は日付と言われた言葉で短く書きます。
  5. 希望と共有の範囲。 復帰先、配慮の内容と期間の希望、会社に伝えてよいことと伝えないでほしいことを分けて書きます。

記入例(生活記録の要約):「この2週間は毎朝7時に起き、23時に寝ています。平日は9時から12時まで図書館で過ごし、パソコンで文章を1時間続けて打てるようになりました。夕方に疲れが出る日が週に2日あり、その日も翌朝には回復しています。」

記入例(希望):「最初の1か月は残業なしで働きたいです。主治医からも、当面は時間外の勤務を控えるよう言われています。」

生活記録は面談の直前に思い出して書くより、毎日1行ずつ付けておくほうが正確です。会社への日々の連絡のしかたは休職中の会社への連絡:経過報告の頻度と使えるメール例文にまとめています。

パワハラが休職のきっかけのとき:面談での伝え方

手引きは、復職の判断で見る「職場環境等の評価」に、仕事と本人の能力や意欲の合い方と並んで、職場の同僚や管理監督者との人間関係を挙げています。上司からのパワハラで体調を崩したのなら、そのことは面談で話してよい内容です。

ただし、産業医はパワハラに当たるかどうかを判定したり、加害者への対応を決めたりする立場ではありません。面談では「出来事の評価」ではなく、「健康を保って働くために何が必要か」という形で伝えると、産業医が会社への意見に反映しやすくなります。

文例:「休職の前、上司から会議のたびに大きな声で叱責を受けていました。その上司の指示を直接受ける形で戻ると、また眠れなくなるのではないかと不安です。報告先を別の方にしていただくか、部署を変えることも含めて、配慮の意見を出していただけないでしょうか。」

手引きは、復職は「まずは元の職場」を原則としながら、職場の要因と本人の要因が合わなくなっている可能性がある場合などは、配置転換や異動の必要性を検討する必要があると書いています。配置の配慮を会社にどう求めるかは、パワハラ上司がいる職場に復職するとき:配置の配慮を求める方法で文例と一緒に扱っています。パワハラの事実そのものへの対応は、社内の相談窓口に別に求めます。

面談のあと:意見書・復職の計画と次の手順

面談と情報の整理が終わると、産業医は「職場復帰に関する意見書」をまとめ、会社が最終的に復職を決めて本人に通知する、というのが手引きの流れです。手引きの様式例では、意見書に時間外勤務や休日勤務の禁止・制限、就業時間の短縮、出張の制限、作業の転換、配置転換・異動などの欄があります。

面談のあとにしておくことは3つです。

  • 意見の中身を確かめる。 どんな配慮が、いつまでの期間で出るのかを人事か産業医に聞き、メールで残します。
  • 主治医に伝える。 手引きは、会社が決めた配慮の内容が本人を通じて主治医に伝わるようにすることを重視しています。次の受診で書面を見せます。
  • 「まだ早い」と言われたら記録する。 何が足りないと見られたのかを聞き、次の面談までの目標にします。休職期間の満了日が近い場合は適応障害の休職を延長したいとき:延長の手続きと期間満了前の確認を確認してください。

厚生労働省の「確かめよう労働条件」のQ&Aは、休職期間の満了までに働く意思を示し、主治医の診断書とともに復職を申し出ること、会社が産業医や会社指定の医師の受診を求めたら応じるのが望ましいことを説明しています。

産業医が選任されていない50人未満の職場では、手引きは人事担当者や上司が、主治医の意見や地域産業保健センターなどの外部の機関を使いながら判断するとしています。面談の後に試し出勤を勧められた場合の扱いはリハビリ出勤(試し出勤)とは:復職前に確かめたい賃金と労災の扱い、復職全体の段取りは次のパワハラ休職からの復職:主治医・産業医・会社と進める流れで説明しています。

よくある質問

Q. 産業医面談で「復職はまだ早い」と言われたらどうすればいいですか?

何が足りないと見られたのか(生活リズム、集中力、通勤など)を具体的に聞き、メモに残します。その内容を主治医に伝え、次の面談までに何を整えるかを相談します。休職期間の満了日が近いときは、延長の手続きが就業規則にあるかを人事に確かめておきます。

Q. 面談に家族が同席してもいいですか?

職場復帰支援の手引きは、評価の材料の一つに「家族からの情報」(家庭での睡眠・食事などの様子)を挙げています。同席できるかは会社の運用によるので、面談の日程が決まった段階で人事か産業医に聞いておきます。同席が難しければ、家族から見た様子をメモにして持参する方法もあります。

Q. 飲んでいる薬のことを聞かれたら、全部答えないといけませんか?

手引きの評価項目には、薬による昼間の眠気や、業務に影響する副作用の有無が入っています。安全に働けるかを見るための質問なので、答えられる範囲で伝えるのが話を早くします。言いにくいときは、主治医の意見書で「業務への影響」を書いてもらう方法もあります。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

パワハラを産業医に相談するとき:面談で伝えることと守秘の範囲

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