パワハラで休職する診断書のもらい方:医師に伝えることと出し方
パワーハラスメント(パワハラ)による不調で休職するための診断書は、心療内科や精神科を受診し、診察した医師に「会社に休職を申し出るための診断書」と用途を伝えて頼めば書いてもらえる書類です。医師法第19条は、診察した医師が診断書の交付を求められたら、正当な理由がなければ拒んではならないと定めています。休職用で大切なのは、休養が必要なことと療養期間の見込みが書かれていることです。受診の前に会社の書式と休職の条件を確かめておくと、一度で通る診断書になります。
パワハラで休職する診断書のもらい方:5つの手順
休職用の診断書は、会社の手続きに使う書類です。医師に頼む前に会社側の条件を知っておくと、書き直しの手間を省けます。
- 人事に必要な書類を聞く。 会社によっては、指定の書式があったり、「休職には欠勤○日以上と医師の診断書が必要」と就業規則で決めていたりします。「休職を考えていて、診断書にはどんな項目が要りますか」と聞くだけで構いません。
- 受診を予約する。 心の不調なら心療内科・精神科が中心です。初診までに日数がかかるときは、有給休暇でつなぐことも考えます。
- 診察で休職の相談をする。 症状と職場の状況を伝え、休養が必要かを医師に判断してもらいます。伝える内容は次の章にまとめました。
- 用途と提出先を伝えて診断書を頼む。 会社の書式があればその用紙を持参します。
- 受け取ったら写しを取る。 原本は会社に出すことが多いので、写真か写しを自分用に残し、受け取った日と出した日を控えます。
受診そのものの準備、たとえば出来事や症状を紙1枚にまとめる受診メモの作り方は、パワハラで診断書をもらうには:受診で伝えることと証拠としての使い方で詳しく扱っています。この記事では、休職に使う診断書に絞って説明します。
医師に伝えること:休職の判断に要る情報
医師が休養の必要と期間を判断するには、症状だけでなく、どんな仕事をどんな状況でしているかの情報が要ります。休職を相談するときは、次の4点を加えて伝えます。
- 仕事の中身と働き方。 職種、1日の勤務時間、残業の多さ、加害者とどのくらい顔を合わせるか。働き続けた場合に悪化しそうかを医師が考える材料になります。
- いつから休みたいか。 すでに欠勤や有給で休んでいるなら、その開始日も伝えます。診断書の休養期間の始まりをいつにするかに関わります。
- 会社の休職の条件。 「欠勤が続いた後に休職になる」「休職期間の上限は○か月」など、人事から聞いた条件を伝えると、医師が期間の書き方を考えやすくなります。
- 提出先と使い道。 会社の人事に出すのか、傷病手当金の申請にも使うのか、労災も考えているのか。使い道によって必要な書類が違います。
文例:「職場の上司からの叱責が続いていて、9月から眠れず、朝に吐き気があります。今週は有給で休んでいます。会社に休職を申し出たいので、休養が必要かどうか判断していただき、必要なら人事に出す診断書を書いていただけますか。会社の規程では、休職には診断書が要ると言われています。」
職場の出来事を話してよいか迷う人もいますが、症状の背景として医師が知りたい情報です。経過を時期と出来事で伝えておくことは、後で労災を考えることになった場合にも役立ちます。
休職用の診断書に書いてもらう項目
厚生労働省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」は、休業の始めに主治医の診断書(病気休業診断書)を会社に出してもらい、その診断書には休業が必要な旨のほか、職場復帰の準備を計画的に行えるよう、必要な療養期間の見込みを書いてもらうことが望ましい、としています。会社側から見て必要な情報が何かを示しているので、医師に頼むときの目安になります。
| 項目 | 書かれる内容の例 | 会社がこの項目を見る理由 |
|---|---|---|
| 病名 | 医師が判断した傷病名 | 休職が私傷病によるものかの確認 |
| 休養が必要な旨 | 「自宅での療養を要する」など | 休職を認める根拠 |
| 療養期間の見込み | 「○年○月○日から約○か月間」 | 休職期間の設定と、復帰の準備の計画 |
| 発行日・医療機関・医師名 | 診察した医師の署名や記名 | 書類として正式なものかの確認 |
書類は使い道ごとに分かれます。会社に出す診断書のほかに、健康保険の傷病手当金を申請するときは、申請書に療養担当者(医師)が記入する欄があり、協会けんぽの申請書では4ページ目がその欄です。会社に出した診断書とは別に、申請書を医療機関に持っていって記入してもらいます。申請の流れは休職中の傷病手当金の申請方法:申請書の記入欄と支給までの流れで扱います。
診断書を書いてもらえないとき
「書いてもらえなかった」という場面には、いくつかの種類があります。理由によって次の動き方が変わります。
| 言われたこと | 考えられる事情 | 次にすること |
|---|---|---|
| 「今日は書けません」 | 初診で経過を見てから判断したい | 次の受診日を決め、それまで有給などで休めるかを会社と相談する |
| 「まだ休むほどではない」 | 医師が働きながらの治療を考えている | 勤務の配慮を求める意見を書いてもらえないか相談する |
| 「本人が来ないと書けない」 | 医師法第20条は、医師が自ら診察しないで診断書を交付することを禁じている | 家族の代理受診ではなく、本人が受診する |
| 「当院では書いていない」 | 医療機関の方針 | 書類の扱いを受付で確かめ、必要なら別の医療機関も考える |
医師法第19条第2項の「正当の事由」がない限り、診察した医師は診断書の交付を拒めません。ただ、何を書くかは医師の医学的な判断です。「休職が必要」と書いてほしいと頼んでも、医師がそう判断していなければ書かれません。症状が変わったら、その都度伝えて判断を聞き直します。
医師に話しにくさを感じて伝えきれていないなら、症状と仕事への影響を紙に書いて渡す方法も有効です。
提出の仕方と、出すときの文例
診断書を受け取ったら、会社の決めた提出先に出します。多くは人事ですが、上司経由と決めている会社もあります。上司が加害者で渡しにくいときは、人事に直接出してよいか聞きます。
- 出す前に写しを取る。 何をいつ出したかを、後で示せるようにします。
- 手渡しなら日付を控える。 メールで「本日診断書を提出しました」と送っておくと記録になります。
- 郵送なら記録の残る方法で。 休み始めていて出社できないときは郵送でも出せるか確かめます。
メール文例(件名:休職のご相談と診断書の提出について) 「人事部 ○○様 お疲れさまです。○○部の△△です。体調不良のため通院しており、主治医から自宅での療養が必要との診断を受けました。○月○日付の診断書を本日郵送いたしました。就業規則の休職の手続きについてご案内いただけますでしょうか。体調の都合で電話より書面でのやり取りが助かります。よろしくお願いいたします。」
診断書を出したら、次は休職届や引継ぎの段階です。パワハラ休職手続きの流れ:就業規則の確かめ方と休職届の書き方に進んでください。休職の始め方から復職・退職までの全体は適応障害・パワハラで休職するには:診断書から復職・退職までの流れで見渡せます。
よくある質問
Q. 休職の診断書に、パワハラが原因だと書いてもらえますか?
診断書に何を書くかは、診察した医師が医学的に判断して決めます。職場の出来事は症状の背景として医師に伝えておくべき情報ですが、休職の手続きに必要なのは主に、休養が必要なことと療養期間の見込みです。原因の記載を求めたい事情があるなら、使い道を説明したうえで医師に相談します。
Q. 診断書の病名を会社に知られたくないときは?
会社に出す診断書の書き方を、医師に相談することはできます。たとえば病名より「休養を要する状態」と期間の記載を中心にしてほしい、と伝える方法があります。ただ、会社の規程で病名の記載を求められている場合もあるので、先に人事に必要な項目を聞いておきます。
Q. 休職中に診断書の期間が切れたら、どうすればいいですか?
期間が切れる前に受診し、引き続き休養が必要かを医師に判断してもらいます。続けて休む必要があれば、新しい期間の診断書を書いてもらい、会社に出し直します。延長の手続きは会社ごとに決まっているので、満了の2〜3週間前には人事に流れを確かめておくと間に合います。
出典・参考にした公的な情報
- 医師法 第19条・第20条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き(厚生労働省)
- 健康保険傷病手当金支給申請書(申請書と記入の手引き)(全国健康保険協会(協会けんぽ))
- 傷病手当金について(全国健康保険協会(協会けんぽ))
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。