状況別の対処 / 手順

パワハラで職場に味方を作る:同僚に話す範囲と協力の頼み方

この記事のもくじ
  1. パワハラで味方を作るときの基本:話す相手は1〜2人から
  2. 信頼できる人の選び方:確かめたい5つの点
  3. 同僚に話す範囲:伝えること・まだ伏せておくこと
  4. 協力の頼み方:段階ごとの文例
  5. 味方になってくれた人の負担に配慮する

パワーハラスメント(パワハラ)を受けているとき、職場に味方を作るなら、信頼できる1〜2人に、起きた事実だけを、小さな頼みごとに分けて伝えるのが現実的な進め方です。いきなり「証言してほしい」と頼むのではなく、話を聞いてもらう、一人にしないでもらう、見たことを覚えておいてもらう、という軽い段階から始めます。会社の事実確認に協力して事実を述べた人を不利益に扱うことは法律で禁じられているので、そのことも頼むときの安心材料になります。自分を責める気持ちが強くて人に話せない段階なら、先にパワハラは自分が悪いから?と自分を責めてしまうときの考え方を読んでみてください。

パワハラで味方を作るときの基本:話す相手は1〜2人から

味方がいると、気持ちの支えになるだけでなく、あとで会社や公的な窓口に相談するときに「その場を見ていた人」がいることになります。ただし、職場の多くの人に一度に話すのはおすすめしません。話が人づてに変わって加害者に届いたり、聞いた側が板挟みになったりするからです。

最初に話す相手は1〜2人に絞り、頼むことも段階的に増やします。どの段階まで頼むかは、相手との関係と、相手が受け止められそうな重さで決めます。

味方に頼めることの段階と、相手にかかる負担
段階 頼むこと 相手の負担
1 話を聞いてもらう(誰にも言わないでもらう) 小さい
2 会議の後や呼び出しの後に声をかけてもらう、昼休みを一緒に過ごす 小さい
3 その場で見聞きしたことを、本人なりに覚えておいてもらう 中くらい
4 会社が事実確認をするときに、見たままを話してもらう 大きい
5 見聞きしたことを書面(陳述書)にしてもらう 大きい

4と5は、相手の名前が会社や相談先に伝わる段階です。ここまで頼むのは、記録がある程度たまり、会社や公的な窓口に相談すると決めてからで十分です。証言や陳述書の頼み方はパワハラの証拠になる証言を同僚に頼むときの文例にまとめています。

信頼できる人の選び方:確かめたい5つの点

味方になってもらう人は、仲の良さだけで選ぶと後で困ることがあります。次の5つを順に考えてみてください。

  1. 口が堅いか:普段から人の噂を広めない人か。休憩室の雑談で誰かの話をしていないか
  2. 加害者との距離:加害者の直属の部下で評価を握られている人や、加害者と昼食を共にするほど親しい人は、協力したくても板挟みになりやすい
  3. その場面を見聞きしているか:同じ島の席、同じ会議に出ている人は、あとで事実を話せる
  4. 立場の違い:同じ部署の同僚のほか、別部署の同期、異動した元の先輩、労働組合の役員なども候補になる
  5. 関係が続けられるか:打ち明けた後も、普段どおり仕事を一緒にできる相手か

厚生労働省のパワハラ指針は、上司だけでなく、同僚や部下の集団による行為で抵抗が難しいものも「優越的な関係」の例に挙げています。職場の空気が加害者寄りのときは、同じ部署の中で味方を探すより、別部署の人や社外の人を支えにする方が安全な場合もあります。家族に話すときの伝え方はパワハラを家族に相談するときの話し方に、誰にも話せないときの最初の一歩はパワハラを誰にも相談できないときにあります。

同僚に話す範囲:伝えること・まだ伏せておくこと

味方に話すときは、全部を打ち明ける必要はありません。相手が受け止めやすく、あとで自分が困らない範囲に絞ります。

伝えること まだ伏せておくこと
起きたことを1〜2例(日付と、言われた言葉そのまま) 記録ノートの全部、録音ファイルそのもの
自分の体調や、仕事で困っていること 会社や労働局に相談する予定の日時や中身
相手にお願いしたいこと(1つだけ) 加害者の人柄への悪口や、過去の噂・推測
誰にも言わないでほしいこと ほかに被害を受けていそうな人の名前(本人の了解がないもの)

悪口や推測を混ぜると、聞いた側は「どこまで本当か」と迷い、協力しにくくなります。あとで「言いふらしていた」と言われるきっかけにもなります。ほかの人の被害は、その人の私的な事情でもあるので、本人の了解なく話さないようにします。

打ち明けたら、その日の自分の記録に「○月○日、△△さんに□□の件を話した」と書いておきます。誰がいつ知ったかが分かると、話が漏れたときにたどれます。

協力の頼み方:段階ごとの文例

頼むときは、1回に1つだけ、断る余地を言葉にして伝えます。期限を切らないことも大切です。

段階1:話を聞いてもらう

「少し時間をもらえるかな。最近、○○さんとのことでしんどい場面が続いていて。今日は聞いてもらえるだけで十分だから、ほかの人には内緒にしておいてほしい。」

段階2:一人にしないでもらう

「毎週の個別の打合せの後、私が戻ってきたら一声かけてもらえると助かる。何かしてほしいわけじゃなくて、一人で抱えている時間を少し減らしたくて。」

段階3:見たことを覚えておいてもらう

「先週の朝礼で、私が大きな声で言われていたのを見ていたよね。今すぐ何かをお願いするつもりはないけれど、もし先々会社から話を聞かれることがあったら、見たままを話してもらえるとありがたい。難しければ断ってくれて構わないよ。」

チャットで頼むとき

「急ぎではないので、時間があるときに5分だけ話を聞いてもらえませんか。仕事のことで少し相談したいことがあります。」

チャットや社内メールには具体的な出来事を書かず、会って話す約束だけを取ります。会社のシステムの記録は、管理者が見られる場合があるからです。相手が断ったり返事をためらったりしたときは、「聞いてくれてありがとう」で引き、その後の態度を変えないようにします。

味方になってくれた人の負担に配慮する

協力をお願いする相手には、法律の守りがあることを伝えられます。労働施策総合推進法 第31条2項は、労働者が会社に相談したことや、会社の相談対応に協力して事実を述べたことを理由に、解雇その他の不利益な取扱いをしてはならないと定めています。指針も、そのことを会社が定めて周知するよう求めています。

ただし、法律が止めるのは会社による不利益な取扱いで、職場の気まずさや加害者の態度までは防ぎきれません。協力者を守るために、次のことを心がけます。

  • 相手の名前を会社や相談先に出す前に、もう一度了解を取る
  • 加害者のいる場で、協力者と相談の話をしない
  • 協力者から聞いた話を、加害者に言い返す材料に使わない
  • 相手が疲れている様子なら、頼みごとをいったん止める
  • 協力してもらった後も、お礼を言葉で伝える

逆の立場で、同僚がパワハラを受けているのを見て何かしたい人は職場のパワハラを目撃したらできることを読んでください。職場の中に味方が見つからなくても、社外の公的な窓口で話を聞いてもらうことはできます。窓口ごとの役割はパワハラの相談はどこへ?窓口ごとにできることと選ぶ順番で比べられます。味方ができても、まだ会社に言い出す気持ちになれないときは、パワハラで泣き寝入りしたくないとき:我慢し続ける前に残せるものに進んでください。味方ができて相手に言い返すかどうかを考えるなら、次の記事パワハラ上司に言い返すべき?反論するときの言い方と避けたい言葉で言い方を確かめられます。

よくある質問

Q. 職場に味方になってくれそうな人が一人もいないときは、どうすればいいですか?

味方は職場の中にいなくてもかまいません。家族や社外の友人に話を聞いてもらう、公的な相談窓口に匿名で話してみる、といった形でも孤立は防げます。職場の中の協力者は、記録と相談を進めるうちに見えてくることもあるので、焦って探さなくて大丈夫です。

Q. 同僚に打ち明けた話が、パワハラをしている上司に伝わってしまったら?

いつ、誰から、どんな形で伝わったと分かったのかを記録に書き足します。そのあと上司の態度が変わった、仕事を外されたなどの変化があれば、それも日付つきで残してください。会社に相談したことを理由とする不利益な扱いへの対処は、相談して悪化したときの記事で整理しています。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

パワハラの証拠になる証言を同僚に頼むとき:頼み方の文例と陳述書

パワハラで泣き寝入りしたくないとき:我慢し続ける前に残せるもの

職場のパワハラを目撃したら:同僚を助けたいときにできること