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パワハラは自分が悪いから?自分を責めてしまうときの考え方

この記事のもくじ
  1. 「自分が悪い」と「その言い方が許される」は別の問題
  2. 指導の「内容」と「言い方」を分けて考える
  3. 評価と人格否定を区別する記録の付け方
  4. 自分を責める考えが止まらないとき
  5. 自分を責めないために、次にできること

パワハラを受けて「自分が仕事ができないからだ」「自分が悪いからだ」と責めてしまう人は少なくありません。けれども、仕事にミスがあることと、どんな言い方をされても仕方がないことは、別の問題です。厚生労働省のパワハラ指針も、労働者の側に問題がある場合は、その内容や程度と、指導の仕方との釣り合いを見るとしています。ミスは業務として直し、人格を否定する言葉は記録して相談する、と分けて考えてください。この記事では、その分け方と、記録の付け方、責める気持ちが止まらないときの相談先を整理します。

「自分が悪い」と「その言い方が許される」は別の問題

パワハラ指針は、職場のパワハラを、優越的な関係を背景とした言動で、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、就業環境が害されるもの、と定めています。この「業務上必要かつ相当な範囲を超えたか」を考える要素として、指針は、言動の目的、労働者の問題行動の有無や内容・程度を含む経緯や状況、言動の態様・頻度・継続性などを総合的に考えるとしています。

つまり、自分にミスや問題があったかどうかは考える要素の一つですが、それで結論が決まるわけではありません。指針は、労働者の行動が問題となる場合は、その内容・程度と、指導の態様などとの相対的な関係が重要な要素になると書いています。

指針が挙げている例を、該当すると考えられる例と、しないと考えられる例に分けて並べると、違いが見えやすくなります。

指針で「該当しないと考えられる例」 指針で「該当すると考えられる例」
遅刻など社会的ルールを欠いた言動があり、再三注意しても改善されない労働者に、一定程度強く注意をすること 人格を否定するような言動
業務の内容や性質などに照らして重大な問題行動を行った労働者に、一定程度強く注意をすること 業務の遂行に関する必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行うこと
育成のために現状よりも少し高いレベルの業務を任せること 新卒採用者に必要な教育を行わないまま到底対応できないレベルの業績目標を課し、達成できなかったことに対し厳しく叱責すること

左の列は、問題のある行動に対して「一定程度」強く注意する例です。右の列は、言い方や長さ、求める水準が、業務に必要な範囲から外れている例です。ミスがあっても、注意の仕方が右の列のようなものであれば、それは自分のミスとは別に考えてよいことになります。例と少し違うからといって当たる・当たらないが決まるわけではないので、迷うときは記録を持って相談してください。指導との境目はパワハラと指導の違いは?業務上必要な範囲を見分ける視点でも詳しく扱っています。

指導の「内容」と「言い方」を分けて考える

自分を責めてしまうときは、上司に言われたことを一つの塊で受け止めていることが多いものです。言われたことを「内容」と「言い方」に分けると、直すべきことと、自分が背負わなくてよいことが分かれて見えてきます。

言われたことを「内容」と「言い方」に分ける
上司に言われたこと(例) 内容(業務の指摘) 言い方(態度・言葉)
「また数字が違う。お前は本当に使えないな」 資料の数字に誤りがあった 「使えない」という能力の否定
「何回言ったら分かるんだ」と1時間立たされたまま叱られた 手順を守らなかった 1時間という長さ、立たせたままという態度
皆の前で「新人以下だ」と大声で言われた 報告が遅れた 人前で、大声で、他人と比べる言葉
「こんなこともできないなら辞めろ」 期限に間に合わなかった 退職を迫るような言葉

真ん中の列は、業務として受け止め、直していくことです。右の列は、ミスを直しても消えるものではなく、自分の価値とは関係のない、相手の言動の問題として記録しておくことです。真ん中の列が空になる(業務の指摘が何もない)場合は、その言葉はほとんどが言い方だけでできている、ということになります。

評価と人格否定を区別する記録の付け方

自分を責める気持ちを少しずつほどくには、記録の付け方を工夫するのが効果的です。おすすめは、1件ごとに次の5つの欄を作ることです。

  1. 日時・場所・その場にいた人
  2. 指摘された業務の中身(何についての指摘だったか)
  3. 言われた言葉そのまま(言い換えず、覚えている限り正確に)
  4. 自分のミスの有無と、その後にした対応
  5. 体調や気持ちの変化

記入例:「10月21日 14時ごろ、課の島で。BさんとCさんがいた。②取引先への見積書の単価が旧価格のままだった。③『小学生でもできる。給料泥棒が』と言われた。④単価の誤りは自分のミス。15時に修正版を送り、課長にも報告済み。⑤夜、何度も目が覚めた。」

④の欄に自分のミスを正直に書いておくのは、自分を責めるためではありません。ミスと、それに対する対応を記録しておくことで、「ミスはあったが直した、それでも③の言葉が続いた」という経過が、後で第三者にも伝わる形になります。自分が悪いのかどうか分からない段階でも、相談してかまいません。労働施策総合推進法第31条1項にもとづく会社の相談体制について、指針はパワハラに当たるか微妙な場合も広く対応することを求めています。記録の項目の詳しい書き方はパワハラの記録ノートの付け方にまとめています。

自分を責める考えが止まらないとき

記録を付けても「やっぱり自分が悪い」という考えが繰り返し浮かぶときは、次の問いを試してみてください。

  • 同じミスを同僚がしたとき、自分はその同僚に同じ言葉をかけるか
  • ミスを直すためにしたこと(修正・報告・再発防止)は、記録に書いたか
  • 叱られる理由が、業務の中身から人柄や存在そのものに移っていないか
  • 上司の言葉が、休みの日の自分の考え方にまで入り込んでいないか

最後の問いに当てはまり、眠れない、気分が沈んだままという状態が続くなら、前のパワハラ上司が夢に出る・頭から離れないときで受診の目安と相談先を確かめてください。厚生労働省の「こころの耳」では、働く人の心の悩みを電話やLINEで無料で聞いてもらえます。ただし、パワハラに当たるかどうかの判断はしない窓口なので、その相談は労働局の窓口へ分けて考えます。窓口の番号と時間は仕事がつらい・限界のときの相談先にまとめています。

自分を責める考えのくせを、継続して誰かと一緒に見直したい人には、有料のオンラインカウンセリングも選択肢の一つです。資格(公認心理師・臨床心理士など)、料金、相談の方法を確かめて選んでください。カウンセリングは診断や治療ではないので、不眠や落ち込みが続くときは受診を先にします。

自分を責めないために、次にできること

一人で抱えていると、上司の言葉だけが判断の材料になり、自分を責める方向に傾きやすくなります。職場の中に一人でも事情を知っている人がいると、見え方が変わることがあります。同僚に話す範囲や頼み方はパワハラで職場に味方を作る:同僚に話す範囲と協力の頼み方にまとめています。

仕事を与えられない、干されているという形で「自分は役に立たない」と感じさせられている場合は、仕事を与えないパワハラ:干されたときの記録と会社への伝え方を読んでください。なぜ自分だけが、という思いが強い人はパワハラ上司の標的にされたときが、相手への怒りが自分を責める気持ちと入れ替わって苦しい人はパワハラ上司の末路はどうなる?起こりうることと請求の期限、怒りの向け方が参考になります。

自分を責める気持ちが少し落ち着いたら、我慢して終わらせないために何を残せるかを、次の記事パワハラで泣き寝入りしたくないとき:我慢し続ける前に残せるもので確かめてください。

よくある質問

Q. 実際に仕事でミスが多いのですが、それでもパワハラを相談していいのでしょうか?

相談して構いません。パワハラ指針は、労働者の側に問題がある場合も、その内容や程度と指導の仕方との釣り合いを見るとしています。また、パワハラに当たるか微妙な場合でも広く相談に応じることを会社に求めています。ミスの事実と言われた言葉を分けて記録し、そのまま相談の場に持っていってください。

Q. 周りの人は普通に働けているのに、自分だけ叱られるのは自分のせいでしょうか?

自分だけが叱られる理由は一つとは限らず、本人の落ち度とは別の事情で特定の人が標的になることもあります。まずは同じミスをした人と扱いに差があるかを、日付つきで書き残してみてください。標的にされていると感じるときの整理は、パワハラ上司の標的にされたときの記事にまとめています。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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