パワハラを相談したらどうなる?窓口ごとのその後の流れを比較
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パワハラを相談したその後は、どこに相談したかで大きく変わります。社内の窓口なら、会社が双方から事実を確かめ、結果に応じて配慮や処分、再発防止の措置をとる流れになります。都道府県労働局なら、まずは相談だけで会社には伝わらず、希望すれば労働局長の助言・指導・勧告や、調停へ進みます。労働基準監督署は、残業代や解雇予告などの労働基準法違反を扱う役所で、パワハラそのものの相談は労働局へ案内されることがあります。
パワハラを相談したらどうなる?3つの窓口のその後を比較
最初に、窓口ごとの「その後」を一覧にします。
| 社内の相談窓口・人事 | 都道府県労働局(雇用環境・均等部(室)、総合労働相談コーナー) | 労働基準監督署 | |
|---|---|---|---|
| 相談した直後 | 担当者が話を聞き、調査に進むか本人の意向を確かめる | 情報提供・助言。この段階では会社に連絡しない | 労基法違反に当たる事実があるかを聞く |
| 会社に伝わる時期 | 調査(事実確認)を始めた時点 | 援助や調停を申し出た時点 | 違反の疑いで会社を調べる段階 |
| その後の手続 | 事実確認→被害者への配慮・行為者への措置→再発防止 | 労働局長の助言・指導・勧告/紛争調整委員会の調停 | 会社への調査や是正の指導(労基法違反の場合) |
| 強制力 | 会社の就業規則に基づく措置 | 勧告・調停案は従わせる命令ではない。制度の利用は無料 | 労基法違反の是正が対象 |
どの窓口でも、「相談したらすぐ加害者が処分される」「相談したらすぐ会社に知られる」というわけではありません。それぞれ段階があり、多くの場面で次に進むかどうかを相談者が選べます。
社内の窓口に相談した後の流れ:事実確認から措置まで
会社(事業主)には、パワハラの相談に応じ、適切に対応する体制を整える義務があります(労働施策総合推進法第31条)。厚生労働省の指針が示す、相談を受けた後の流れは次のとおりです。
- 事実関係の確認:相談者と行為者の双方から話を聞く。主張が食い違い、事実が確かめにくいときは、第三者からも聞く。それでも難しい場合は、労働局の調停など中立な第三者機関に委ねることも考えられる。
- 被害者への配慮の措置:事実が確認できたら、関係改善の援助、引き離すための配置転換、行為者の謝罪、労働条件上の不利益の回復、メンタルヘルス不調への相談対応などを行う。
- 行為者への措置:就業規則などに基づく懲戒その他の措置、配置転換、謝罪など。
- 再発防止:方針の再周知や研修の再実施。事実が確認できなかった場合も、再発防止の措置は講じる。
2と3は指針が挙げる例で、会社が個別にどの措置をとるかは事案ごとに決まります。相談者にとって大事なのは、各段階で「今どこまで進んでいるか」「結果はいつ、どう知らされるか」を確かめることです。ヒアリングを受けるときの準備はパワハラのヒアリングで被害者が準備すること:聞かれる項目と伝え方にまとめています。
また、相談したこと、事実確認に協力して事実を述べたことを理由に、会社が解雇その他の不利益な取扱いをすることは、法律で禁じられています(同法第31条2項)。相談後に扱いが悪くなったと感じるときは、パワハラを相談して悪化したら:報復・不利益な扱いへの対処を読んでください。
労働局に相談した後の流れ:相談→援助→調停
労働局での「その後」は、相談者が段階を選んで進みます。
| 段階 | 中身 | 会社とのかかわり |
|---|---|---|
| ① 相談 | 雇用環境・均等部(室)や総合労働相談コーナーで、状況を話して情報や助言を受ける | なし(匿名でも可) |
| ② 労働局長の援助 | 当事者の一方からの申し出でも、労働局長が会社に助言・指導・勧告をする(同法第36条) | 労働局が会社から事情を聞く |
| ③ 調停 | 紛争調整委員会の調停委員3人が双方の話を聞き、調停案を作って受諾を勧める(同法第37条・第38条) | 会社からも事情や意見を聞く |
ここで知っておきたい点が3つあります。
- 勧告や調停案は命令ではない。 受けるかどうかは当事者が決めます。調停で解決の見込みがないと判断されれば、打ち切られます。
- 援助・調停の申し出を理由に、会社が不利益に扱うことは禁じられている(同法第36条2項・第37条2項)。
- 扱いの区分がある。 調停かあっせんかは労働局が受付で振り分けるので、最初から決めておく必要はありません。区分の中身と段階ごとの使いどころはパワハラを相談しても解決しないとき:次に打てる手の一覧にあります。
調停の仕組みの詳細は労働局の助言・指導と調停:パワハラ・カスハラの紛争を解決する仕組み、調停とあっせんの使い分けは労働局の調停とあっせんの違い:パワハラ・セクハラ・いじめで使い分けで扱っています。
労働基準監督署に相談した後の流れ
労働基準監督署(労基署)が扱うのは、労働時間・賃金・解雇などの労働条件、職場の安全衛生、労災保険です。パワハラそのものを所管するのは労働局の雇用環境・均等部(室)なので、「上司に暴言を言われる」という相談だけでは、労基署から労働局を案内されることがあります。
一方、パワハラと一緒に次のような問題があるなら、労基署が動く対象になりえます。
- 残業代が払われない、長時間労働が続いている
- 解雇予告や解雇予告手当の扱い
- パワハラで心身を壊した場合の労災保険の請求
労働基準法などの違反の事実がある場合、労働者はその事実を労基署や労働基準監督官に申告でき、申告を理由とする解雇その他の不利益な取扱いは禁じられています(労働基準法第104条)。相談と申告の違いや、労基署ができることの範囲は労働基準監督署ができること・できないこと:相談前の早見表にまとめています。
相談した後に自分ですること:チェックリスト
どの窓口に相談した場合も、相談の後に次のことをしておくと、話が止まったときや別の窓口に移るときに困りません。
- 相談した日・相手・方法・言われたことを、その日のうちに書き残した
- 社内なら、相談の要点を確認のメールで担当者に送った
- 次の連絡がいつ、どの方法で来るのかを聞いた
- 調査に進むか、誰にどこまで伝えてよいかについて、自分の希望を伝えた
- 相談後の職場での扱いの変化(担当・席・評価・言動)を記録し続けている
- 体調の変化や通院を記録している
相談しても話が進まない、結果に納得できないときは、段階を上げる手があります。パワハラを相談しても解決しないとき:次に打てる手の一覧で、相談→援助→申立て→法的手段の順に整理しています。すでに退職した人は退職後でもパワハラを相談できる?辞めた後に使える窓口と期限を見てください。相談したことを家族にどう話すか迷っている人は、次の記事パワハラを家族に相談するとき:話し方と心配させたくないときの選択へ進んでください。
よくある質問
Q. 労働局に相談しただけで、会社に連絡が行きますか?
相談しただけでは、会社に連絡は行きません。厚生労働省は、労働局の雇用環境・均等部(室)や総合労働相談コーナーへのハラスメントの相談は匿名でもよいと案内しています。会社に話が伝わるのは、労働局長の援助や調停を申し出て、労働局が会社から事情を聞く段階になってからです。
Q. 社内で相談した結果、「パワハラではない」と言われたら終わりですか?
終わりではありません。指針は、事実が確認できなかった場合でも、会社に再発防止の措置をとるよう求めています。また、会社の判断に納得できないときは、労働局に相談して援助や調停を求める道があります。どの事実を確かめ、どう判断したのかを会社に書面で尋ねておくと、次の相談先でも説明しやすくなります。
出典・参考にした公的な情報
- 労働施策総合推進法 第31条・第35条〜第38条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 事業主が講ずべきハラスメント対策パンフレット(パワハラ指針 令和8年10月1日適用時点の本文)(厚生労働省)
- 個別労働紛争解決制度(労働相談、助言・指導、あっせん)(厚生労働省)
- 労働基準法 第104条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 相談窓口等一覧(労働基準監督署・雇用環境・均等部(室))(厚生労働省)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。