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退職時の貸与品の返却と私物の受け取り:会わずに済ませる方法

この記事のもくじ
  1. 何を返して、何を受け取るかを先に仕分ける
  2. 会わずに返却する手順
  3. 私物を送ってもらう依頼のしかた
  4. 返却や送付に応じてもらえないとき
  5. 会社との連絡そのものがつらいとき

退職するときの貸与品の返却と私物の受け取りは、人事や総務を窓口にして、宅配便で送り合う形にすれば、加害者と顔を合わせずに済ませられる場合がほとんどです。会社に行かなくてよいかどうかは、会社に「郵送で返却したい」と文字で伝え、返事をもらって決めます。この記事では、返すものの仕分け表、送る手順、人事に送る依頼文の例、応じてもらえないときの考え方を順に示します。

何を返して、何を受け取るかを先に仕分ける

最初に、手元の物を3つに分けます。会社のものは返す、自分のものは受け取る、どちらか迷うものは人事に聞く、という分け方です。

返却と受け取りの仕分け表
区分 物の例 扱い
会社に返すもの 社員証・入館カード、鍵、制服、名刺(自分の名刺と受け取った名刺)、会社のパソコン・携帯電話、会社のクレジットカード・交通系カード、業務の書類・マニュアル、会社名義の工具や備品 退職日までに会社へ届くよう送る
加入先へ返すもの 健康保険の保険証や資格確認書など 会社経由か加入先へ返す。協会けんぽは、資格喪失後に資格確認書をすみやかに返納するよう案内している(保険証の扱いは加入先の案内に従う)
自分が受け取るもの 机やロッカーの私物、私物の傘・食器・衣類、私物のUSBメモリや充電器 人事に送付を依頼する
迷うもの 自分で買った仕事用の道具、会社の経費で買ったか不明な備品、取引先から預かった資料 「返す/持ち帰る」をメールで確認してから動く

名刺は、受け取った名刺も会社の資産として扱われることが多いので、手元に残っていれば返す側に入れておくと後で揉めません。迷う物は、物の名前を箇条書きにして人事に聞きます。

返す前に、自分を守るために済ませておくことが2つあります。1つは、会社のパソコンや携帯電話に入っている自分の記録のうち、持ち出せるもの(自分の給与明細、自分宛てに届いた私的な連絡など)の控えを取ることです。会社の機密や取引先の情報は持ち出さないようにします。もう1つは、パワハラの記録を会社の端末にしか残していない人が、返却の前に何を手元に残せるかを整理することです。残し方はパワハラの記録を残す方法と保管の注意で扱っています。

会わずに返却する手順

流れは、人事への連絡、梱包、発送、受領の確認の4段階です。

  1. 人事または総務に、郵送で返却したいと文字で伝える。 メールか、メールが難しければ書面で送ります。直属の上司ではなく人事を宛先にし、返却先の住所と宛名を聞きます。
  2. 返す物の一覧を作る。 上の仕分け表をもとに、物の名前と数をメモします。同じ一覧を荷物に入れ、メールにも貼ります。
  3. 梱包して、中身を写真に撮る。 箱に入れる前の物と、入れた後の箱の中を撮っておきます。パソコンや携帯電話は傷がないことが分かる向きでも撮ります。
  4. 追跡できる方法で送る。 宅配便なら伝票の控えが残ります。貴重な物や機器を入れるときは、荷物の補償があるサービスを選ぶ方法もあります。
  5. 発送の連絡をメールで入れる。 送った日、伝票番号、箱の数を書きます。
  6. 到着の返事をもらう。 「届きました」の一言でかまいません。返事がなければ、追跡の画面で配達完了を確認して、その画面を保存します。

返却を連絡するメールの例:「人事部〇〇様 〇月〇日付で退職いたします〇〇です。体調の都合で出社が難しいため、貸与品を宅配便で返却したいと考えております。返却先の住所と宛名、送料の扱い(元払い・着払い)をご教示ください。返却予定の物は、社員証、入館カード、鍵、パソコン、制服、名刺です。」

発送を連絡するメールの例:「本日〇月〇日に、貸与品を宅配便で発送いたしました。伝票番号は〇〇〇〇、箱は〇個です。一覧を箱の中にも入れております。お手数ですが、到着後にご返信をお願いいたします。」

有給休暇の消化中は在籍しているので、日程は最終出社日と退職日を人事と合わせます。有給を使い切る日程の組み方は退職時の有給消化:拒否されたときの考え方と伝え方の例文にあります。

私物を送ってもらう依頼のしかた

私物は、物の名前と置き場所を書いて、送付を依頼するのが基本です。置き場所が分かる物は具体的に書くと、会社側も探しやすくなります。

私物の送付を頼むメールの例:「以下の私物が会社に残っておりますので、着払いでご送付いただけませんでしょうか。①〇階の自席の引き出しにある黒い筆箱、②ロッカー(番号〇)の中の傘と上着、③デスク上のマグカップ。送付先は〇〇です。〇月〇日までにお送りいただけますと助かります。お忙しいところ恐れ入ります。」

ポイントは3つあります。

  • 期限を書く(「〇月〇日までに」)。期限があると、会社側も後回しにしにくくなります。
  • 送料は着払いにするか、先に金額を聞く。費用の負担は会社と取り決めがないことが多いので、揉めない形を選びます。
  • 貴重品や代わりのきかない物(印鑑、通帳、大切な写真など)は、依頼の前に、会社に預けていないかを思い出して一覧に入れます。

取りに行く必要があるときは、家族や知人に頼む方法もあります。委任状は、会社が求めたときに用意すれば足ります。顔を合わせたくない相手が出社している時間帯を避けて、人事の担当者が受け渡す形にしてもらうよう依頼します。

返却や送付に応じてもらえないとき

会社から「取りに来い」「直接持ってこい」と言われた場合は、次のように返します。

返し方の例:「体調の都合で出社できないため、郵送でお願いしたく存じます。ご都合が悪い理由があれば教えていただけますか。」

それでも応じてもらえないときの選択肢は、状況で分かれます。

状況 考えられる対応
私物が送られてこない 期限を決めた2通目のメールを送り、送った日と文面の控えを残す
返却物の受け取りを会社が拒む 受け取りを拒まれた事実(送付の記録)を残し、再度送るかは人事と相談
賃金や積立金などの返還が滞る 労働基準法第23条は、退職した労働者の請求があれば7日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金などの労働者の権利に属する金品を返還するよう定めている。総合労働相談コーナーに相談できる
連絡を取ろうとして脅しや嫌がらせが続く 記録を残して、窓口に相談する

私物が第23条の「労働者の権利に属する金品」に当たるかは、物の内容で判断が分かれることがあります。相談先の電話番号と受付時間はパワハラの相談窓口一覧:電話番号・受付時間・できることの早見表にまとめています。

会社との連絡そのものがつらいとき

返却と受け取りのやり取りだけでも、加害者の名前を目にするのがつらい人がいます。その場合は、退職の意思を伝える段階から第三者に頼む方法があります。退職代行は、退職の意思を伝える連絡を代わりに行い、返却や私物の受け取りの段取りを、本人と会社の間で整える役目を担うことが多い仕組みです。

退職代行を使う場合の返却物の扱いは、退職代行のときの返却物・制服の返し方と私物の受け取り方で詳しく扱っています。強い引き止めを受けていて、物のやり取りどころではないときは、退職の引き止めの断り方:パワハラ気味の強い引き止めへの対応から先に読んでください。

別れ際の挨拶をどうするかはパワハラで辞めるときの退職の挨拶:しない選択とする場合の短い例文で選べます。荷物を送り終えたら、返却の記録(写真、伝票、メール)は退職後もしばらく保管します。次は、会社から受け取る書類と役所の手続きを退職手続きのチェックリスト:会社から受け取る書類と役所の手続きで確認してください。

よくある質問

Q. 返却の送料は自分で払わないといけませんか?

送る前に、元払いにするか着払いにするかを人事にメールで聞いておくのが安全です。会社から指定があればそれに従います。指定がなければ、追跡できる元払いで送り、領収の控えを残します。

Q. 会社のパソコンの中に私物の写真やファイルが入っています。消してから返していいですか?

会社のデータを削除したり初期化したりすると、後から問題にされることがあるので、返す前に何もしないのが基本です。私物のデータだけを自分のUSBメモリなどに写し、会社の業務データは持ち出さないようにします。写し方に迷うときは、人事に「私物のファイルを取り出してから返してよいか」をメールで聞いておくと、回答が文字で残ります。

Q. 退職日の前に有給休暇が残っている場合、いつ返せばいいですか?

有給休暇の間も在籍しているため、貸与品は最終出社日か、遅くとも退職日までに会社へ届くようにするのが一般的です。有給を使い切る日程の組み方は、退職時の有給消化の記事にまとめています。送付の日付は人事とメールで確認しておきます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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