アルバイトのパワハラ:店長からの暴言・シフト外しの相談先
アルバイトも、パワハラの指針の対象になる労働者です。労働基準法9条は、労働者を「事業に使用される者で、賃金を支払われる者」と定めており、学生でも、週に数日の勤務でも、賃金を受け取って働いていれば当てはまります。店長の暴言やシフト外しに悩んだとき、使える窓口と、記録の取り方、相談の順番を順に説明します。
アルバイトでも使える窓口
パワハラ対策の措置を講じる義務は、労働施策総合推進法31条により、事業主にあります。店の規模や、働く人が正社員かアルバイトかは問われません。使える窓口は次のとおりです。
| 窓口 | できること | 向く場面 |
|---|---|---|
| 店のエリアマネージャー、本部の担当部署 | 店長以外の立場から、事実確認と対応を求める | 店長が加害者で、店内に相談先がない |
| 会社の相談窓口(ある場合) | 事実確認、配置などの調整 | 本部に窓口が置かれている |
| 総合労働相談コーナー | 無料・予約不要で、労働問題全般の相談。面談と電話 | どこへ言えばいいか分からない |
| 雇用環境・均等部(室) | パワハラの相談、労働局長の助言・指導・勧告、調停の案内 | 会社が動かない、外部で解決したい |
| 大学・学校の相談窓口 | 学生としての困りごとの相談。窓口の名前や対応は学校ごとに違う | 学生で、校内の窓口が使える |
番号と受付時間は、パワハラの相談窓口一覧:電話番号・受付時間・できることの早見表にまとめています。総合労働相談コーナーは学生も対象です。
店長の暴言・シフト外しを指針で見ると
パワハラは、①優越的な関係を背景とした言動で、②業務上必要かつ相当な範囲を超え、③就業環境が害されるもの、のすべてを満たすものと指針は定めています。店長とアルバイトの関係は、シフトや評価を握る立場の差があるため、①が問題になりにくい関係です。争点は②と③です。
| 場面 | 近い類型・指針の例 | 記録するポイント |
|---|---|---|
| 客の前や他のバイトの前で、大声で人格を否定される | 精神的な攻撃。面前での大声による威圧的な叱責を繰り返すことが該当例 | 言われた言葉、場所、居合わせた人 |
| グループLINEで名指しで罵倒される | 精神的な攻撃。罵倒する電子メール等を複数の労働者宛てに送ることが該当例 | 画面の保存、送られた日時 |
| 気に入らない人にだけシフトを入れない、仕事を与えない | 過小な要求。嫌がらせのために仕事を与えないことが該当例 | 希望シフトの提出日と結果、他の人との違い |
| 私用の買い出しや掃除を一人だけに命じられる | 過大な要求。業務と関係のない私的な雑用を強制することが該当例 | 命じられた内容、頻度 |
| 遅刻や無断欠勤を再三したあとに、強めに注意される | 該当しない例。再三注意しても改善されないことに一定程度強く注意する | 注意の内容、言い方、長さ |
表の例は、アルバイトだから該当が弱くなるという話ではありません。見られるのは、言動の目的、問題行動の有無と程度、態様、頻度、継続性です。右の列の項目を残すことで、あとで窓口に事実を示せます。
シフトを減らされる場合は、二つの問題が混ざります。 一つは、特定の人にだけ仕事を与えない形で、過小な要求の例に近い話です。もう一つは、シフトに入れず収入が減る話で、労働基準法26条は、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合、平均賃金の100分の60以上の休業手当を支払うことを求めています。シフトの減少がこの休業にあたるかは、契約書のシフトの定めと、これまでの経緯で変わります。契約書を持って、労働基準監督署や総合労働相談コーナーに聞いてください。
記録の取り方(バイト用)
アルバイトは、勤務日と時間が変わり、LINEで指示が来ることが多いので、次の形で残します。
- シフト表と希望シフトの提出記録を撮る(いつ提出し、何が入ったかを示す)
- LINEやチャットの画面をそのまま保存する。トーク全体の日付が見える状態で撮る
- 暴言や威圧は、その日のうちに日付、時間、場所、言葉、居合わせた人を書く
- 給与明細と、労働条件通知書(雇用契約書)を保管する。書面をもらっていなければ、メールで請求する
- 体調の変化(バイト前に気分が悪くなる、眠れない)も、日付とあわせて書く
言葉を残す型は上司の暴言への対処:言われた言葉の記録と相談先へ伝えるまでにあります。
相談の順番と、伝え方の文例
- 記録を整える。月ごとに、日付順の一覧にします
- 本部の担当部署か、エリアマネージャーに伝える。店長を通さず、問い合わせ先に連絡します
- 会社が動かなければ、総合労働相談コーナーか雇用環境・均等部(室)へ
- 学生は、並行して学校の相談窓口にも話す。学校ごとに窓口の名前や対応が違うので、まず何が相談できるかを聞きます。
本部に送るメッセージの例です。
「〇〇店でアルバイトをしている〇〇です。店長について相談したいことがあり、ご連絡しました。〇月〇日、〇日、〇日のシフト中に、他のスタッフの前で『お前は何もできない』と言われました。同じ日に、グループLINEでも名指しで書かれています。画面を保存しています。希望を出したシフトが入らない状態も続いており、状況を確認いただきたいです。」
学校の窓口に話すときの例です。
「アルバイト先の店長から暴言を受けています。勤務日と言われた言葉を記録しています。バイトを続けるか迷っているので、どこに相談できるか教えてください。」
相談したことを理由とする解雇その他の不利益な取扱いは、労働施策総合推進法31条2項で禁止されています。相談後にシフトが急に減ったときは、日付を記録に足します。
辞めたいときと、辞めさせてもらえないとき
相談のあとで、辞めるかどうかを考える人も多いです。辞める場合に気をつけたいのは、辞める意思を伝えたあとの扱いです。辞めるなら罰金を払えと言われても、労働基準法16条は違約金を定めることを禁じています。自分で伝える文例や、退職代行が費用に見合うかの見分け方はアルバイトでも退職代行は使える?自分で辞める方法との比較にまとめています。
同じ職場でパートとして働く人の相談はパートのパワハラ:パート同士・社員からの嫌がらせの相談先に、派遣社員は派遣社員のパワハラ相談先:派遣元・派遣先それぞれの責任に整理しています。
眠れない、出勤前に動悸がするといった体の変化が続くときは、受診して医師に相談してください。つらさが強く、誰かに話したいときの電話やLINEの窓口は、仕事がつらい・限界のときの相談先:電話・LINEの窓口と受付時間にあります。
よくある質問
Q. 学生アルバイトでも、労働局の窓口を使えますか?
使えます。総合労働相談コーナーは、労働者の相談を幅広く受け付ける窓口で、学生や就活生からの相談も受けると厚生労働省が案内しています。予約不要・無料で、プライバシーの保護に配慮した対応が行われます。学校の相談窓口と並行して使うこともできます。
Q. バイト先で、辞めるなら罰金を払えと言われました。払う必要がありますか?
労働基準法16条は、労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償額を予定する契約をしたりすることを禁じています。「辞めたら罰金」とあらかじめ決める取り決めは、この禁止の対象になりえます。請求の文面や、何に署名したかを保存して、労働基準監督署や総合労働相談コーナーに見せて扱いを聞いてください。実際に生じた損害の話になる場合は、弁護士への相談も選択肢です。
Q. 店長が怖くて、本部に連絡できません。どうしたらいいですか?
本部への連絡は、店長を通さず、本部の問い合わせ先や担当部署に直接伝える方法です。連絡手段が見つからない場合は、労働局の総合労働相談コーナーに先に相談し、伝え方を相談員と考える方法があります。どちらの場合も、記録を手元に用意してください。
出典・参考にした公的な情報
- 労働基準法 第9条・第16条・第26条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 労働施策総合推進法 第31条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 事業主が講ずべきハラスメント対策パンフレット(パワハラ指針本文を収録・令和8年10月1日適用時点)(厚生労働省)
- 総合労働相談コーナーのご案内(厚生労働省)
- 職場におけるハラスメントの防止のために(厚生労働省)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。