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ブラック企業リストとは?厚労省の公表事案の見方と使い方

この記事のもくじ
  1. 厚労省の「ブラック企業リスト」には何が載るのか
  2. 掲載期間は約1年で、改善が確認されれば早く消える
  3. 一覧の見方:応募先を調べる4つの手順
  4. 載っていない=安全、ではない理由
  5. 公表事案の次に見る場所

「ブラック企業リスト」という名前の公式な一覧はありません。一般にそう呼ばれているのは、**厚生労働省が毎月更新して載せている「労働基準関係法令違反に係る公表事案」**です。これは「労働基準法などの違反の疑いで送検され、公表された事案」と「長時間労働などで労働局長が経営トップを指導し、公表した事案」を集めた資料で、2026年10月時点の最新版は、2026年9月30日に掲載された令和7年9月1日〜令和8年8月31日公表分です。応募先を調べるときの材料にはなりますが、載っていない会社を安全とは読めません。この記事では、載る基準・期間・見方と、限界を整理します。

厚労省の「ブラック企業リスト」には何が載るのか

厚生労働省のページを見ても、「ブラック企業」という語は使われていません。資料の正式な名前は「労働基準関係法令違反に係る公表事案」です。長時間労働削減に向けた取組のページから、最新のPDFを開けます。

掲載基準は、厚生労働省の通達(平成29年3月30日 基発0330第11号、平成31年1月31日改正)で決まっています。載るのは次の2種類です。

公表事案に載る2種類と載らないもの
区分 内容
送検事案 労働基準関係法令違反の疑いで送検し、公表した事案
局長指導事案 違法な長時間労働や過労死等、または裁量労働制の不適正な運用が複数の事業場で認められた企業の経営トップに、労働局長が指導し、公表した事案
載らない 送検や局長指導に至っていない事案、パワハラそのもの、職場の評判や口コミ

掲載される項目は、企業・事業場の名称、所在地、公表日、違反した法条項、事案の概要、その他参考事項です。全国分を本省が毎月まとめて掲載し、各都道府県労働局が公表した内容を集約しています。掲載の例には、労働安全衛生法違反(安全措置の不備)や、労働基準法第36条に関わる違法な時間外労働があります。

掲載期間は約1年で、改善が確認されれば早く消える

掲載期間は、公表日からおおむね1年間です。1年がたつと、最初に迎える月末に一覧から削除されます。1年以内でも、送検事案で掲載の必要がなくなったとき、局長指導事案で是正・改善が確認されたときは削除されます。この基準は、平成28年10月1日以降に公表した事案から適用されています。

ここから分かることが2つあります。

  1. 載っている会社は、過去1年ほどの間に公表された事案の当事者で、数年前の事案は一覧にありません
  2. 局長指導事案は、改善の確認で早く消えるので、載っていないからといって、過去に問題がなかったとは読めません

一覧の見方:応募先を調べる4つの手順

最新のPDFは毎月差し替わるため、PDFの住所ではなく、厚生労働省の「長時間労働削減に向けた取組」のページから開くのが確実です。

  1. 最新の掲載ファイルを開き、公表日の範囲(いつからいつまでの公表分か)を確かめる
  2. 応募先の社名で検索する。グループ会社名や、本社と事業場の名前の違いもあるので、所在地の都道府県でも見る
  3. 載っていたら、違反した法条項と事案の概要を読む。賃金の不払い、違法な時間外労働、安全措置の不備など、自分の働き方に関わるものかを見分ける
  4. 公表日を見る。公表から日がたっているほど、その後の変化を面接で聞く余地がある

一覧の項目は上の6つで、公表後の改善の経過を知るための専用の欄はありません。載っている会社へ応募する場合は、面接で次のように聞けます。

質問の例:「御社について、過去に労働基準関係法令に関する公表がありましたと知りました。その後、労働時間の管理や賃金の支払いについて、どのような改善をされましたか。」

聞き方が責める調子にならないよう、「知ったうえで応募している」ことを添えると、答えを具体的にしてもらいやすくなります。

載っていない=安全、ではない理由

一覧は、問題のある会社を網羅したものではありません。限界は次の4つです。

限界 中身
重い事案に絞られる 送検や局長指導まで進んだ事案が中心。違反があっても、上の2種類に当たらない事案は載らない
約1年で消える 去年載っていた会社は、今年の一覧にない
パワハラは対象外 パワハラそのものは労働基準法の違反ではなく、この一覧に載る基準に入っていない
実態の評判は載らない 職場の雰囲気、離職の多さ、上司の言動は、一覧から読めない

パワハラについては、別の仕組みがあります。労働施策総合推進法第42条2項は、パワハラ防止の措置義務(第31条)などに違反している事業主が、厚生労働大臣の勧告に従わなかったときは、その旨を公表できると定めています。ただし、これは勧告に従わなかった場合に限られる制度で、上の一覧とは別のものです。

民間のサイトやSNSが作っている「ブラック企業一覧」は、公的資料ではありません。載せる基準や更新日がはっきりしていない場合があるため、見かけたら、いつの情報か、誰がどういう基準で載せたかを確かめてから使います。企業名を転載して拡散することは、名誉の問題にもなりうるので、おすすめしません。

公表事案の次に見る場所

公表事案は「疑いのある会社を避ける」ための最初の網で、そのあとに、次の順で確かめる材料を足していくと、判断の抜けが減ります。

ブラック企業の特徴そのものは、ブラック企業とは?特徴と次の職場で繰り返さないための見分け方で扱っています。応募するときに前の会社へ問い合わせがあるかが不安な人は、転職先の前職調査はある?前の会社への問い合わせとリファレンスチェックを読んでください。

口コミを読める転職サービスや、企業から声がかかるスカウト型のサービスという選択肢もあります。使うときは、運営会社、口コミの投稿・削除のルール、料金の有無を公式の説明で確かめてください。

公表事案は、厚生労働省の最新の掲載ファイルが正本です。個別の会社が載っているかは、そのファイルで確かめます。

よくある質問

Q. ブラック企業リストに載っている会社に応募するのはやめたほうがいいですか?

載っているかどうかだけで、応募の可否は決められません。見るのは、違反の法条項と事案の概要、公表日です。公表から時間がたっていれば、その後の改善を面接で聞けます。長時間労働や賃金の不払いなど、自分が重視する働き方に関わる違反であれば、応募前に求人票と面接で具体的に確かめてください。

Q. 載っていない会社は、ブラック企業ではないと言えますか?

言えません。掲載されるのは送検された事案などに限られ、公表から約1年で一覧から外れます。パワハラや長時間労働の実態があっても、載らない会社はあります。載っていないことは「この一覧では見つからなかった」というだけの情報なので、求人票や面接で確かめる作業は省けません。

Q. パワハラをしていた会社の名前は、この一覧で分かりますか?

パワハラそのものは労働基準法違反ではないため、原則として、この一覧にパワハラを理由とする掲載はありません。パワハラ対策の義務に違反し、勧告にも従わなかった事業主の公表は、別の仕組みです。会社のパワハラ対策は、求人票や面接、公開情報で確かめる方法を別の記事にまとめています。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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