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パワハラが少ない職場の選び方:公開情報で確かめる10項目

この記事のもくじ
  1. 見るのは「措置の中身」:会社が講ずべきこと
  2. 公的な認定とデータベースの使い分け
  3. しょくばらぼの見方
  4. 公開情報で確かめる10項目の記録シート
  5. 「面接で質問する」に回した項目の確かめ方

パワハラが少ない職場を選ぶには、「パワハラがゼロ」を保証する認定を探すのではなく、パワハラを起こしにくくする仕組みと、起きたときに動く仕組みが、公開情報に出ているかを確かめます。見る場所は3つです。会社が自分で公開している方針・窓口・研修、公的な認定とデータベース、そして最後に面接での裏取りです。この記事では、公開情報で確かめるチェックリストと、認定の読み方・限界をまとめます。

見るのは「措置の中身」:会社が講ずべきこと

事業主は、職場のパワハラを防ぐために、パワハラ指針が定める措置を講じなければなりません。主な措置は次のとおりです。

  1. 方針の明確化と周知・啓発:パワハラの内容と、行ってはならない旨の方針を明確にし、管理監督者を含む労働者に周知する。行為者への厳正な対処の方針を就業規則などに規定する
  2. 相談体制の整備:相談窓口をあらかじめ定めて周知する。外部の機関への委託もその例。該当するか微妙な場合も広く相談に対応する
  3. 事後の迅速かつ適切な対応:事実関係の確認、被害者への配慮、行為者への措置、再発防止
  4. 併せて講ずる措置:相談者・行為者のプライバシー保護、相談したことを理由に不利益な取扱いをしない旨の周知

この4つのうち、公開情報で確かめやすいのは1と2です。3と4は外から見えにくいため、面接で質問に変えます。

措置ごとの確かめ場所の早見表
指針の措置 公開情報で見る場所 見る点
方針の明確化・周知 採用サイト、行動規範、サステナビリティ・CSRの報告書 ハラスメントを行わない方針が文章で出ているか
相談体制 採用サイト、求人票の備考、会社案内 窓口の有無、社外の窓口、担当部署
研修・啓発 採用サイト、人材育成の説明 管理職向けの研修の記載、実施の頻度
事後の対応・不利益取扱いの禁止 公開されにくいため面接で質問 相談後の流れ、相談した人の扱い

会社の取り組みの差は、被害の経験にも出ています。厚生労働省の令和5年度の実態調査では、勤務先が取り組みに「積極的」と答えた労働者のパワハラ経験は15.2%、「あまり取り組んでいない」は35.1%でした(調査に回答した労働者のうち、過去3年間の割合。ネット調査の結果で、全労働者の割合そのものではありません)。取り組みを調べる価値を示す数字です。

公的な認定とデータベースの使い分け

次の認定・データベースは、厚生労働省が運営または認定するものです。どれもハラスメント対策そのものを評価するものではない点が重要です。働き方の実績を知る手がかりとして使います。

名前 何を示すか 確かめ方
くるみん・プラチナくるみん・トライくるみん 次世代育成支援対策推進法に基づく、子育てサポート企業の認定。厚生労働大臣が認定 厚生労働省の認定企業一覧、「両立支援のひろば」
えるぼし・プラチナえるぼし 女性活躍推進法に基づく認定。評価は採用、継続就業、労働時間等の働き方(各月の法定時間外・法定休日労働の平均が45時間未満など)、管理職比率、多様なキャリアコースの5項目 しょくばらぼ、女性の活躍推進企業データベース
ユースエール 若者の採用・育成に積極的な中小企業(300人以下)を認定。新卒者等の離職率20%以下、月平均所定外労働時間20時間以下など 若者雇用促進総合サイトの企業検索
しょくばらぼ 企業が登録した職場情報(働き方、採用状況、女性の活躍、育児と仕事の両立、能力開発など)を検索・比較できるサイト 厚生労働省の職場情報総合サイト

ユースエールは、認定要件に、採用・離職の状況、研修や制度の内容、労働時間、有給休暇、育児休業などの雇用情報の公表が含まれています(厚生労働省の認定要件のページ)。公開されている項目は、面接で聞く質問の手本にもなります。くるみん・えるぼしの認定は、育休明けの不利益な扱いが転職のきっかけだった人にとくに関わります。その場合の確かめ方はマタハラ後の転職:子育てと両立しやすい職場を見極める確認点で、聞く質問や制度の最低ラインまで続けて扱っています。

認定にはもう一つ限界があります。これらは企業が申請して受ける認定です。認定がない会社は、取り組みがないとは限りません。ユースエールは中小企業(常時雇用300人以下)が対象なので、大企業には制度自体がありません。

しょくばらぼの見方

しょくばらぼは、職場情報の開示に積極的な企業が掲載され、2026年10月1日時点の掲載企業数は152,380件と表示されています。しょくばらぼの用語説明に定義がある、求職者が企業を比べるときに使いやすい項目の例は、次のとおりです。

  • 新卒者の採用・定着状況
  • 従業員の平均年齢
  • 正社員の有給休暇取得日数
  • 月平均所定外労働時間(残業時間に当たる項目)
  • 育児休業取得率、教育制度

企業ごとに載っている項目は違うので、応募先のページで、どの項目が出ているかを先に見ます。

数字は、単独で読まず組み合わせて読むと、見え方が変わります。

組み合わせ 読み方
新卒者の定着状況と従業員の平均年齢 平均年齢が若い会社は、勤続の短い人が多く出るのが自然。採用した新卒者のうち、何人が残っているかを並べて見る
月平均所定外労働時間と業種 同じ業種の別の会社と比べる。月平均だけでなく、繁忙期の最大は面接で質問する
有給休暇の取得日数と付与日数 付与日数に対して、取得日数が少なすぎないか

情報は企業が登録する仕組みなので、自己申告の数字です。掲載のない企業が悪いわけではありません。数字の根拠(対象期間、対象の範囲)を面接で聞き、食い違いがないかを確かめます。

公開情報で確かめる10項目の記録シート

応募先ごとに、次の10項目を調べて記録します。点数はつけず、「出ている」「出ていない」「面接で質問する」の3つに分けます。

公開情報の記録シート(応募先ごとに使う)
No. 項目 出ている/出ていない/面接で質問
1 ハラスメントを行わない方針の文章
2 相談窓口の記載(社内・社外)
3 管理職向けの研修の記載
4 新卒者の定着状況、従業員の平均年齢
5 月平均所定外労働時間
6 有給休暇の平均取得日数
7 育児休業の取得実績
8 認定・登録(くるみん、えるぼし、ユースエール、しょくばらぼ)
9 公的な公表事案に載っていないか
10 求人票の賃金・労働時間の具体性

9はブラック企業リストとは?厚労省の公表事案の見方と使い方で、10はブラック企業の見分け方:求人票で確かめる12項目と危ない書き方で調べ方を説明しています。

「面接で質問する」に回した項目の確かめ方

公開情報で「出ていない」項目は、面接で質問します。質問の例と返答の読み方は面接でブラック企業の見分け方:逆質問と職場見学で確かめる点にまとめています。口コミで気になった点を質問に変える方法は転職先のパワハラを口コミで調べる:評判サイトの読み方と限界にあります。

パワハラを理由に転職するときの全体の進め方はパワハラで転職するときの進め方:在職中に探すか辞めてから探すかに、次の職場で繰り返す不安はパワハラの後の転職が怖い:次の職場で繰り返さないための準備にあります。

公開情報を自分で集める時間が取れないときは、転職エージェントに、応募先の離職の状況や残業の実態を確かめてもらう使い方があります。使うときは、有料職業紹介の許可、紹介を断ったときの扱い、入社後に条件が違った場合の連絡先を、公式の説明で確かめてください。

公開情報は会社の自己申告が中心です。10項目で「出ている」が多くても、面接で窓口と相談後の対応を質問し、答えの具体性を見る手順は省かないでください。

よくある質問

Q. くるみんやえるぼしの認定を受けている会社は、パワハラがないと言えますか?

言えません。これらの認定が評価するのは、子育て支援や女性の活躍の実績で、ハラスメント対策そのものの認定ではありません。働き方の実績(残業時間、育児休業の取得、継続勤務)を知る手がかりとして使い、ハラスメントの窓口や相談後の対応は、面接で別に質問します。

Q. 「ホワイト企業」を見分けるには、何を見ればいいですか?

「ホワイト企業」という呼び名を定義した法律はなく、くるみん・えるぼし・ユースエールなど厚生労働省が扱う認定にも、その名の制度はありません。代わりに、職場情報総合サイトの数字(新卒者の定着状況、有給休暇の取得日数、月平均の所定外労働時間など)と、会社が公開する方針・窓口・研修の記載を組み合わせて、自分の基準で確かめます。

Q. 大企業のほうが、パワハラ対策は進んでいますか?

厚生労働省の令和5年度の調査(企業回答)では、パワハラ予防・解決の取り組みを実施している企業の割合は、99人以下で88.4%、1,000人以上で98.3%でした。規模による差はありますが、取り組みの有無と、窓口が使われているかは別の話です。規模ではなく、個別の会社の公開情報と面接で確かめます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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