退職代行は何日前に頼む?申込みのタイミングと退職日の決め方
退職代行は、会社に退職の意思が届く日から2週間後以降に、辞めたい日が来るように逆算して頼むのが基本の考え方です。期間の定めがない雇用(正社員の多く)は、民法第627条1項により、申入れの日から2週間で雇用が終わります。申込みの日そのものではなく、「会社に届く日」が起点になる点がいちばんの落とし穴です。この記事では、逆算の手順、日付の計算例、条件が絡む場面ごとの考え方を順に示します。
起点は「申込みの日」ではなく「会社に届く日」
意思表示は、通知が相手に届いた時から効力を生じます(民法第97条1項)。退職代行を申し込んでも、事業者が会社へ連絡するまでは、会社に何も届いていません。
数え方は、民法で決まっています。日で期間を定めたときは初日を数えず(第140条)、期間は末日の終了で満了します(第141条)。
| 最後に在籍していたい日 | 会社に届いていなければならない日 | 事業者への申込みの目安 |
|---|---|---|
| 11月30日(月) | 11月16日(月)まで | 連絡予定日の数日前までに申込み |
| 12月15日(火) | 12月1日(火)まで | 同上 |
| 12月31日(木) | 12月17日(木)まで | 同上 |
表の読み方は、「最後に在籍していたい日」から14日を引いた日が、会社に届く最終日です。例えば11月16日に届けば、数え始めは11月17日で、14日後の11月30日の終わりに満了します。2週間より後の日を退職日にするのは自由です。逆に、2週間より前の日を退職日にするには、会社の合意が要ります。会社が合意しないとき、2週間の間にどう過ごすかは退職代行で即日退職できる?「即日」の意味と2週間の関係で扱っています。
申込みの目安の列が「数日前」になっているのは、事業者ごとに、申込みから会社への連絡までの間隔が違うためです。申込みの際に、連絡する予定日時を聞いて、その日を表の「届く日」に当てはめます。
給料日と賞与から逆算する
最後の給料は、締め日と支払日で決まります。働いた分の賃金は払われるのが原則で、考え方は退職代行で辞めても給料はもらえる?最後の給料と未払いのときに分けて書いています。タイミングの面では、次を見ます。
- 締め日の前に辞めるか、後に辞めるか:退職日が締め日の前か後かで、最後の給料に含まれる期間と支払日が変わります。賃金規程で、締め日と支払日の組み合わせを確かめます。
- 支払日までの日数:最後の給料は、退職後の支払日に振り込まれるのが通常です。生活費の見通しを立てるため、支払日を給与明細で確かめます。
賞与から逆算する場合。 賞与には、支給日に在籍していることを条件にしている会社があります。条件は賞与規程や就業規則で決まるため、規程を読んで、支給日と退職日の前後を決めます。支給日が決まっていないとき、支給額が決まっていないときは、そのこと自体を事業者に伝えて、会社へ聞いてもらうかを相談します。
有給と次の就職日から逆算する
有給を使い切って辞めたい場合、使いたい日が退職日までの在籍期間に入っていなければなりません。退職日は、有給を入れたい日の最後の日以降に置きます。
考え方の例を挙げます(筆者の計算)。勤務カレンダーが土日祝日休みの人が、11月16日に会社へ届く形で、11月30日を退職日にした場合、11月17日から11月30日の出勤日は、祝日の11月23日を除いて9日です。有給の残りが9日なら、この期間を全部有給にする計画が立てられます。残りが9日より多い分は、退職日を後ろにずらすか、残りは使えない前提で考えます。有給の消化を会社と調整する場面は退職代行で有給消化はできる?交渉が必要なときの運営形態に整理しています。
次の就職日から逆算する場合。 次の仕事の入社日が決まっているなら、入社日の前日を退職日に置くと、空白が最小になります。空白が出ると、健康保険と年金の手続きが必要になります。退職後の役所の手続きは退職手続きのチェックリスト:会社から受け取る書類と役所の手続きにあります。
入社日までに余裕を持たせたいときは、退職日と入社日の間に最低1〜2日を置きます。手続き上の不備が出ても、入社日を動かさずに済むためです。
期間の定めがある契約のとき
契約社員など、期間の定めがある雇用では、民法第628条により、やむを得ない事由があるときに限って直ちに解除できます。事由が当事者の過失で生じたときは、賠償責任が生じることがあります。契約期間の初日から1年を過ぎている場合は、労働基準法附則第137条により、一定の条件のもとでいつでも退職できます。ただし、1年以下の契約には使えません。
どれに当たるかは、契約書の期間と、契約開始日で決まります。判断が分かれるので、当てはまるかを自分で決めず、契約社員・派遣社員が退職代行を使うとき:契約期間中の退職の考え方を読んだうえで、事業者に契約書を見せて確認してください。
申込みのタイミングの早見表
| 状況 | 申込みの考え方 |
|---|---|
| 給料日・賞与・有給を整えて辞めたい | 退職日を決めてから、会社に届く日を14日前に置いて申込む |
| 次の入社日が決まっている | 入社日の前日を退職日にして逆算する |
| 出社がつらく、すぐ会社に伝えたい | 申込みから連絡までの時間が短い事業者を選ぶ。退職日は連絡の日から数える |
| 契約期間の途中で辞めたい | 契約書の期間と開始日を、申込み前に事業者へ見せる |
| 繁忙期・年度末で迷っている | 時期の考え方は繁忙期に退職代行で辞めるのは迷惑?時期の考え方と引継ぎへ |
申込みの前にそろえる物は退職代行を使う前の準備チェックリスト:書類・貸与品・私物・連絡先にあります。退職届を出す方法は退職代行を使うときの退職届:書き方・送り方と委任状の役割に続きます。
申込みの前日までに決めておくこと
- 最後に在籍していたい日(退職日の希望)
- 逆算した「会社に届く日」と、事業者から聞いた連絡予定日の比較
- 有給を入れたい日の範囲
- 賞与や給料日で動かせない日の有無
- 書類の送り先
よくある質問
Q. 就業規則に「退職は1か月前に申し出る」とあっても、退職代行は2週間で辞められますか?
期間の定めがない雇用では、民法第627条1項が、申入れから2週間で終了すると定めています。就業規則の1か月前との関係について、厚生労働省は、期間の定めのない契約について2週間を大きく超える期間や会社の許可を条件にする規定は無効とされると説明しています。会社が規則を理由に認めない構えなら、規則の通りに退職日を後ろに置く道と、民法を前提に進める道の両方を、運営形態ごとの対応範囲とあわせて事業者に聞いてください。
Q. 月給制だと、月の前半に申し出ないと翌月まで辞められませんか?
現行の民法では、そうではありません。民法第627条2項は使用者からの解約の申入れについての決まりで、労働者の退職には1項の2週間があてはまります。古い解説に残る「月の前半に申し出る」という説明は、そのまま写さないようにします。
Q. 賞与をもらってから辞めたいとき、いつ頼めばよいですか?
賞与の支給条件は賞与規程や就業規則で決まります。支給日に在籍していることが条件になっている会社があるので、規程の文言を見て、支給日の後に退職日が来るよう逆算します。規程が見当たらないときは、支給日と条件を事業者を通して会社に聞くことになります。
出典・参考にした公的な情報
- 民法 第97条・第140条・第141条・第627条・第628条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 労働基準法 第39条・附則第137条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 長期契約を結んだものの、途中で退職した場合には損害賠償請求されますか?(確かめよう労働条件)(厚生労働省)
- 労働者の退職(確かめよう労働条件)(厚生労働省)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。