退職代行 / 手順

退職代行を使うときの退職届:書き方・送り方と委任状の役割

この記事のもくじ
  1. 退職届は誰が出すのか:運営形態ごとの違い
  2. 退職届の最小限の書き方
  3. 退職届の送り方:記録が残る方法で
  4. 委任状は何を任せる書面か
  5. 会社が受け取らない・本人から出せと言われたとき

退職代行を使うときの退職届は、運営形態によって、出す人が変わります。弁護士運営なら代理人の通知書、労働組合運営なら組合の通知書(本人の書面を求められることもあります)、民間企業運営なら本人が書いて出す形が、典型的な流れです。委任状は、本人が誰に何を任せたかを示す書面で、「退職届の代わり」ではありません。この記事では、誰が出すのか、最小限の書き方、送り方、委任状の読み方を順に示します。

退職届は誰が出すのか:運営形態ごとの違い

退職の意思表示は、会社に届いた時から効力が出ます(民法第97条1項)。ここでは、届ける役目を誰が担うかが運営形態で変わります。

早見表:運営形態ごとの退職届の出し方(典型)
運営形態 会社に出る書面 本人の役目 委任状
弁護士(法人)運営 代理人としての通知書。退職日を示すことが多い 委任契約を結ぶ。必要に応じて退職届を書く 委任契約書とあわせて出すことが多い
労働組合運営 組合から会社への通知書。組合員の退職の意思を伝える 組合に加入する。退職届を書く場合もある 加入申込書と合わせて、委任の範囲を書く場合がある
民間企業運営 本人が書いた退職届(郵送)を、本人または事業者の指示で出す 退職届を書いて送る 依頼書・申込書の形を取る場合がある

民間企業運営は、本人の退職の意思を会社に伝えるだけの役割(いわゆる使者)にとどまります。東京弁護士会の非弁護士取締委員会は、未払いの残業代や未消化の有給のような「法律的な問題」について、業者が報酬を得て本人に代わり会社と話し合うことは非弁行為となる可能性があると指摘しています(弁護士法第72条)。そのため、民間企業運営では、退職日や有給の条件を会社と話し合う役目は期待できません。運営形態の全体比較は退職代行の弁護士・労働組合・民間企業の違い:交渉できる範囲を比較にあります。

表の「典型」は一般的な流れで、実際の書式は事業者ごとに違います。契約前に、会社に出る書面の名前と、誰の名前で出るかを事業者へ聞いておくと、後で食い違いが出にくくなります。

退職届の最小限の書き方

退職届に必要な項目は多くありません。書く順に並べます。

  1. 表題:「退職届」
  2. 本文:「このたび、一身上の都合により、〇年〇月〇日をもって退職いたします。」
  3. 届出の日付:会社に出す(届く)予定の日付
  4. 所属と氏名:部署名、氏名、押印または署名
  5. 宛名:会社名と代表者名。人事部あてにする会社もあります

退職届の例 退職届 このたび、一身上の都合により、2026年11月30日をもって退職いたします。 2026年11月16日 〇〇部 氏名 印 株式会社〇〇 代表取締役 〇〇様

ポイントは3つあります。

退職の申入れは、民法第627条1項で方法が定められていません。つまり退職届が法律上の必須の書式というわけではなく、届いた日と内容を後から示す記録として使うものです。

退職届の送り方:記録が残る方法で

退職代行を使う場合、会社に行かずに出すのが前提なので、郵送が中心になります。送り方は退職届を郵送で出す方法:受け取ってもらえないときの内容証明に、郵便の種類ごとの違いをまとめています。ここで押さえるのは次の3点です。

  • 事業者の指示を先に聞く。 事業者が代わりに会社へ通知する日と、本人が送る日が前後すると、会社が混乱することがあります。
  • 送付先は会社の所在地。 上司の自宅あてにはしません。
  • 届いた日を残す。 追跡の画面や受領証を保存します。届いた日は、2週間を数え始める出発点になります。

郵送の発送日と、事業者が会社へ連絡する日が違うと、どちらが先に会社に届くかで起点が変わります。先に届いた日が基準になるため、日付を事業者と合わせます。

委任状は何を任せる書面か

委任状は、本人が「誰に」「何を」任せたかを書く書面です。民法第643条は、委任を「法律行為をすることを相手方に委託し、相手方が承諾することによって効力を生ずる」と定めています。代理人が権限内で本人のためにした意思表示は、本人に直接効力を生じます(民法第99条1項)。

委任状で見るのは、次の3点です。

チェック表:委任状で確かめる3点
確かめる点 見方
任せる人 弁護士の氏名と所属弁護士会、労働組合の名称と所在地、事業者の会社名。誰に任せるのかが特定されているか
任せる内容 退職の意思を伝えるだけか、有給・退職日・未払い賃金のやり取りまで含むか。含まれていない事項は、任せていない
期間と終わり方 いつまで有効か。退職が決まった後に、委任が終わる時点が書かれているか

民間企業運営の事業者は、代理人になれない立場です。そのため、委任状ではなく「依頼書」「申込書」という名前の書面を使う場合があります。名前が違っても、何を任せたのかが書かれた書面であることには変わりありません。

署名の前に、次の点を避けます。

  • 任せる内容が空欄のままの書面に署名する
  • 「一切を任せる」とだけ書かれた書面に署名する
  • 書面の控えをもらわずに署名する

労働組合運営の場合は、組合員になる手続きが先にあります。組合の権限は労働組合法第6条にもとづき、団体交渉の仕組みは労働組合の退職代行とは:団体交渉の権限と確かめたい組合の実態で説明しています。弁護士運営では、委任契約を結んだ範囲の事項を代理人として扱えます。範囲の違いは弁護士の退職代行でできること:未払い賃金・有給の交渉が要る場合にあります。

会社が受け取らない・本人から出せと言われたとき

退職代行を使っても、会社が「本人から出してほしい」「受け取れない」と言うことがあります。起きやすい場面と、取る手を整理します。

起きたこと まずすること 次の手
会社が「退職届は本人から」と言った 言われた内容を窓口の事業者に伝える 事業者と相談して、再度出すか、窓口からの通知で足りるかを決める
会社が「受け取れない」と返送してきた 返送された封筒と日付を保管する 記録が残る郵便で再送する。受取拒否は届いたものとみなされることがある(民法第97条2項)
会社が所定の様式の提出を求めた 様式を受け取り、窓口に渡す 様式に書く内容を、事業者に確認して書く
会社が本人に直接連絡してきた 返事をせず、窓口に連絡内容を転送する 連絡の記録を残す

退職届の後に会社から届く書類は退職代行で辞めた後の離職票・書類:届かないときの対処で、2週間の仕組みは退職は2週間で成立する?民法627条・628条と即日退職の考え方で扱っています。

よくある質問

Q. 退職届を出さずに、退職代行の連絡だけで辞められますか?

民法第627条1項は、退職の申入れの方法を決めていません。書面でなくても、会社に退職の意思が届けば申入れになります。ただ、届いた日と内容を残すために、書面で出すのが一般的です。会社が所定の退職届の様式を求めることもあるので、事業者に会社の求めを伝えます。

Q. 委任状に署名や押印をすると、何でも任せたことになりますか?

任せる範囲は、委任状と契約書に書かれた内容で決まります。退職の意思を伝えるだけの依頼なのか、有給や未払い賃金について会社とやり取りすることまで含むのかで、書き方が変わります。範囲が空欄だったり、「一切を任せる」とだけ書かれていたりする書面は、署名の前に事業者へ確認します。

Q. 会社が「本人から直接出して」と言ってきたらどうなりますか?

退職の意思がすでに会社に届いているなら、退職届を本人が再度出すかどうかは、運営形態と契約で決まります。弁護士や労働組合が窓口の場合は、会社の求めを窓口に伝えて対応を相談します。本人が会社へ連絡する前に、事業者に確認してください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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