みんなの人権110番とは?法務局にパワハラ・嫌がらせを相談する方法
この記事のもくじ
みんなの人権110番は、法務省の人権相談の電話窓口で、かけた場所の最寄りの法務局につながり、法務局の職員か人権擁護委員が話を聞きます。差別・虐待と並んでハラスメントも相談の対象として挙げられており、職場のパワハラや嫌がらせを相談できます。電話のほか、法務局の窓口・インターネット・LINE(一部の地域)でも相談でき、必要に応じて「人権侵犯事件」として調査し、相手に改善を求める手続もあります。番号と受付時間はパワハラの相談窓口一覧:電話番号・受付時間・できることの早見表にまとめています。
みんなの人権110番で職場のパワハラは相談できる?
できます。法務省のページは、みんなの人権110番を「差別、虐待、ハラスメントなど」の人権問題を相談できる電話と説明しています。対応するのは法務局の職員または人権擁護委員で、秘密は守られると明記されています。
職場の問題で使う場面として、次のようなときが考えられます。
- 上司や同僚からの暴言・暴力・無視が続き、会社の窓口に話しても動いてもらえない
- 社内に相談窓口がない、窓口の担当者自身が加害者に近い
- 性別・年齢・障害・国籍などに結びついた嫌がらせを受けている
- 労働問題として争うより先に、まず人権の問題として話を聞いてほしい
使う前に知っておきたい点が2つあります。1つは、電話が0570で始まるナビダイヤルで、通話料がかかる前提で考えることです。もう1つは、受付が平日の日中だけで、夜間や土日は電話がつながらないことです。夜や休日に書き残したいときは、後で紹介するインターネット人権相談を使います。
2025年10月1日からは、電話をかけると自動音声で相談の分野を選ぶ仕組みになりました。法務省のページでは「1 女性」「2 高齢者」「3 障害者」「4 その他」の4つです。職場のパワハラは多くの場合「4 その他」、職場のセクハラなど女性の人権に関わる相談は「1 女性」を選ぶのが自然です。
相談の方法は4つ:電話・窓口・インターネット・LINE
法務局の人権相談は、電話だけではありません。法務省の人権相談のページに並んでいる方法を、職場の相談で使うことを前提に比べると次のとおりです。
| 方法 | 受け方 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 電話(みんなの人権110番) | 最寄りの法務局につながる。平日の日中 | 声で事情を話し、まず方向を知りたい人 |
| 窓口(法務局・支局での面接) | 法務局や支局で、職員または人権擁護委員と対面 | 記録や資料を見せながら話したい人 |
| インターネット人権相談 | フォームに書いて送ると、後日、最寄りの法務局からメール・電話・面談のいずれかで回答 | 平日の昼に電話しにくい人、文章で整理したい人 |
| 法務局LINEじんけん相談 | LINEのチャット。平日の日中。1日1回・30分程度が目安 | 担当地域(下記)に住んでいて、文字で相談したい人 |
LINEの相談は、東京・名古屋・大阪・福岡・広島・仙台・札幌・高松の8つの法務局が実施していて、それぞれ担当の都道府県が決まっています。送信後10分たっても応答がないと終了することがあるので、話したい内容を先にメモにまとめてから始めると途切れにくくなります。
インターネット人権相談には、法務省が偽サイトへの注意を呼びかけています。法務省のページからリンクをたどって入力画面を開くのが安全です。メールやLINE、チャットで使える公的な相談先をまとめて比べたいときは、パワハラをオンラインで相談できる窓口:メール・LINE・チャットを比較も参考にしてください。
人権侵犯事件の調査救済とは:申告から措置までの流れ
相談で終わらず、相手に改善を求めてほしいときは、「人権侵犯事件」としての調査救済を求めることになります。法務省は、法務省訓令の「人権侵犯事件調査処理規程」に基づいて手続を進めると説明しています。流れは次の順番です。
- 相談・被害の申告:窓口・電話・インターネットで受け付けます。法務省が用意している「人権侵犯被害申告シート」を使って申告することもできます。
- 調査:法務局の職員または人権擁護委員が、必要に応じて調査します。調査は関係者の任意の協力で行うもので、警察や検察の強制捜査とは違います。
- 判断:調査の結果から人権侵害があったかを判断します。侵犯の事実を認定できない場合もあります。
- 措置:認められた場合は、下の7種類から適切な措置をとります。
- 終了と通知:処理結果を被害者に知らせ、必要に応じてアフターケアを行います。
| 措置 | 中身(法務省の説明) | 職場の問題に当てはめると |
|---|---|---|
| 援助 | 関係機関への紹介、法律上の助言など | 労働局や法テラスなど、次に行く窓口を教えてもらう |
| 調整 | 当事者間の関係を調整する | 本人と会社・相手の間に入って話をまとめる |
| 説示・勧告 | 人権侵害を行った者に改善を求める | 加害者本人に、同じ行為をしないよう求める |
| 要請 | 実効的な対応ができる者に必要な措置を求める | 会社の代表者などに、再発防止の対応を求める |
| 通告 | 関係行政機関に情報を提供し、措置の発動を求める | 権限を持つ行政機関に情報を渡す |
| 告発 | 刑事訴訟法の規定に基づき告発する | 犯罪に当たる行為を捜査機関に告発する |
| 啓発 | 関係者や地域に人権尊重の理解を深める働きかけ | 職場の関係者への働きかけ |
法務省の事例紹介には、勤務先の上司による暴力を伴うパワハラの事案で、法務局が上司に同様の行為をしないよう説示し、法人の代表者に再発防止の措置を要請した例が載っています。職場の問題も、この手続の対象になり得るということです。
一方で、法務省のページに書かれている措置は、改善を「求める」「要請する」「働きかける」といった内容で、調査も関係者の協力による任意のものとされています。会社に賠償を命じる、加害者を異動させるといった結果を決める手続とは書かれていないので、そのつもりで使いましょう。
労働局・労基署とどう使い分けるか
職場のパワハラには、法務局とは別に、労働の法律に基づく窓口があります。目的で分けると選びやすくなります。
| 目的 | 合う窓口 | 理由 |
|---|---|---|
| 会社の防止措置(相談対応・事実確認・再発防止)を求めたい | 都道府県労働局の雇用環境・均等部(室) | パワハラ防止の措置義務を定めた労働施策総合推進法を所管し、助言・指導・勧告や調停の仕組みがある |
| 残業代・解雇予告など労働基準法の違反がある | 労働基準監督署 | 労働基準法違反の申告を受ける機関 |
| 人権侵害として話を聞いてほしい、相手に改善を求めてほしい | 法務局(みんなの人権110番など) | 調査のうえ説示・要請などの措置がある |
| お金の請求や法的手段を考えたい | 法テラス、弁護士の法律相談 | 個別の法的判断や代理は弁護士の仕事 |
迷ったら、会社への働きかけを期待するなら労働局を軸にし、法務局は「並行して使える窓口」と考えると整理しやすくなります。労働局の窓口の詳しい中身は労働局のハラスメント相談窓口:雇用環境・均等部(室)でできること、労働局の調停の仕組みは労働局の助言・指導と調停:パワハラ・カスハラの紛争を解決する仕組みで説明しています。
すでに退職していても相談したいときは、退職後でもパワハラを相談できる?辞めた後に使える窓口と期限で、辞めた後に使える窓口を確かめてください。民間の団体の相談と迷う場合は、パワハラをNPO・民間団体に相談するとき:公的窓口との違いと確かめる点で違いを整理しています。
相談の前に準備すること
電話もLINEも時間に限りがあります。次の3点を書き出しておくと、短い時間でも要点が伝わります。
- いつ・誰から・何をされたか:日付と言われた言葉、された行為を、新しいものから3つほど
- これまでにしたこと:会社の窓口や上司に伝えたか、そのときの会社の反応
- 法務局に望むこと:話を聞いてほしいだけか、相手への働きかけまで求めたいか
電話の最初の一言の例:「職場で上司から暴言を受けていて、会社に相談しても変わりません。人権相談として話を聞いていただき、どんな手続があるか教えてください」
記録がまとまっていない場合は、パワハラの時系列表の作り方:相談や申立てで使える経緯書の書き方の表に沿って書き出すと、調査を求めるときの申告にもそのまま使えます。持っていく物の全体はパワハラ相談の準備チェックリスト:持っていく記録と伝える5項目を見てください。
よくある質問
Q. 法務局の人権相談は、名前を言わずに使えますか?
法務省は、人権相談は匿名でもできると案内しています。まず匿名で話を聞いてもらい、調査を求めるかどうかはその後に決める進め方ができます。調査救済の手続に進むと相手方への聞き取りが入るため、どこまで名前や事実を出すかを担当者と話し合って決めます。
Q. 法務局が調べれば、会社に処分や賠償を命じてもらえますか?
法務省のページでは、法務局の調査は関係者の協力による任意のもので、警察の強制捜査とは違うと説明されています。措置は、説示・勧告や要請で改善を求める内容で、賠償の支払いを決める手続としては書かれていません。お金の請求を考えるなら、法テラスや弁護士の法律相談を並行して使います。
出典・参考にした公的な情報
- 常設相談所(みんなの人権110番)(法務省)
- 人権相談(相談の方法の一覧・人権侵犯事件の調査救済手続)(法務省)
- 人権侵犯事件の調査救済(法務省)
- インターネット人権相談(法務省)
- 法務局LINEじんけん相談(法務省)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。