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パワハラの時系列表の作り方:相談や申立てで使える経緯書の書き方

この記事のもくじ
  1. パワハラの時系列表とは:5列で出来事を並べる
  2. 時系列表の作り方:記録から表にする5つの手順
  3. 時系列表から経緯書(文章)を作る手順
  4. 労働審判・弁護士相談で使うときの注意

パワハラの時系列表は、「日付」「行為者」「内容」「証拠」「影響」の5列で、出来事を古い順に1行ずつ並べた表です。相談先はこの1枚で全体を短時間でつかめ、労働局のあっせん申請書にある「紛争の経過」欄や、労働審判の申立書に書く経緯の下書きにもなります。ここでは、表の作り方と記入例、表を文章の経緯書に直す手順を順に説明します。

パワハラの時系列表とは:5列で出来事を並べる

日々の記録(ノートやメモ)が「その日に書いた原本」だとすると、時系列表はそれを人に渡すために要約した一覧です。記録の付け方そのものはパワハラの記録の書き方:日時・言葉・場所・目撃者を残す記入例つきで扱っているので、ここでは集めた記録を表にまとめる段階を説明します。

列は次の5つを基本にします。

列 書くこと 書き方の決まり
日付 年月日(分かれば時刻) 「2026/09/15 9:10」のように形をそろえる。不明なら「9月中旬(日付不明)」
行為者 誰が 名前と立場(「○○課長(直属の上司)」)。複数なら全員
内容 何を言った・したか、どこで、誰の前で 言葉はかぎかっこでそのまま。1行に1つの出来事
証拠 その出来事を裏づけるもの 「録音 0915.m4a 3分20秒〜」「メール 9/15 10:02」「記録ノート p.12」「なし」
影響 仕事・体調・待遇に出たこと 「当日早退」「9/20 心療内科初診」「担当を外された」

「証拠」の列に「なし」と書く行があってかまいません。証拠がない出来事を省くと、表の上で期間に穴が空き、かえって経緯が分かりにくくなります。

時系列表の作り方:記録から表にする5つの手順

  1. 記録を1か所に集める。 記録ノート、手帳、スマホのメモ、メール・チャットの画面の写し、録音の一覧、通院の領収書などを手元に並べる。
  2. 出来事を1つずつ抜き出す。 1つの出来事=1行。同じ日に2つあれば2行に分ける。
  3. 古い順に並べる。 最初の出来事から直近まで。始まりと最後の日付がはっきり分かるようにする。
  4. 証拠の列を埋める。 何で裏づけられるかを、ファイル名・ページ・日時で書く。後で探せる書き方にする。
  5. 最後に「相談・申出の記録」の行を足す。 誰に、いつ相談し、会社がどう答えたかも、同じ表に入れる。
記入例:パワハラの時系列表(抜粋)
日付 行為者 内容 証拠 影響
2026/04/08 ○○課長(直属) 朝礼で全員の前で「前の部署で何してたんだ」と大声で言われた 記録ノート p.1 なし
2026/06/03 ○○課長 会議中、資料を机にたたきつけ「使えない」と言われた。同席:△△さん、□□さん 記録ノート p.9、録音 0603.m4a 12分〜 当日、会議後に早退
2026/07/中旬(日付不明) ○○課長 担当していた取引先3社を、説明なく外された 担当表の写し(7月版・8月版) 担当業務が半分以下に
2026/09/01 ○○課長 チャットで「明日までに辞めるか決めろ」と送られた チャット画面の写し 9/1 18:45 眠れなくなる
2026/09/10 — 心療内科を受診 領収書、診断書 週1回の通院を開始
2026/09/25 人事部 ××さん 人事に面談で相談。「調べて連絡する」と回答 相談後に送った確認メール 9/25 17:30 —

表は、相談先に渡す版と、自分用の詳しい版を分けてもかまいません。渡す版は1〜2枚に収め、出来事が多い場合は「代表的な出来事」に絞って、残りは「ほか同様の発言 計12回(記録ノート参照)」とまとめます。列の項目をそのまま使えるひな形はパワハラ記録のテンプレート:ノートやエクセルで使える項目の表にあります。

時系列表から経緯書(文章)を作る手順

申立ての書類では、表ではなく文章で経緯を書く欄があります。たとえば厚生労働省のあっせん申請書は、記入欄が「あっせんを求める事項及びその理由」「紛争の経過」「その他参考となる事項」に分かれています。裏面の注意書きでは、「紛争の経過」には次のことを詳しく書くよう求めています(欄に書ききれなければ別紙を添付)。なお、会社がパワハラ防止の措置を講じたかをめぐる紛争は調停の対象で、あっせんはいじめ・嫌がらせなどを扱います。どちらになるかは労働局が振り分けますが、経緯の整理のしかたは共通です。

  • 紛争の原因となった事項が発生した年月日
  • 継続する行為であれば、最後に行われた年月日
  • 当事者双方の見解
  • これまでの交渉の状況

時系列表があれば、この4つはほぼそろっています。表を文章に直すときは、次の型で段落を作ります。

経緯書の例:「申請人は2026年4月1日に営業2課に配属された。同年4月8日以降、直属の上司である○○課長から、朝礼や会議の場で他の社員の前で叱責や人格を否定する発言を受けるようになった(別紙時系列表の番号1〜8)。最後の発言は同年9月1日のチャットでの『明日までに辞めるか決めろ』である。申請人は同年9月10日から心療内科に通院している。同年9月25日に人事部に相談したところ、『調べて連絡する』との回答があったが、10月20日現在、連絡はない。」

書くときのコツは3つです。

  • 一文に一つの事実。「〜で、〜し、〜だったため」とつなげない。
  • 評価の言葉を減らす。「悪質な」「執拗な」より、回数と言葉そのものを書く。
  • 表の番号を参照させる。本文は流れだけを書き、個々の出来事は「別紙時系列表の番号○」で示す。

あっせんを申請するときの全体の流れは労働局のあっせんの流れ:申請書の書き方から当日・合意までで扱います。

労働審判・弁護士相談で使うときの注意

裁判所は、労働審判の申立書に、当事者間の交渉など申立てに至る経緯の概要も書くよう案内しています。また労働審判は、特別の事情がない限り3回以内の期日で審理を終えるため、早い段階で事実関係が整理されていることが大切になります。時系列表は、弁護士に相談するときの材料としてそのまま使えます。

使い道ごとの違いは次のとおりです。

使う場面 渡す形 気をつけること
社内の窓口・人事 1〜2枚の要約版 同僚の名前を入れる場合は、その人に迷惑が及ばないか考える
労働局の相談 要約版 厚生労働省は匿名での相談も受け付けると案内している。最初は日付と出来事だけの版でも足りる
あっせん・調停の申請 申請書の欄に書く文章+別紙の表 会社に事情を聞く手続なので、書いた事実は相手方に伝わる前提で書く
弁護士への相談 詳しい版+証拠の一覧 証拠の原本は自分で保管し、写しを持参

時系列表を書くときに、避けたいことが2つあります。1つは、記憶にないことを推測で埋めることです。分からない部分は「不明」と書くほうが、表全体の信頼を保てます。もう1つは、後から書き直した跡が分からない形にすることです。直したときは、更新日を表の欄外に書いておきます。

表ができたら、次は相談した後に何が起こるかを知っておくと、どこに出すかを選びやすくなります。パワハラを相談したらどうなる?窓口ごとのその後の流れを比較へ進んでください。相談の場で表を渡しながら話す言い方は、前の記事パワハラ相談の伝え方:窓口で話す順番と口頭で使える例文にあります。

時系列表を出す先の窓口の手続と申請書の項目は、労働局のハラスメント相談窓口:雇用環境・均等部(室)でできることにまとめています。

よくある質問

Q. 何年も前の出来事も時系列表に入れたほうがいいですか?

入れてかまいません。始まりの時期が分かると、繰り返し続いていることが伝わります。日付があいまいなものは「2023年春ごろ(日付不明)」と幅で書き、思い出して書いたことが分かるようにしておきます。古い出来事ほど、裏づけになるメールや手帳の書き込みがあるかを証拠の列で示しておくと、読む人が信頼の度合いを判断しやすくなります。

Q. 時系列表は手書きでもいいですか?

手書きでもかまいません。ただ、相談先や申立てで写しを何度も渡すことになるので、パソコンやスマホの表計算で作ると、行を足したり並べ替えたりするのが楽です。手書きの記録ノートが元にある場合は、ノートは原本として手元に残し、表はそこから書き写したものとして作ります。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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