休職と復職 / Q&A

パワハラ休職中のボーナス・評価はどうなる?規程の確かめ方

この記事のもくじ
  1. ボーナスは規程で決まる:確かめる5つの項目
  2. 就業規則・賃金規程の見方と、人事への聞き方
  3. 評価・昇給・有給休暇:休職で変わるもの
  4. 相談を理由とした不利益な扱いが疑われるとき

パワーハラスメント(パワハラ)で休職しているあいだのボーナス(賞与)や評価・昇給は、法律で一律に決まっているものではなく、会社の就業規則・賃金規程(賞与規程)・評価制度で決まります。労働基準法は、賞与の定めをする場合はその内容を就業規則に書くよう求めています(89条4号)。そのため、休職中にボーナスが出るか、いくらになるかを知るには、規程の「算定期間」「支給日在籍」「休職・欠勤の扱い」を確かめるのが近道です。パワハラを相談したことを理由に評価や賞与を下げることは、法律で禁じられている不利益な取扱いに当たる可能性があるので、その場合の相談先もあわせて整理します。

ボーナスは規程で決まる:確かめる5つの項目

賞与は、給与のように毎月支払うことが法律で決まっているものではありません。会社が賞与を払うと定めている場合に、その定めに沿って支給されます。労働基準法89条は、常時10人以上が働く会社に就業規則の作成と届出を義務づけ、「臨時の賃金等」(賞与を含む)の定めをする場合はそれに関する事項を書くよう定めています。契約時に明示する労働条件にも、定めがあれば賞与が含まれます(労働基準法施行規則5条1項5号)。

休職中の賞与を考えるときに見る項目は、次の5つです。

規程で確かめる項目 見るポイント
支給の有無と時期 年何回か、業績によって支給しない場合があるか
算定期間(査定期間) どの期間の働きをもとに計算するか(例:前年10月〜3月)
支給日在籍要件 支給日に在籍していることが条件か
休職・欠勤の扱い 算定期間中の休職日数を減額するか、出勤率の条件があるか
評価(査定)の方法 休職期間をどう評価するか、評価の対象外とするか

たとえば、算定期間が前年10月〜3月で、休職が1月から始まった場合、10月〜12月の働きをどう評価し、1月〜3月の休職期間をどう扱うかが規程の書き方で変わります。休職しても会社に籍はあるので、支給日在籍要件だけで対象から外れるとは限りません。

休職中の賞与を確かめる順番
  1. 就業規則・賃金規程(賞与規程)・評価規程を手元に用意する
  2. 算定期間と、自分が休職した期間の重なりを書き出す
  3. 規程の「休職・欠勤」「出勤率」の条項を読む
  4. 分からない点を人事にメールで質問し、回答を保存する
  5. 説明と規程が合わない、相談の時期と評価の変化が重なるときは外部窓口へ

就業規則・賃金規程の見方と、人事への聞き方

就業規則は、会社が働く人に周知しなければならないものです(労働基準法106条)。社内の共有フォルダや掲示、書面の配布などで見られる形になっているはずなので、休職前か休職中に写しを手元に置いておきます。賞与や評価の細かい規定は、就業規則本体ではなく別の「賃金規程」「賞与規程」「人事評価規程」に分けて書かれている場合もあるので、関連する規程の名前も確かめます。

規程を読んでも分からない点は、人事・総務にメールで質問すると、回答が記録に残ります。休職中は体調を優先し、聞くことを1通にまとめて送ります。

文例:「休職中の賞与と評価の扱いについて確認させてください。①今回の賞与の算定期間はいつからいつまでか、②算定期間のうち休職した期間はどのように扱われるか、③休職期間中の人事評価はどのように行われるか、④根拠となる規程の条文、の4点を教えていただけますでしょうか。」

回答が届いたら、規程の条文と照らし合わせます。規程に書かれていない減額や、ほかの休職者と違う扱いを示された場合は、その説明もメールで残しておきます。休職中の会社との連絡の窓口や頻度の決め方は休職中の会社への連絡と経過報告のメール例文にまとめています。

評価・昇給・有給休暇:休職で変わるもの

評価と昇給。 昇給に関する事項も就業規則に書く事項です(労働基準法89条2号)。休職期間中の評価を「評価なし」とするのか、前の評価を据え置くのか、標準の評価とするのかは会社ごとの評価制度によります。復職後の昇給・昇格にどう影響するかも、評価規程と人事への質問で確かめます。

年次有給休暇の付与。 有給休暇は、前の期間の全労働日の8割以上出勤したことが付与の条件の一つです(労働基準法39条)。労働基準法39条10項は、業務上の負傷・疾病による療養のための休業期間、育児休業・介護休業の期間、産前産後休業の期間を出勤したものとみなすとしていますが、私傷病の休職期間はこの「みなし」に入っていません。パワハラによる不調が労災と認められるかどうかで、出勤率の計算が変わる点を押さえておきます。労災と傷病手当金の違いはパワハラの休職は傷病手当金と労災のどちらかで比べています。

賞与と社会保険料。 賞与が支払われると、標準賞与額に対する健康保険料・厚生年金保険料がかかり(健康保険法156条)、会社は賞与から本人負担分を差し引くことができます(同法167条2項)。休職中に会社が立て替えていた保険料がある場合は、賞与から精算するのかどうかも含めて、手取りの見込みを人事に確かめます。休職中の保険料の払い方は前の記事の休職中の社会保険料・住民税と傷病手当金からの払い方で扱っています。

相談を理由とした不利益な扱いが疑われるとき

パワハラを会社に相談したあとで、評価や賞与が急に下がった。そうしたとき、規程どおりの計算なのか、相談が理由なのかを分けて整理します。

労働施策総合推進法31条2項は、事業主は、労働者がパワハラの相談をしたことや、会社の調査に協力して事実を述べたことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはならないと定めています。どちらに当たるかを判断するのは本人やこのサイトではなく、会社の説明と規程、経緯の記録をもとに、外部の窓口や専門家が判断の手助けをします。整理のために、次の記録を残します。

  • 社内でパワハラを相談した日、相談先、相談の内容
  • 評価や賞与の通知が来た日と内容(前回・前年との比較)
  • 会社が示した減額・評価の理由と、根拠の規程
  • 休職していない同じ立場の人との扱いの違い(分かる範囲)

相談先は、社内の相談窓口のほか、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)です。パワハラに関する紛争では、労働局長の助言・指導や、紛争調整委員会の調停を利用できます(制度の中身は労働局の助言・指導と調停を参照)。窓口の連絡先と受付時間はパワハラの相談窓口一覧にまとめています。

休職中は、賞与や評価の不安があっても、交渉や問い合わせを一度に進めると体調に響きます。今すぐ確かめることは「規程の写し」と「人事への1通の質問」に絞り、細かな交渉は復職の話し合いの時期にまとめる方法もあります。復職の進め方はパワハラ休職からの復職の流れにまとめています。休職中の給与そのものの扱いはパワハラ休職中の給与は出るかを読んでください。

よくある質問

Q. 休職前に働いた期間の分のボーナスはもらえますか?

賞与の規程にある「算定期間(査定期間)」と「支給日に在籍していること」などの条件で決まります。休職中も会社に籍はあるので、支給日在籍の条件だけで外れるとは限りません。算定期間のうち休職した日数をどう扱うかが規程に書かれているので、そこを人事に確かめます。

Q. パワハラを相談したらボーナスの評価が下がりました。仕返しではないかと不安です。

労働施策総合推進法31条2項は、パワハラの相談をしたことを理由とする解雇その他の不利益な取扱いを禁じています。下がった理由が規程どおりの計算なのか、相談が理由なのかは、会社の説明と規程を照らし合わせて整理します。相談した日と評価の通知、会社の説明を記録し、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。

Q. 休職中にボーナスが出たら、傷病手当金は減りますか?

傷病手当金を減らす調整の対象として健康保険法108条が定めているのは「報酬」です。同法3条5項は、3か月を超える期間ごとに受けるものを報酬から除き、同条6項はそれを「賞与」と定義しています。ただし実際の扱いは加入先の健康保険が判断するため、賞与が出ると分かった時点で加入先に確かめてください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

パワハラ休職中の給与は出る?無給の場合に使える制度と生活費

休職中の傷病手当金と社会保険料・住民税:免除はなく払い方は会社に確認

労働局の助言・指導と調停:パワハラ・カスハラの紛争を解決する仕組み

パワハラ休職からの復職:主治医・産業医・会社と進める流れ