休職と復職 / Q&A

パワハラ休職中の給与は出る?無給の場合に使える制度と生活費

この記事のもくじ
  1. 休職中の給与は規程で決まる:確かめる場所と項目
  2. 無給・一部支給のときに使える制度:状況ごとの分かれ道
  3. 金額と入金時期の目安:月の収入を見積もる
  4. 無給の期間の生活費:家計の見直しと公的な支え
  5. パワハラが原因のときに残しておく書類

パワハラで休職しているときに給与が出るかどうかは、**法律ではなく、会社の就業規則や賃金規程の定めで決まります。**無給の会社も、一定期間だけ一部を払う会社もあります。無給や一部支給のときは、健康保険の傷病手当金、パワハラによる発病が業務上と認められた場合の労災保険の休業補償給付、それでも足りない分を補う公的な支えを組み合わせて生活費を考えます。ここでは、規程で確かめる項目、状況ごとの収入の組み合わせ、入金までの家計の組み立て方を順に整理します。

休職中の給与は規程で決まる:確かめる場所と項目

休職は、法律で会社に設けることが求められている制度ではありません。常時10人以上の労働者を使う会社は、賃金や退職などを定めた就業規則を作って労働基準監督署に届け出る義務があり(労働基準法89条)、休職の期間や休職中の賃金の扱いは、ふつうこの就業規則や賃金規程に書かれます。入社時の労働条件の明示でも、休職の定めがある会社はその内容を示すことになっています(労働基準法施行規則5条1項)。手元の労働条件通知書と、就業規則・賃金規程の両方を見比べます。

早見表:休職中のお金について規程で確かめる項目
確かめる項目 規程の書き方の例 確かめたい理由
休職の前の欠勤期間 「欠勤が○日続いたときに休職を命じる」 欠勤の間の給与の扱いが、休職中と違うことがある
休職中の基本給 「休職期間中は無給」「最初の○か月は○割を支給」 傷病手当金との差額の計算に関わる
手当(通勤手当・住宅手当など) 「休職中は諸手当を支給しない」 住宅手当が止まると家賃の負担が増える
社会保険料・住民税の本人負担の払い方 「会社が立て替え、復職後に控除」「毎月振り込み」 無給でも負担は続くので、払う時期を決めておく
賞与・昇給の算定 「算定期間中の休職期間は除く」 次のボーナスの見込みが変わる
健康保険組合の付加給付 健保組合の規約・案内に記載 協会けんぽにはない上乗せがある組合もある

保険料の払い方は休職中の社会保険料・住民税と傷病手当金からの払い方、賞与はパワハラ休職中のボーナス・評価と規程の確かめ方で詳しく扱っています。規程を読んでも分からない点は、人事にメールで聞き、答えを文字で残しておきます。

文例:「人事部 〇〇様 休職中の給与についてお尋ねします。①休職期間中の基本給と手当の扱い、②給与から控除できない月の社会保険料・住民税の支払い方法と期日、③傷病手当金の申請書の事業主証明をお願いする際の送り先、の3点をお知らせいただけますでしょうか。該当する規程の条文もあわせて教えていただけると助かります。」

無給・一部支給のときに使える制度:状況ごとの分かれ道

給与が出ない日や減る日に何が受け取れるかは、休んでいる理由と、その日に給与が出ているかで分かれます。

早見表:休職中の状況ごとの主な収入
状況 主な収入 根拠と注意
業務外の病気として療養のため休み、無給 傷病手当金(連続3日の待期の後、4日目から) 健康保険法99条。休む前に入っている健康保険から
同じく療養中で、会社から給与が一部出る 給与+傷病手当金との差額 健康保険法108条1項。給与が手当金の額以上なら、その日は支給されない
有給休暇を使って休む日 有給休暇の賃金 その日は差額がなければ傷病手当金は出ない。待期の3日には数えられる
パワハラによる発病が業務上と認められた 労災保険の休業補償給付+休業特別支給金(4日目から) 労災保険法14条。初日から3日目は会社が労働基準法の休業補償(平均賃金の60%)を行う(76条)
体は働ける状態なのに、会社の判断で休ませられている 休業手当(平均賃金の60%以上)が問題になりうる 労働基準法26条。私傷病の休職とは別の話

有給休暇を先に使うか、待期とどう組み合わせるかはパワハラ休職の前に有給を使うか:傷病手当金との順番と注意で扱っています。会社から出社を止められている場合の確かめ方は、自宅待機の命令を受けたとき:給料・期間・理由を書面で確かめる方法を参照してください。

一部支給の差額は、1日あたりで比べます。たとえば傷病手当金が1日6,667円の人に、会社が1日あたり3,000円に当たる給与を払う場合、差額の3,667円が傷病手当金として支給されます。会社から出る分と合わせると、その日の受取は6,667円で、給与が出ない場合と同じになります(筆者の計算)。会社の一部支給は、傷病手当金に上乗せされるのではなく、手当金の一部を会社が先に払う形になる、と考えておくと家計の見込みを立てやすくなります。

傷病手当金と労災は、同じ期間について両方を満額で受け取る仕組みではありません。どちらを申請するか、労災の決定を待つ間をどうするかは、パワハラの休職は傷病手当金と労災のどちらか:違いと切り替えで比べています。公務員は健康保険ではなく共済組合や病気休暇の制度になるので、公務員がパワハラで休むときの病気休暇・休職と給与の扱いを見てください。

金額と入金時期の目安:月の収入を見積もる

**傷病手当金の1日あたりの額は、給与の手取りではなく、標準報酬月額をもとに計算します。**支給開始日の属する月以前の直近12か月の標準報酬月額の平均を30で割り、その3分の2が1日あたりの額です(健康保険法99条2項)。12か月とも標準報酬月額が30万円の人なら1日6,667円、30日で200,010円になります(筆者の計算)。計算の細かい決まりは休職中の傷病手当金:受け取る条件・金額の計算・期間にまとめています。

労災保険の休業補償給付は、給付基礎日額の60%で、これに休業特別支給金の20%が加わります(労災保険法14条1項、特別支給金支給規則3条)。給付基礎日額は労働基準法12条の平均賃金に当たり、直前3か月に支払われた賃金の総額を、その期間の暦日数で割って出します。賞与のように3か月を超える期間ごとに払われる賃金は含めません。給付基礎日額が1万円なら、1日8,000円です(筆者の計算)。精神障害では、診断で病気の発生が確定した日が算定の基準になります(労災保険法8条1項)。請求の手続きはパワハラ労災の休業補償給付:もらえる額の計算と待期の扱いで扱います。

金額と同じくらい大事なのが、入金の時期です。傷病手当金は、休んだ期間が過ぎてから、本人・会社・医師が記入した申請書を出して受け取ります。協会けんぽは、審査の結果支払えるときは受付日から10営業日以内に支払うと案内しています。休み始めから最初の入金までは、申請書をそろえる時間も含めて、ひと月以上空くことを見込んでおきます。

  1. 休職が決まったら、会社の事業主証明と主治医の意見書をどの順で頼むかを決める。
  2. 最初の申請は、休み始めから1か月ほどで区切ると、入金を早められる。
  3. 2回目以降は、会社と医師に頼む手間と、入金の早さを比べて区切り方を決める。

申請書の欄ごとの書き方は休職中の傷病手当金の申請方法:申請書の記入欄と支給までの流れで確かめられます。

無給の期間の生活費:家計の見直しと公的な支え

収入の見込みが立ったら、休職中の家計を1枚の表にします。入る側には「給与(一部支給があれば)」「傷病手当金または労災の給付」「その入金予定日」を、出る側には止められない支払いから並べます。

  • 家賃・住宅ローン(住宅手当が止まるかも確かめる)
  • 社会保険料・住民税の本人負担(会社への支払い方法と期日)
  • 通院費・薬代
  • 通信費・光熱費・保険料
  • 借入やカードの返済日
  • 最初の入金までの1か月余りを、預貯金でまかなえるか

足りない月が見えたら、借りる前に、入るはずのお金の手続きが止まっていないかを先に確かめます。そのうえで不足が残るときは、市区町村の社会福祉協議会の生活福祉資金(返済が必要な貸付)、家賃を支える住居確保給付金、通院の自己負担を軽くする自立支援医療といった公的な制度があります。どれが使えるかを一緒に整理してくれる窓口は、市区町村の自立相談支援機関です。制度ごとの対象や相談のしかたは休職中でお金がないとき:公的な貸付・支援制度の探し方と相談先にまとめています。

パワハラが原因のときに残しておく書類

給与の扱いや、後で労災を請求するかどうかを考えるときに、休職前後のお金の書類が材料になります。休職に入る前後で、次のものを手元にそろえておきます。

  • 休職の発令通知、または休職を認めた書面・メール
  • 休職前3か月分と休職後の給与明細(欠勤控除や手当の停止が分かるもの)
  • 就業規則・賃金規程のうち、休職と賃金に関わる条文の写し
  • 診断書の写しと、傷病手当金の申請書の控え・支給決定通知
  • パワハラの出来事を記した記録(日時・場所・言われたこと・周りにいた人)

給与明細は、労災の給付基礎日額の計算にも使われます。休職を機に会社のシステムに入れなくなることもあるので、見られるうちに保存しておきます。

休職中の給与が規程どおりに払われていない、休職の扱いが規程と違うと感じたときは、規程の条文と給与明細を持って、労働基準監督署や都道府県労働局の総合労働相談コーナーで相談できます。パワハラについて会社や加害者に何かを求めたいときは、それが法的にどう扱われるかの判断が必要になるので、記録を持って弁護士に相談します。休職中にそのまま辞めることを考え始めたら、退職日の決め方で傷病手当金の扱いが変わるので、パワハラ休職中に退職する手順:伝え方・書類・傷病手当金の注意を先に読んでください。

よくある質問

Q. 休職中に会社から給与が少しだけ出ると、傷病手当金はもらえなくなりますか?

健康保険法108条1項により、給与が出ている日でも、その額が傷病手当金の額より少なければ差額が支給されます。手当金の額以上の給与が出ている日は支給されません。会社が申請書の事業主の欄に、休んだ期間に払った給与を書くので、それをもとに加入先が差額を計算します。

Q. 休職中の給与の扱いが、就業規則のどこに書いてあるか分かりません。

「休職」の章のほか、賃金規程の「欠勤・休職の場合の賃金」「欠勤控除」の条文を探します。別の規程にまとめている会社もあるので、人事に「休職中の賃金と手当の扱いが書かれた条文を教えてください」と条文の場所を聞くのが早道です。答えはメールでもらうと、後で読み返せます。

Q. パワハラが原因で休んでいるのに無給なのは納得できません。会社に給与を求められますか?

休職中の給与は規程の定めによるので、まず規程で何が決まっているかを確かめます。パワハラによる発病が業務上と認められれば、労災保険の休業補償給付と休業特別支給金の対象になります。会社や加害者への損害賠償は給与とは別の制度で、求められるかどうかや進め方は、弁護士や労働局の総合労働相談コーナーで記録を見せて相談してください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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