休職と復職 / Q&A

休職中に解雇される?休職期間満了による退職の扱いを確認

この記事のもくじ
  1. 休職中に解雇される?まず押さえる4つの決まり
  2. 休職期間満了による退職の扱い
  3. 仕事が原因の病気なら:労働基準法19条の解雇制限
  4. 解雇・退職を告げられたときにすること

休職中であることだけを理由に、会社が自由に解雇できるわけではありません。解雇には、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が求められます(労働契約法第16条)。ただし、厚生労働省のモデル就業規則にもあるように、就業規則には「休職期間が満了しても復職できないときは退職とする」という定めが置かれることがあり、実際に問題になりやすいのは休職中の解雇より期間満了のときの扱いです。また、パワハラなど仕事が原因の病気で、労災の療養のために休んでいるなら、労働基準法第19条の解雇制限がかかります。

休職中に解雇される?まず押さえる4つの決まり

休職と解雇の関係は、「休職の原因が仕事か、仕事以外か」と「就業規則にどう書かれているか」で変わります。最初に、関係する決まりを並べておきます。

決まり 中身 休職中の人にとっての意味
労働契約法第16条 客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇は、権利の濫用として無効 休職していることだけで、解雇の理由として足りるとは限らない
労働基準法第19条 業務上の病気・けがの療養のための休業期間とその後30日間は解雇してはならない 労災にあたる病気で療養中なら、原則として解雇されない
就業規則の休職の定め 休職期間の長さ、満了時に復職できないときの扱い 期間満了で「退職」になる定めが多い。法律ではなく会社の規程で決まる
労働基準法第20条 解雇は少なくとも30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金を払う 解雇として扱われる場合の手続き

モデル就業規則の解説も、休職の定義・期間の制限・復職などについて「労基法に定めはありません」としています。つまり、自分がどう扱われるかを知るには、まず自分の会社の就業規則の休職の条文を読むことが出発点です。

休職期間満了による退職の扱い

厚生労働省のモデル就業規則は、休職の条文(第9条)に「休職期間が満了してもなお傷病が治癒せず就業が困難な場合は、休職期間の満了をもって退職とする」という例を置き、退職の条文(第52条)にも「休職期間が満了し、なお休職事由が消滅しないとき」を退職の事由として挙げています。この形では、会社が解雇を言い渡すのではなく、期間が満了した時点で退職になる、という扱いです。

就業規則の書き方は会社ごとに違います。「退職とする」と書かれている会社もあれば、「解雇する」と書かれている会社もあります。後者なら、解雇の予告(第20条)や、解雇の有効性(労働契約法第16条)の考え方が関わってきます。どちらの書き方か、条文の言葉をそのまま書き写しておきましょう。

満了で退職にならないためには、期間内に復職を申し出ることが要になります。厚生労働省の「確かめよう労働条件」のQ&Aは、休職期間満了までに就労の意思を示し、主治医の診断書とともに復職を申し出ることを挙げています。会社が産業医や会社指定の医師の受診を求めたときは応じるのが望ましく、就業規則に定めがあれば従わざるをえない可能性が高い、とも説明しています。

期間満了までの逆算表(筆者の整理。細かい段取りは延長の記事の表が正本)
時期 すること
満了の2か月前 就業規則の条文と満了日を人事に書面で確かめ、主治医に復職の見込みと延長の要否を相談する
満了の1か月前まで 復職するなら診断書を添えて申し出る。延長を願うならその手続きを取る。産業医面談の日程を組む
満了日 復職・延長・退職のどれになるかが決まる。書面で受け取る

延びそうなときの手続きは「適応障害の休職を延長したいとき:延長の手続きと期間満了前の確認」、復職の流れは「パワハラ休職からの復職:主治医・産業医・会社と進める流れ」で扱います。

仕事が原因の病気なら:労働基準法19条の解雇制限

労働基準法第19条は、業務上の負傷・疾病の療養のために休業する期間と、その後30日間は解雇してはならないと定めています。パワハラで心の病気を発症し、労災(業務上の疾病)にあたる場合、この制限の対象になりえます。

例外は2つです。一つは、療養開始後3年を経過しても治らない場合に平均賃金の1,200日分の打切補償(第81条)を支払う場合、もう一つは天災事変などで事業の継続が不可能になり、労働基準監督署長の認定を受けた場合です。

注意したいのは、この制限は「業務上」の療養に限られることです。仕事以外の病気(私傷病)として休職している場合や、私傷病の休職期間が満了して退職になる場合には、第19条はそのまま当てはまりません。パワハラが原因だと感じていても、私傷病として休職しているなら、労災の請求を考えるかどうかで扱いが変わってきます。労災申請中の段階でどう扱われるかは事情によって変わるので、労働基準監督署や弁護士に事実を示して相談してください。

解雇・退職を告げられたときにすること

休職中に「解雇する」「満了で退職になる」「辞めてもらえないか」と告げられたら、次の順で動きます。

  1. その場で署名しない。 退職届や合意書を求められても「持ち帰って検討します」と答える。
  2. 書面で理由を求める。 退職の事由(解雇ならその理由を含む)を書いた証明書は、労働基準法第22条で請求できる。請求の仕方は「解雇理由証明書の請求方法」にある。
  3. 就業規則の条文と、休職の開始日・満了日を書面で手元に置く。
  4. お金の手当てを確かめる。 退職後も傷病手当金を受けられる条件(継続給付)は「休職から退職後も傷病手当金を受け取る条件」、すぐ働けないときの失業保険の扱いは「すぐ働けないときの失業保険:受給期間延長の手続き」で確かめる。
  5. 社外の窓口に相談する。 解雇や退職の扱いに納得できないときは、労働局の総合労働相談コーナーなどに相談できる。窓口の一覧は「パワハラの相談窓口一覧:電話番号・受付時間・できること」、窓口ごとの違いは「不当解雇の相談先:労基署・労働局・弁護士の違い」にある。

文例(人事へのメール):「休職期間の満了日と、満了時の取り扱いについて、就業規則の該当条文とあわせて書面でお知らせいただけますでしょうか。主治医と相談のうえ、復職または延長について改めてご連絡いたします。」

退職を勧められている場合は「休職中に退職勧奨を受けたら:療養中に急いで決めないための対応」、自分から辞めることを考えている場合は「パワハラ休職中に退職する手順」に進んでください。

よくある質問

Q. 休職中に退職を勧められました。応じないと解雇されますか?

退職勧奨は会社からの「辞めてほしい」というお願いで、応じる義務はありません。応じなければ退職にはならないというのが出発点です。解雇に進むかどうか、進んだ場合に有効かどうかは別の問題で、労働契約法第16条の考え方で判断されます。その場で返事をせず、面談の内容を記録して持ち帰ってください。

Q. 契約社員です。休職中に契約期間が終わったらどうなりますか?

有期契約は、休職中でも契約期間の満了で終わるのが原則の形で、更新されるかどうかが問題になります。これまでの更新の回数や、更新を期待させる言動があったかなどで扱いが変わることがあります。更新を希望するなら期間満了までに会社へその意思を伝え、記録に残しておきます。考え方は「[雇い止めとは?契約更新を拒否されたときに確かめる経緯と理由](/yatoidome/)」で扱っています。

Q. 休職期間満了で退職になったら、離職理由は自己都合ですか?

離職理由はハローワークが判定します。ハローワークは、体力の不足、心身の障害、疾病などによる正当な理由のある自己都合の離職を、特定理由離職者の範囲として示しています。当てはまるかどうかは個別に判断されます。退職後は、離職票の離職理由を確かめ、納得できなければハローワークで事情を説明します。療養中ですぐ働けない場合は、受給期間の延長も検討します。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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