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労災が不支給になったら:審査請求の期限と手続きの流れ

この記事のもくじ
  1. 労災が不支給になったら:審査請求の期限と出し先
  2. 審査請求までにやること(手順)
  3. 審査請求のあと:審理・再審査請求・取消訴訟
  4. 時効とお金・相談先

労働基準監督署から労災の不支給決定が届いたら、決定を知った日の翌日から3か月以内に、決定をした監督署を管轄する都道府県労働局の「労働者災害補償保険審査官」に審査請求ができます(労災保険法第38条、労働保険審査官及び労働保険審査会法第8条・第9条)。審査請求は文書でも口頭でもでき、その結果になお不服があれば、労働保険審査会への再審査請求か、裁判所への取消訴訟に進めます。まずは通知書の日付を確かめ、期限の日をカレンダーに書き込んでください。

労災が不支給になったら:審査請求の期限と出し先

不服申立ては、3つの段階に分かれています。

流れ図:不支給決定のあとの3つの段階
段階 出し先 期限 方式
① 審査請求 労働局の労働者災害補償保険審査官 決定を知った日の翌日から3か月 文書または口頭
② 再審査請求 労働保険審査会(国) 審査官の決定書の謄本が届いた日の翌日から2か月 文書
③ 取消訴訟 地方裁判所 決定または裁決があったことを知った日から6か月(決定・裁決の日から1年) 訴状
※③は①を経た後でなければ起こせない(労災保険法第40条)。

①の審査請求をしてから3か月たっても決定がないときは、審査官が審査請求を棄却したものとみなして、次の段階に進むこともできます(労災保険法第38条第2項)。

期限の数え方の例です(筆者の計算)。2026年11月10日に不支給の通知を受け取った場合、翌日の11月11日から数えて3か月なので、2027年2月10日までに審査請求をします。郵便で出したときは、郵送にかかった日数は期間に数えません(同法第8条第2項)。とはいえ、ぎりぎりに出すのは避け、期限の数日前には出し終える計画にしてください。

審査請求までにやること(手順)

  1. 通知書を手元に置き、期限を書き出す。 届いた日、封筒、通知書の写しを保管する。
  2. 不支給の理由を読み取る。 精神障害の労災は、①対象疾病の発病、②発病前おおむね6か月の業務による強い心理的負荷、③業務以外の原因による発病とは認められないこと、の3要件で判断される(認定基準)。通知書の理由がどの要件の話かを見分ける。
  3. 調査の記録を求める。 自分に関する行政の記録は、個人情報保護法第76条により開示を請求できる。監督署の調査で作られた記録(聴取の記録や意見書など)を見ると、どの出来事がどう評価されたかが分かる。第三者の情報などは黒塗りになることがある。請求先と手続きは労働局の窓口で尋ねる。
  4. 足りなかった材料を集める。 下の表を目安に、要件ごとに追加できる資料を考える。
  5. 審査請求書を書いて出す。 書式は監督署・労働局労災補償課で入手でき、厚生労働省のページからもダウンロードできる。不服の理由は、決定のどこが事実と違うか、どの資料がそれを示すかの形で書く。
見分け方:不支給の理由と追加しやすい資料
理由の方向 見直す点 追加しやすい資料
強い心理的負荷と評価されなかった 出来事の回数・期間・相手、会社に相談しても改善されなかったか 日記、メール・チャット、録音、社内相談の記録、同僚の陳述
発病の時期がずれていた 評価の対象になる「発病前おおむね6か月」がずれていないか 初診前の受診歴、家族のメモ、主治医の意見
業務以外の原因とされた 私生活の出来事が発病の原因とされた根拠 主治医の意見書、出来事の時期を示す資料

認定基準では、パワハラのように繰り返される出来事は一体として評価し、6か月より前に始まっていても評価期間中に続いていれば、始まった時からの行為が対象になります。また、「中」程度の言動でも、会社に相談しても適切な対応がなく改善されなかった場合は「強」と評価する例が挙げられています。最初の請求で出していなかった社内相談の記録は、見直す価値があります。評価表の読み方は精神障害の労災認定基準を読むで説明しています。

審査請求のあと:審理・再審査請求・取消訴訟

審理。 審査官は、審査請求人や参考人を呼んで話を聞いたり、書類の提出を求めたりできます(労働保険審査官及び労働保険審査会法第15条)。自分の言い分を補う資料は、審理の途中でも出せるよう準備しておきます。

決定に不服があるとき。 選べる道は2つです。

  • 再審査請求:審査官の決定書の謄本が届いた日の翌日から2か月以内に、労働保険審査会へ文書で行う(同法第38条・第39条)。
  • 取消訴訟:審査官の決定を経た後、裁判所に不支給処分の取消しを求める(労災保険法第40条)。出訴期間は、裁決などがあったことを知った日から6か月、裁決の日から1年(行政事件訴訟法第14条)。

再審査請求を経ずに訴訟に進むこともできますが、どちらを選ぶかは、手間・期間・見通しを専門家と相談して決める場面です。訴訟の見通しをこのサイトで示すことはできません。

厚生労働省の「令和7年度 過労死等の労災補償状況」によると、精神障害で審査請求などにより原処分が取り消され、新たに支給決定された件数は28件でした(支給決定件数とは別に数える外数)。不服申立てで結論が変わる例は実際にありますが、件数は多くありません。

時効とお金・相談先

よくある質問

Q. 審査請求に費用はかかりますか?

労災保険法と労働保険審査官及び労働保険審査会法には、審査請求の手数料を定めた規定は見当たりません。かかるのは、記録を集めるための写しの費用や郵送料、専門家に依頼する場合の報酬です。社会保険労務士や弁護士に依頼するかどうかは、自分で出す場合との違いを比べて決めてください。

Q. 審査請求をしている間に、損害賠償の請求を進めてもいいですか?

労災の審査請求と、会社や加害者への損害賠償は別の手続きなので、並行して進めることもできます。ただし、損害賠償には民法の時効があり、労災の審査請求をしても損害賠償の時効は止まりません。期限が近い場合は、早めに弁護士に相談してください。

Q. 3か月を過ぎてしまいました。もう何もできませんか?

法律は、正当な理由によって期間内に審査請求できなかったことを示した場合は、期限後でも受け付けると定めています(労働保険審査官及び労働保険審査会法第8条)。入院していたなど事情があるときは、その事情を示す資料を用意して労働局に相談してください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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