社外のハラスメント相談窓口とは?会社が委託する外部窓口の使い方
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社外のハラスメント相談窓口には、性格の違う2種類があります。一つは、会社が法律事務所や専門の会社などに委託して置いている外部窓口で、これは会社の相談窓口の一部です。もう一つは、都道府県労働局など会社と関係のない公的な窓口です。会社が用意した窓口なので従業員は使ってかまわず、使ったことを理由とする不利益な扱いは禁じられています。委託窓口は、社内の人に直接話さずに済む一方、相談内容を会社に伝えて対応につなぐ役割が中心です。使う前に「会社に何を、どこまで伝えるか」を窓口に尋ねるのが、いちばん大事な確かめ方です。
社外のハラスメント相談窓口とは:委託の窓口と公的な窓口
厚生労働省のパワハラ指針は、会社が講じる措置の一つとして相談窓口をあらかじめ定めることを挙げ、その方法の例に「外部の機関に相談への対応を委託すること」を入れています。会社の案内に「社外相談窓口」「外部ホットライン」とあれば、多くはこの委託の窓口です。委託先が受けても、窓口を置く責任は会社にあり、プライバシーの保護や、相談を理由とする不利益な扱いの禁止(労働施策総合推進法第31条第2項)は社内の窓口と同じように及びます。
| 社内の窓口 | 会社が委託した外部窓口 | 公的な窓口(労働局など) | |
|---|---|---|---|
| 誰が受けるか | 人事・総務などの社員 | 委託を受けた法律事務所・専門の会社など | 労働局の職員・相談員など |
| 会社との関係 | 会社そのもの | 会社の窓口の一部。会社に報告する | 会社と別の行政機関 |
| 相談の後に起きること | 会社が事実確認や措置を検討する | 報告を受けた会社が事実確認や措置を検討する | 制度の説明、希望すれば助言・指導や調停などの手続き |
| 名前の扱い | 社内の担当者に伝わる | 会社への報告で名前を出すかを相談できる | 匿名でも相談できる |
| 向く場面 | 社内の担当者を信頼できる | 社内の人に直接話しにくいが、会社に動いてほしい | 会社の窓口が機能しない、まず外で整理したい |
公的な窓口の一覧と番号はパワハラの相談窓口一覧:電話番号・受付時間・できることの早見表、労働局でできることは労働局のハラスメント相談窓口:雇用環境・均等部(室)でできることで扱っています。ここから先は、主に委託の外部窓口の使い方を説明します。
外部窓口が会社に伝える範囲:相談の最初に確かめる
委託窓口がどこまで会社に報告するかは、法律で一律に決まっているものではなく、会社と委託先の取り決めで決まります。ですから、窓口ごとに答えが違います。相談の最初に、次の点を尋ねます。
- 報告先:会社の誰に報告しますか(人事部、コンプライアンス部門、役員など)。
- 報告の中身:私の名前、部署、相談の内容のうち、どれを伝えますか。
- 了解の取り方:会社に報告する前に、伝える内容を私に確かめてもらえますか。
- 名前を伏せる選択:名前を伏せて、出来事の内容だけを伝えてもらうことはできますか。
- その後の連絡:会社の対応の結果は、外部窓口から知らせてもらえますか。社内の誰かから連絡が来ますか。
名前を伏せたままでも、話を聞いてもらうことには意味があります。ただし、会社が事実確認をするには、いつ・どこで・誰が、が必要になり、出来事が自分一人に向けられたものなら、内容から相談者が推測されることもあります。名前を伏せた相談は「まず状況を伝え、会社の受け止めを見る」段階に向いていて、聞き取りや配置の配慮を求める段階では、名前を出す範囲を決めて進めることになります。
参考までに、内部通報(公益通報)の分野では、消費者庁の指針の解説が「外部窓口」を、委託先や親会社など会社の外に置いた内部通報の受付窓口と説明しています。そして、匿名の通報者と連絡を取る方法の例として、外部窓口から会社に通報者の氏名を伝えない仕組みを挙げています。ハラスメントの委託窓口でも、「名前を伏せたまま連絡を取り合える仕組みはありますか」と尋ねてみる価値があります。
外部窓口を使う手順と、伝え方の文例
委託窓口の案内は、社内ポータルや掲示、就業規則のハラスメント防止規程に載っていることが多いです。電話・メール・専用フォームなど受け付ける方法も窓口ごとに違うので、案内を確かめてから次の順に進めます。
- 連絡方法を選ぶ。 記録を残したいならメールやフォーム、話しながら整理したいなら電話。
- 最初に手続きを尋ねる。 前の見出しの5つの質問を先に聞き、答えをメモする。
- 事実を時系列で伝える。 日付・場所・相手・言われたこと。代表的な出来事を3つ程度。
- 望むことと、伝えてよい範囲を伝える。 「事実を確かめてほしい」「当面は名前を伏せてほしい」など。
- やり取りを保存する。 電話なら終わった後に要点をメモし、メールの送受信はまとめて保管する。
文例(メール・フォーム):「社外相談窓口 ご担当者様 ○○部に所属する社員です。今年5月ごろから、同じ部の上司から、ほかの社員の前で人格を否定する言葉を言われることが続いています(日付と発言は下に記載します)。相談の前に教えてください。①この相談は会社のどの部署に、どの内容が伝わりますか。②会社に伝える前に、伝える内容を私に確認していただけますか。③当面は私の名前を伏せて、出来事の内容だけを伝えていただくことはできますか。お返事をいただいてから、詳しい内容をお送りします。」
いきなりすべてを書かずに、手続きの答えを先にもらうのがこの文例の狙いです。返事の文面は、窓口の約束を示す記録にもなります。出来事の記録の付け方はパワハラの記録の書き方:日時・言葉・場所・目撃者を残す記入例つきを参考にしてください。
社内と社外、どちらの窓口を使うか:状況別の選び方
社内の窓口と委託の外部窓口は、どちらも会社の窓口です。違いは「最初に話を受ける人」で、選ぶ基準は「誰に最初に話すのが安心か」です。
| 状況 | 向く窓口 |
|---|---|
| 社内の窓口担当者が行為者と近い、同じ部署の上司である | 委託の外部窓口 |
| 行為者が役員・社長、または人事部の人 | 委託の外部窓口か、公的な窓口 |
| 社内の担当者を知っていて信頼できる、早く席を離してほしい | 社内の窓口 |
| 会社に知られる前に、これがどういう問題かを整理したい | 公的な窓口(総合労働相談コーナーなど) |
| 気持ちの不調が強く、まず話を聞いてほしい | 心の健康の相談窓口・医療機関 |
社内の窓口で確かめる質問と準備は社内のハラスメント相談窓口の使い方:相談前の準備と守秘の確かめ方で扱っています。会社の案内に、外部窓口とは別に心の健康の相談(EAP)が載っていることもあります。EAPで話した内容が会社に伝わる範囲は会社のEAPカウンセリングは使っていい?守秘と会社に伝わる範囲で、産業医との面談についてはパワハラを産業医に相談するとき:面談で伝えることと守秘の範囲で整理しています。
委託の外部窓口で進まないとき:会社と関係のない窓口へ
委託の外部窓口に相談しても、会社の動きが見えないことがあります。報告を受けて対応するのは会社なので、外部窓口そのものに会社を動かす力はありません。返事の催促は窓口と会社の両方にメールで送り、日付を残しておきます。それでも進まないときは、会社と関係のない公的な窓口に、これまでのやり取りを見せて相談します。
厚生労働省は、会社で対応してもらえない場合や社外で相談したい場合の窓口として、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)と総合労働相談コーナーを案内しています(匿名でも相談でき、相談は無料)。労働組合に相談する方法もあります。公務員・公立学校の教員は窓口が民間と違い、人事院や人事委員会(公平委員会)、教育委員会などになります。
会社に相談窓口そのものが見当たらないときの考え方と相談先は、次の記事ハラスメント相談窓口がない会社は義務違反?設置義務と代わりの相談先で扱っています。
よくある質問
Q. 会社が委託した外部窓口に相談すると、会社に名前が伝わりますか?
委託窓口は会社の相談窓口の一部なので、相談内容は、会社に報告されることが多い窓口です。名前を伏せて内容だけを伝えてもらえるか、報告の前に本人の了解を取るかは委託の取り決めで決まるため、相談の最初に窓口へ尋ねて、伝えてよい範囲を指定します。
Q. 外部窓口とEAP(従業員支援プログラム)のカウンセリングは同じものですか?
同じとは限りません。ハラスメントの外部窓口は会社の措置の一部として事実確認などにつなぐ窓口で、EAPのカウンセリングは心の健康の相談が中心です。案内に両方が並んでいることもあるので、「ハラスメントの申告として会社に伝わる窓口か」を確かめてから話します。
出典・参考にした公的な情報
- 事業主が講ずべきハラスメント対策パンフレット(パワハラ指針 令和8年10月1日適用時点の本文)(厚生労働省)
- 労働施策総合推進法 第31条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 職場におけるハラスメントの防止のために(厚生労働省)
- 公益通報者保護法に基づく指針(令和3年内閣府告示第118号)の解説(消費者庁)
- あかるい職場応援団 ハラスメントの相談窓口(厚生労働省)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。