社内のハラスメント相談窓口の使い方:相談前の準備と守秘の確かめ方
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社内のハラスメント相談窓口は、会社が置いて従業員に知らせることが法律と指針で義務になっている窓口なので、使ってかまいません。そこに相談したことを理由に解雇や不利益な扱いをすることは、労働施策総合推進法第31条第2項で禁じられています。使う前に確かめたいのは、誰が担当するか、相談内容を誰にどこまで伝えるか、記録をどう残すかの3点です。このページでは、窓口の探し方、相談前に担当者へ尋ねる質問、準備の手順、最初に話す内容の文例を順に示します。
社内のハラスメント相談窓口とは:会社が置いて知らせる義務がある
労働施策総合推進法第31条第1項は、パワーハラスメント(パワハラ)で労働者の就業環境が害されないよう、会社に「相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」などの措置を義務づけています。厚生労働省のパワハラ指針は、その中身として、相談窓口をあらかじめ定めて労働者に周知することを挙げています。窓口の形の例は、担当者を決める、相談の制度を設ける、外部の機関に委託する、のいずれかです。セクシュアルハラスメント(セクハラ)や妊娠・出産等に関するハラスメント(マタハラ)も、別の法律で同じ形の措置が会社に求められていて、パワハラ指針は、それらを一つの窓口でまとめて受ける体制を望ましい取組として挙げています。
指針は窓口について、次のことも求めています。
- 担当者が内容や状況に応じて適切に対応できるようにしておく
- パワハラが起きている場合だけでなく、起きるおそれがある場合や、当たるか微妙な場合も広く相談に応じる
- 相談者・行為者のプライバシーを守るための措置を講じ、そのことを労働者に知らせる
- 相談したこと、事実確認に協力したこと、労働局に相談したことなどを理由に不利益な扱いをされない旨を定め、知らせる
窓口の場所は、次のところに書かれていることが多いです。
- 就業規則やハラスメント防止規程(「相談窓口」「苦情処理」の章)
- 社内ポータル・イントラネットの人事や総務のページ
- 休憩室や更衣室の掲示、入社時に配られた資料、社内報
- 見つからないときは、人事・総務の担当者に「ハラスメントの相談はどこにすればよいですか」とだけ尋ねる
外部の会社や法律事務所に委託した窓口が案内されていることもあります。委託窓口の性格と使い方は社外のハラスメント相談窓口とは?会社が委託する外部窓口の使い方で扱っています。
相談する前に担当者へ確かめる5つの質問
社内の窓口に話すのをためらう理由は、多くが「誰に伝わるのか」「何が起きるのか」が見えないことです。話の中身に入る前に、担当者に手続きのことを尋ねてかまいません。
| 質問 | 答えで分かること |
|---|---|
| ① 相談の内容は、窓口の担当者のほかに誰が知ることになりますか | 人事の上長や役員まで共有されるか。守秘の範囲 |
| ② 行為者に話を聞くのはいつですか。私の名前は伝わりますか | 聞き取りの時期と、名前を伏せる工夫ができるか |
| ③ 今日は相談だけにして、聞き取りなどの対応は私が決めてから、とできますか | 自分のペースで進められるか |
| ④ 相談の記録は作りますか。私も控えをもらえますか | 後から経緯を示す資料が残るか |
| ⑤ 結果や会社の対応は、いつ、どのように知らせてもらえますか | 待つ期間の目安と連絡方法 |
答えをその場で確かめたら、メモに残します。「共有するのは担当者2人と人事部長まで」「行為者への聞き取りは来週以降、事前に連絡をもらう」などの約束は、後で行き違いを防ぐ材料になります。
指針が会社に求めているのは措置の枠組みで、聞き取りの順番や共有の範囲は会社ごとの運用です。ですから「この会社ではどうなっているか」を尋ねることに意味があります。担当者が答えにくそうなら、「規程で決まっていることを教えてください」と聞き直すと、答えが返ってきやすくなります。
相談前の準備:伝える事実と、望むことを決めておく
相談の場では緊張もあって、話しているうちに要点が抜けやすくなります。次の手順で準備します。
- 出来事を時系列に並べる。 日付、場所、相手、言われたことや、されたことを、1行に1件書き出します。言葉はできるだけそのまま書きます。
- 代表的な出来事を3つ選ぶ。 すべてを話そうとせず、頻度が分かるもの、周りの人が見ていたもの、最近のものを選びます。
- 手元の記録を確かめる。 メモ・メール・チャットの画面・録音・通院の記録など、見せられる物と、まだ見せたくない物を分けておきます。
- 望むことを決める。 「話を聞いてもらうだけ」「事実を確かめてほしい」「席や担当を離してほしい」「再発を防いでほしい」のどれかを、優先順に並べます。
- 伝えてよい範囲を決める。 行為者に名前が伝わってよいか、同じ部署の人への聞き取りをしてよいかを、自分の中で先に決めておきます。
記録の付け方はパワハラの記録の書き方:日時・言葉・場所・目撃者を残す記入例つき、持っていく物の一覧はパワハラ相談の準備チェックリスト:持っていく記録と伝える5項目にまとめています。相談の申込みをメールでするときの文面は、会社にパワハラを相談するメールの書き方:件名から結びまでの例文を使ってください。
窓口での伝え方:最初の数分で話すこと
最初の数分で、「何に困っていて、何をしてほしいか」と「伝えてよい範囲」を先に言っておくと、担当者がその後の進め方を組み立てやすくなります。
文例:「営業2課の○○です。今年の6月ごろから、□□課長から朝礼で名指しで大声の叱責を受けることが週に2〜3回続いています。日付と言われた言葉はこのメモに書いてきました。今日はまず事実を聞いていただきたいのと、今後の進め方を相談したいです。課長への聞き取りは、私の名前が伝わる時期を事前に教えていただけるなら構いません。部署のほかの人に話すのは、少し待ってください。」
話すときは、評価の言葉(「パワハラです」「ひどい人です」)より、事実(いつ・何を言われたか・何回か)を中心にします。判断するのは会社や、その先の労働局で、相談者が言い切る必要はありません。気持ちのつらさや体調の変化は、事実と分けて「その結果、眠れない日が続いている」のように伝えれば、配慮の措置を考える材料になります。
相談の場を録音してよいかは窓口ごとに扱いが違います。録音を考えているときはパワハラ相談の場を録音してもいい?窓口・面談での記録の残し方を先に読んでください。
相談した後:記録を残し、動きがないときは外の窓口へ
相談が終わったら、その日のうちに要点を担当者へメールで送り返し、記録の形にします。確認メールの文例と、会社に回答を書面で求める方法はパワハラ相談の記録を会社に残してもらう:相談と回答を書面にする方法で扱っています。
指針は、相談を受けた会社に、事実関係の迅速で正確な確認、被害者への配慮の措置、行為者への措置、再発防止を求めています。事実が確かめられなかった場合も、再発防止の措置は講じることになっています。会社が何をすべきかの全体はパワハラで会社の義務は何?相談したら会社がするべき10の措置で一覧にしています。
次のようなときは、社内だけで抱えず、会社と関係のない窓口の力を借ります。
- 相談してから数週間たっても、聞き取りの予定も説明もない
- 相談の後、配置や評価、仕事の割り振りが急に変わった
- 窓口の担当者が行為者の味方をしているように見える
相談後の扱いが悪くなったと感じるときの整理はパワハラを相談して悪化したら:報復・不利益な扱いへの対処、会社が対応しないときの外への出し方はパワハラを相談しても会社が対応しないとき:外へ出す前に確かめることで扱っています。退職した後の相談先を知りたいときは、前の記事退職後でもパワハラを相談できる?辞めた後に使える窓口と期限を参考にしてください。
よくある質問
Q. 窓口の担当者が、加害者と親しい上司だったらどうすればいいですか?
担当者が複数いれば、別の担当者を指名して相談できるか尋ねます。外部に委託した窓口があればそちらを使う方法もあり、社内で選べないときは都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)など、会社と関係のない窓口に先に話を聞いてもらえます。
Q. 社内の窓口に相談すると、加害者に名前が伝わりますか?
事実を確かめるために行為者から話を聞く段階で、相談があったことが本人に伝わる場合があります。いつ、誰に、どこまで伝えるかは、相談の最初に担当者に尋ねます。伝えてよい範囲や、まだ聞き取りはしないでほしいという希望も、その場で伝えてください。希望どおりに進むかは会社の運用によるので、返答を記録に残します。
Q. パワハラかどうか分からない段階で相談してもいいですか?
厚生労働省のパワハラ指針は、パワハラに当たるか微妙な場合や、起きるおそれがある段階でも、会社が広く相談に応じるよう求めています。「判断してほしい」ではなく「こういうことが続いていて困っている」と事実から伝えれば十分です。
出典・参考にした公的な情報
- 労働施策総合推進法 第31条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 事業主が講ずべきハラスメント対策パンフレット(パワハラ指針 令和8年10月1日適用時点の本文)(厚生労働省)
- 職場におけるハラスメントの防止のために(厚生労働省)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。