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新人の指導とパワハラの境目:毎日怒られるときに確かめること

この記事のもくじ
  1. まず「内容」と「言い方」を分けて見る
  2. 「教育が先にあったか」を確かめる
  3. 怒られた直後と、その日の夜にできること
  4. 1週間つける記録の型
  5. 指導係・上司への伝え方
  6. 相談へ進む目安と窓口

毎日のように怒られていても、それだけでは指導かパワハラかは決まりません。厚生労働省の指針は、何を求められているか(内容)と、どう伝えられているか(言い方)を分けて、両方を見ることを求めています。この記事では、その分け方と、1週間でできる記録、指導係への伝え方、相談に進む目安を順に並べます。

まず「内容」と「言い方」を分けて見る

パワーハラスメント(パワハラ)は、職場で行われる①優越的な関係を背景とした言動で、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるもの、の3つをすべて満たすものと指針は定めています。新人の場合、先輩や指導係は仕事を教える立場なので①は満たされやすく、争点は②になります。②は、指導の目的、新人の問題行動の有無や程度、言動の態様、回数や継続性などを総合して見るとされています。

そこで、怒られた場面を次の2つの軸に分けて書き出します。

確かめ表:怒られた場面を「内容」と「言い方」に分ける
見る軸 確かめる質問 指導として受け止めやすい例 相談を考える目安になる例
内容 何について怒られたか 手順の間違い、期限の遅れ、報告漏れなど、仕事の具体的な点 仕事と関係のない点、教わっていない内容、到底こなせない量や水準
内容 事前に教わっていたか 教わった手順と違うことをした 一度も教えられていないことを「できて当然」と責められる
言い方 何を言われたか 「この数字が違う。直して」 「やる気がないなら辞めろ」など、人格や能力を否定する言葉
言い方 どこで言われたか 席や面談室で、1対1で 他の人の前で大声で、見せしめのように
言い方 どのくらいの長さ・頻度か 要点を伝えて短時間で終わる 同じ話を長時間繰り返す、毎日のように続く

右端の列に当てはまる項目があっても、それだけでパワハラと決まるわけではありません。当てはまる項目が複数あり、しかも繰り返されているかどうかを、記録で確かめる段階だと考えてください。

「教育が先にあったか」を確かめる

内容の軸で最も差が出るのは、教える手順が先にあったかです。教えた手順を何度も守らないときに強めに注意することと、一度も教えていないことを「できて当然」と責めることは、同じ「怒られる」でも意味が違います。後者の形や、放置・雑用といった型ごとの見方は、新人へのパワハラ:教えない・放置・雑用が続くときの確かめ方と相談先に分けてあります。

「自分の覚えが悪いのでは」と感じている人は、次の項目で確かめられます。

  • 同じミスで怒られるとき、直し方を一度でも具体的に教わったか
  • 教わった内容をメモに残しているか(残していれば、それ自体が自分を守る資料になる)
  • 他の新人や同期は、同じ場面でどう扱われているか
  • 怒られる時間は、業務の遅れを取り戻す時間を奪うほど長くなっていないか

怒られた直後と、その日の夜にできること

怒られている最中に言い返す必要はありません。その場では「確認します」とだけ答え、席に戻ってから次の順で動くと、感情に流されにくくなります。

  1. 言われたことを、その場でメモに書き出す(一字一句でなくてよい)
  2. 指摘された点のうち、仕事の中身に当たる部分に線を引く
  3. 人格や能力に触れた言葉は、別の欄に原文のまま移す
  4. 帰宅後に、記録の型(下記)へ清書する

毎日怒られていると、全部が自分の責任に思えてきます。中身の部分と言い方の部分を紙の上で分けるだけでも、直すべき点と、直す必要のない点が見えてきます。

1週間つける記録の型

判断を人に委ねるには、記録が材料になります。1回ごとに次の6項目を、その日のうちに書きます。感想は別の欄に分けます。

  1. 日時と場所(例:10月21日 午後3時ごろ、事務所の席)
  2. 言った人
  3. 怒られた内容(何の仕事についてか)
  4. 実際に言われた言葉(覚えている範囲で、そのまま)
  5. 長さと居合わせた人
  6. 事前に教わっていたか(はい・いいえ・不明)

書き方の見本はパワハラの記録の書き方:日時・言葉・場所・目撃者を残す記入例つきに、指示内容や業務量を一緒に残す方法はパワハラと指導の境目を示す記録:指示内容や業務量も一緒に残す方法にあります。

1週間たったら、怒られた回数、内容が仕事に関するものだった回数、人格に触れる言葉があった回数を数えます。数えるだけで、「毎日怒られている」という感覚が、実際には何がどれだけだったのかに置き換わります。

指導係・上司への伝え方

最初の相談は、責める形ではなく、確認を頼む形にすると通りやすくなります。次の例は、本人が自分で使うためのものです。

「いただいた指摘をメモにまとめました。優先して直す点を、3つに絞って教えていただけますか。」

「先日の件で、手順のどこが違っていたのか、一緒に確認させてください。次は同じ間違いをしないようにしたいです。」

言い方そのものがつらいときは、事実と影響を短く伝えます。

「内容は直します。ただ、皆さんの前で大きな声で言われると、頭が真っ白になって覚えられません。席か面談室で教えていただけませんか。」

これで言い方が変わるなら、そこで済みます。変わらない、または「甘えだ」と返される場合は、同じ日のうちに、やり取りも含めて記録に足します。指導係本人が加害者に感じられるときは、その上の上司に伝える方法があります。メールで残す型は会社にパワハラを相談するメールの書き方:件名から結びまでの例文にあります。

相談へ進む目安と窓口

次のうち複数に当てはまり、それが続いているときは、会社の相談窓口か外部の窓口に記録を持って相談します。

  • 人格や能力を否定する言葉が繰り返されている
  • 他の人の前での大声や長時間の叱責が続いている
  • 教わっていない水準の仕事を課され、できなかったことを責められている
  • 体調(眠れない、出勤前に動悸がするなど)に影響が出ている

窓口は、会社の相談窓口、労働組合、都道府県労働局の総合労働相談コーナーなどです。総合労働相談コーナーは無料で、予約なしで相談でき、面談と電話で対応しています。番号と受付時間はパワハラの相談窓口一覧:電話番号・受付時間・できることの早見表で確かめてください。

体調の変化が強いときや、休むかどうかで迷うときは、先に受診して医師に相談する選択肢もあります。

指導の厳しさとは別に、入社直後から仕事を教えられず放置される、雑用だけを任されるといった状態は、新人へのパワハラ:教えない・放置・雑用が続くときの確かめ方と相談先で別に整理しています。内定の段階から嫌がらせがあった場合は内定者へのパワハラ:入社前の研修や連絡で嫌がらせを受けたときをご覧ください。

よくある質問

Q. ミスをした日に強く注意されるのは、指導の範囲ですか?

指針は、再三注意しても改善されない場合や、重大な問題行動に対して一定程度強く注意することを、該当しない例に挙げています。ただし「一定程度」は個別に総合して見る言葉です。ミスの内容、注意の仕方、回数を分けて書き残すと、あとで人に見てもらうときに話が通じやすくなります。

Q. 指導係に質問すると不機嫌になるので、聞けません。どうすればいいですか?

口頭で聞けないときは、質問を短い文章にしてチャットかメモで渡す方法があります。「手順を2点確認させてください」のように件数を示すと、相手も答えやすくなります。それでも質問そのものを禁じられる、無視されるといった状態が続く場合は、日付と言葉を記録して上司や窓口に伝える段階です。

Q. 入社して数か月のうちに、会社の窓口へ相談しても大丈夫ですか?

相談の時期に決まりはありません。指針は、会社の相談窓口に、該当するか微妙な場合でも広く対応することを求めています。また労働施策総合推進法31条2項は、相談したことを理由とする解雇その他の不利益な取扱いを禁じています。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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