退職後の年金・住民税の手続き:辞めた月で変わる払い方
退職後に済ませる年金と住民税の手続きは、国民年金への切替が退職日の翌日から14日以内、住民税は辞めた月によって「最後の給与から一括で引かれる」か「納付書で自分で払う」かが分かれる、という二つが柱です。年金の保険料は令和8年度で月17,920円、納付期限は納付対象月の翌月末日です。収入が途絶えて払えないときには、失業を理由にした免除・納付猶予の特例があります。この記事では、手続きのチェックリスト、年金額への反映割合、住民税の払い方を月ごとに示します。
退職後の手続き:やることのチェックリスト
退職後14日以内に済ませたい手続きから並べます。
- 国民年金の切替(退職日の翌日から14日以内):厚生年金に入る会社に再就職しない20歳以上60歳未満の人。住所地の市区役所・町村役場へ。
- 配偶者の扶養に入る場合:配偶者の勤務先を通じて国民年金の第3号被保険者の手続き(20歳以上60歳未満、厚生年金に入る配偶者に扶養され、原則として年収130万円未満)。
- 健康保険の切替:国民健康保険は14日以内、任意継続は20日以内。選び方は退職後の健康保険の選び方:任意継続・国民健康保険・家族の扶養にあります。
- 住民税の払い方の確認:6月〜12月に辞めるなら、残りを最後の給与から一括で引いてもらうかどうかを、退職前に勤務先の給与担当へ申し出る。最後の給与から引かれる額と、残りの払い方も聞く。
- 保険料が払えないときの免除・猶予の申請:離職票または雇用保険受給資格者証のコピーを用意する。
書類の一覧は退職手続きのチェックリスト:会社から受け取る書類と役所の手続きにまとめています。離職票が手元にないときは離職票が届かないとき:会社への請求とハローワークへの相談の順番で動きます。
国民年金への切替:手続きと保険料
厚生年金に入っていた会社を辞めると、退職日の翌日から厚生年金の資格を失います。次の勤め先が厚生年金に入る会社なら、引き続き70歳まで厚生年金に加入します。そうでない20歳以上60歳未満の人は、国民年金(第1号被保険者)への加入手続きが必要です。扶養されていた60歳未満の配偶者も、同じく手続きが必要です。
窓口で必要なものは、日本年金機構のページに次のように示されています。
- 基礎年金番号を確認できるもの(基礎年金番号通知書、年金手帳など)、またはマイナンバーカードなど。
- 退職直後は、厚生年金などの資格喪失日を証明できるもの(離職票など)が必要になることがある。
手続きは電子申請も使えます。保険料は、令和8年度で月17,920円です(筆者の計算では年間215,040円)。納付期限は、納付対象月の翌月末日です。納付書、口座振替、クレジットカード、スマートフォンアプリなどで納められ、まとめて前払いすると割引があります。
払えないとき:失業等による特例免除・納付猶予
失業・倒産・事業の廃止などの事実を確認できたときは、前年の所得にかかわらず、保険料の免除や納付猶予を受けられる特例があります。雇用保険に入っていた人は、離職票や雇用保険受給資格者証のコピーで失業の事実を示します。
免除と猶予の違いは、将来の年金額にどこまで反映されるかにあります。
| 区分 | 年金額への反映(基礎年金部分) | 追納 |
|---|---|---|
| 全額免除 | 保険料を全額納めた場合の2分の1(平成21年3月分までは3分の1) | 10年以内なら可 |
| 4分の3免除 | 8分の5 | 10年以内なら可 |
| 半額免除 | 8分の6 | 10年以内なら可 |
| 4分の1免除 | 8分の7 | 10年以内なら可 |
| 納付猶予(20歳以上50歳未満) | 受給資格期間には入るが、年金額には反映されない | 10年以内なら可 |
押さえておく点は次のとおりです。
- さかのぼれる期間は限られる。 納付期限から2年を経過していない期間(申請時点から2年1か月前まで)が申請できます。
- 特例免除は毎年度申請する。 翌年度も続けて免除を受けるには、改めて申請が要ります。
- 免除を受けても満額にはならない。 全額免除でも年金額は2分の1の扱いです。追納すれば、反映の割合を戻せます。
- 窓口は市区町村の国民年金担当窓口か、年金事務所。 郵送や電子申請もできます。
生活費の全体の組み立ては仕事を辞めたいけどお金ないとき:辞める前に確かめる制度と順番で扱っています。
住民税:辞めた月で変わる払い方
住民税は、その年の1月1日に住所がある市区町村が、前年の所得をもとに翌年度に課税します。税率は所得割が10%(都道府県民税4%、市区町村民税6%)、均等割が年額4,000円(都道府県1,000円、市区町村3,000円)です。会社員は、会社が給与から毎月引く「特別徴収」が普通です。特別徴収は6月から翌年5月までの12回に分けて引かれます(地方税法321条の5)。
退職すると、会社は退職月の翌月以降の分を給与から引く義務を負わなくなります。残りの払い方は、辞めた時期で次のように変わります。
| 辞めた時期 | 残りの住民税の扱い |
|---|---|
| 6月1日〜12月31日 | 本人が申し出た場合に限り、最後の給与・退職手当から残りを一括で引く(残りの額をまかなえる給与・退職手当があるときに限る)。申し出なければ、残りは本人が納付書で納める(普通徴収) |
| 翌年1月1日〜4月30日 | 5月31日までに支払われる給与・退職手当等で残りの全額をまかなえるときは、そこから一括で引く。まかなえない分は普通徴収 |
| 5月 | 当年度の特別徴収は5月分で終わる(法の一括徴収の区分は6〜12月と1〜4月)。6月からの新年度分の払い方は、市区町村の案内で確かめる |
数え方の例です(筆者の数え方)。9月末に退職すると、10月から翌年5月までの8か月分が残ります。申し出をすればこの8か月分が最後の給与等から一括で引かれ、申し出なければ納付書で納めます。
一括で引かれる場合は、最後の給与と退職手当の手取りが減ることを見込んでおきます。普通徴収になる場合は、市区町村から納付書が届きます。退職後に収入がなくなっても、前年の所得にかかる分の請求は翌年度も続きますので、失業保険や貯金から払う予定を立てておきます。休職中の住民税の払い方は休職中の傷病手当金と社会保険料・住民税:免除はなく払い方は会社に確認で扱っています。
納期限までに払えないと分かったときは、滞納になる前に市区町村の税務窓口に相談します。窓口では、納付書の額と納期限、収入の状況を伝えます。
文例:「○月に退職して、現在は収入が減っています。住民税の納付書が届いたのですが、○月の納期限までの納付が難しい状況です。納め方について相談したいです。」
よくある質問
Q. 退職後に国民年金へ切り替えないと、どうなりますか?
厚生年金の適用事業所に再就職しない20歳以上60歳未満の人は、国民年金の加入手続きが必要です。手続きが遅れると、日本年金機構から「届出はお済みですか」という案内が届くことがあります。保険料の納付が難しいときは、納めないままにせず、免除や納付猶予の申請を先に検討してください。
Q. 住民税は退職したら払わなくてよくなりますか?
払わなくてよくはなりません。住民税はその年の1月1日に住所がある市区町村が、前年の所得をもとに課税する仕組みです。退職後に収入がなくなっても、前年の所得にかかる分は翌年度も請求されます。勤務先の天引きがなくなる分、納付書で自分で納める形に変わります。
Q. 住民税の納付が苦しいときは、どこに相談しますか?
住んでいる市区町村の税金の担当窓口です。納期限が過ぎる前に、収入の状況を伝えて相談します。減免の制度があるかどうかは市区町村の条例によって違うため、窓口で確かめてください。
出典・参考にした公的な情報
- 国民年金の加入(退職したとき・第1号被保険者・第3号被保険者の手続き)(日本年金機構)
- 国民年金保険料(令和8年度の金額・納付期限)(日本年金機構)
- 失業等による特例免除(保険料免除・納付猶予)(日本年金機構)
- 退職したとき(国民年金への切替の案内)(日本年金機構)
- 個人住民税の仕組み(課税の考え方・特別徴収と普通徴収)(総務省)
- 地方税法 第321条の5(給与所得に係る特別徴収税額の納入の義務等)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。