退職代行 / Q&A

うつ病・適応障害で退職代行を使うとき:療養中に確かめる給付と手続き

この記事のもくじ
  1. 退職の前に確かめる順番
  2. 退職代行を使うときの進め方
  3. 失業保険は、働ける状態になってから
  4. 会社と条件を話し合える運営者を確かめる

うつ病や適応障害で出社できず、自分から退職を切り出せないとき、退職代行に連絡を任せることはできます。眠れない、食べられない、消えたい気持ちがあるときは、先に仕事がつらい・限界のときの相談先:電話・LINEの窓口と受付時間を開いてください。ただし退職を決める前に、先に確かめたほうがよい給付が二つあります。傷病手当金を退職後も受け取れるか(継続給付)と、失業保険の受給期間を延長できるかです。退職代行が引き受けるのは会社への連絡で、給付の手続きは自分、または家族が行うことになるため、順番を間違えると受け取れるはずの給付に届かないことがあります。

体がつらい状態で読んでいる方へ。仕事のことを今すぐ決めなくても大丈夫です。

退職の前に確かめる順番

退職日を決める前に、次の順番で確かめると、手戻りが少なくなります。

早見表:療養中の退職で先に確かめる制度
順 制度 確かめる点 窓口
1 医師の診断・診断書 仕事に就けない状態か。いつまでか 主治医
2 傷病手当金(健康保険) 支給を受けているか、受けられる状態か。被保険者期間は1年以上か 協会けんぽ・健康保険組合
3 退職日 退職日に出社すると、仕事に就けない状態でなくなるおそれがないか 加入先の保険者
4 受給期間の延長(雇用保険) 退職後30日以上働けないとき、受給期間を延ばせるか ハローワーク
5 健康保険・年金の切り替え 任意継続・国民健康保険・家族の扶養の比較 保険者・市区町村

傷病手当金は、健康保険法第99条により、療養のために労務に就けないとき、待期の3日間を過ぎた日から支給されます。協会けんぽの説明では、受けられる条件は、業務外の病気・けがの療養であること(仕事が原因の病気やけがは労災保険の対象で、傷病手当金の対象外です)、仕事に就けないこと、連続する3日間を含む4日以上仕事に就けなかったこと、休業期間に給与の支払いがないことの4つです。

退職後も受け取り続けられる継続給付(同法第104条)は、資格喪失日の前日までに被保険者期間が継続して1年以上あり、資格喪失日の前日に傷病手当金を現に受けているか、受けられる状態にあることが条件です。協会けんぽは、いったん仕事に就ける状態になった後に再び就けなくなっても、支給されないと案内しています。そのため、退職日に挨拶のために出社した、といった行動が条件にどう響くかを、加入先に事前に確かめます。判断するのは加入先の保険者です。詳しい条件は休職から退職後も傷病手当金を受け取る条件:辞める前の確認に整理しています。

パワハラや長時間労働が原因で発症したと考える場合は、傷病手当金とは別に、業務上の疾病として労災保険を申請する道があります。認められるかは労働基準監督署の判断で、どちらの手続きを先にするかは、保険者と労基署の両方に確かめます。要件はパワハラによる精神障害の労災認定:3つの要件と申請の流れにあります。

退職代行を使うときの進め方

出社も電話も難しいなら、退職の意思の通知を第三者に任せる意味があります。次の順で進めます。

  1. 受診して診断書をもらう(休職の申請や傷病手当金の資料にもなる)
  2. 休職中なら、休職の手続きが済んでいるか、傷病手当金を申請中かを書き出す
  3. 退職代行へ申し込む際、休職中であること、傷病手当金を受けているか申請中であることを最初に伝える
  4. 退職日を決める。傷病手当金を続けたいなら、退職日に出社しない形にしたい、と伝える
  5. 退職後の書類(離職票、健康保険の資格喪失の書類)の受け取り方を確かめる

運営者に伝える文面は、たとえば次のようにまとめます。

現在、適応障害で休職中で、傷病手当金を受けています。退職後も継続して受けたいため、退職日は出社なしで設定したいです。会社との連絡は、退職の意思と退職日、書類の送付先だけでお願いします。

退職代行に伝えられるのは、本人の希望です。給付が受けられるかの判断を、退職代行の事業者に求めることはできません。確かめる先は、加入先の保険者とハローワークです。離職票や保険証の返却は退職代行で辞めた後の離職票・書類と退職代行で辞めた後の保険証の返却と、次の健康保険・年金の手続きで確かめられます。

失業保険は、働ける状態になってから

雇用保険の基本手当は、就職する意思と能力があるのに職業に就けない状態の人が対象です。病気で今すぐ働けない人は、退職してもすぐには基本手当を受けられません。

ハローワークの案内では、受給期間は原則として離職日の翌日から1年です。病気やけがで引き続き30日以上働けない場合は、その日数だけ受給期間を延長でき、延長できるのは最長3年、元の1年と合わせて最大4年です(雇用保険法第20条)。働けるようになってから基本手当を受けるために、延長の申請を早めにしておく、という使い方です。手続きはすぐ働けないときの失業保険:受給期間延長の手続きと期限にまとめています。

心身の不調が理由の離職は、特定理由離職者の範囲に入ることがあります。ハローワークの案内では、体力の不足、心身の障害、疾病、負傷などで離職した人が含まれます。この場合は、受給資格の要件の被保険者期間が離職日以前1年間に通算6か月以上になり、自己都合の給付制限もかかりません。ただし、判断するのはハローワークです。診断書など、病気で辞めたことを示す資料を求められることがあるので、手元に残します。

会社と条件を話し合える運営者を確かめる

休職中や療養中は、会社が連絡手段を変えたり、診断書の提出を求めたりすることがあります。退職の意思を伝えるだけなら、運営形態の差は小さくなります。次のような場面が見えたら、会社と条件を話し合える運営者を選びます。

  • 休職期間中の給与や社会保険料の扱いで会社と食い違いが出そうだ
  • パワハラが原因で、労災や慰謝料も視野にある
  • 診断書の内容を会社が争うと言ってきた

パワハラが原因のときの選び方はパワハラで退職代行を使うときに、慰謝料や労災との関係はパワハラでうつ・適応障害になったとき:慰謝料と労災の関係に書いています。

退職を決めるのは、体調が少し落ち着いてからでも遅くありません。休職の期間と、傷病手当金の残りの期間を確かめたうえで、辞める時期を選びます。休職中の過ごし方は適応障害の休職中の過ごし方:回復の段階ごとにしていいことで扱っています。

よくある質問

Q. 診断書がなくても、退職代行は使えますか?

期間の定めのない雇用なら、退職の申入れに診断書は要件になっていません。ただ、傷病手当金の申請や、退職前の欠勤の説明、失業保険の離職理由の確認には、医師の意見が資料になります。通院している場合は、退職を決める前に主治医に、仕事に就けない状態かどうかを相談しておきます。

Q. 傷病手当金をもらっている途中で退職しても、受け取り続けられますか?

条件を満たせば続けて受けられます。協会けんぽの説明では、被保険者期間が継続して1年以上あり、資格喪失日の前日に傷病手当金を現に受けているか受けられる状態であることが条件です。退職日の過ごし方で要件が変わるおそれがあるため、加入先の保険者に、退職日の扱いを事前に確かめます。

Q. 退職したらすぐ失業保険を受け取れますか?

療養中で働けない間は、基本手当の対象になりません。基本手当は、働く意思と能力があるのに仕事に就けない状態の人に支給されます。30日以上働けないときは、受給期間を延長する申請ができるので、退職の後に早めにハローワークへ相談します。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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