休職と復職 / 手順

適応障害の休職中の過ごし方:回復の段階ごとにしていいこと

この記事のもくじ
  1. 休職中の過ごし方は3段階で考える
  2. 段階ごとにしていいこと・控えたいこと
  3. 暇な時間の使い方と、生活記録表のつけ方
  4. 罪悪感とパワハラの記憶との付き合い方

適応障害で休職したら、最初はとにかく休むこと、次に生活のリズムを整えること、最後に復職や次の働き方に向けて準備すること、という3つの段階で過ごし方を考えると迷いにくくなります。どの段階にいるか、いつ次に進むかは人によって大きく違うので、決めるのは自分の感覚と主治医の意見です。この記事では、段階ごとに「していいこと」と「控えたいこと」を並べ、暇な時間の使い方と、復職に向けた準備の例を紹介します。

休職中の過ごし方は3段階で考える

休職中の過ごし方の悩みは、「何をすればいいか分からない」と「こんなことをしていていいのか」の2つに分かれます。どちらも、今の自分がどの段階にいるかが分かると答えが出しやすくなります。

段階 目安となる状態 中心にすること 控えたいこと
① 休む 疲れが強く、眠りや食欲が乱れている。仕事のことを考えるとつらい 睡眠・食事・横になること。会社と最低限の連絡 仕事のメールを見続ける、無理な外出、大きな決断
② 整える 少し動ける日が増えてきた。日中に起きていられる時間が延びた 起きる時間をそろえる、散歩や家事で体を動かす 予定を詰め込む、調子のよい日に頑張りすぎる
③ 準備する 生活のリズムが続き、仕事のことを考えても大きく崩れない 通勤に近い外出、集中する作業、復職の相談 主治医や会社と話す前に一人で復職日を決める

うつ病など適応障害以外の診断名で休職している人も、この3段階の整理は使えます。ただし、次の段階に進む時期の見立ては診断名や症状で変わるので、主治医に確かめます。

段階は一直線に進むとは限りません。②に進んだあとで①に戻る日があっても、それは失敗ではありません。調子には波があるものとして、記録をつけながら様子を見ます。

休職中の3段階と次に進む目安
  1. 休む:まず眠りと食事を戻す。会社への連絡は最低限に
  2. 整える:起床時刻をそろえ、短い外出や家事で体を動かす
  3. 準備する:通勤に近い時間の外出、集中する作業を試し、主治医と復職の時期を相談する ※段階を進めるかどうかは、生活記録を見ながら主治医と相談して決める

段階ごとにしていいこと・控えたいこと

① 休む段階:休むことを仕事にする

休職したばかりの時期は、気が張ったままで、休んでいるのに疲れが抜けないと感じることがあります。この段階では、何かを成し遂げることより、眠る・食べる・横になることを優先します。

  • していいこと:好きなだけ眠る、食べられるものを食べる、テレビや動画をぼんやり見る、家族に家事を頼む
  • 控えたいこと:仕事のメールやチャットを何度も見る、職場の人とのやり取りを思い出して反すうする、退職や転職などの大きな決断をこの時期にする

眠れない・食べられない状態が続く、消えてしまいたいほどつらいと感じるときは、過ごし方の段階より先に仕事がつらい・限界のときの相談先の窓口と主治医に伝えてください。

会社への連絡は、休職の手続きと連絡の窓口を決めるところまでで十分です。連絡の頻度や伝え方は次の記事の休職中の会社への連絡と経過報告のメール例文にまとめています。給与が出ない場合の生活費は、健康保険の休職中の傷病手当金を申請します。

② 整える段階:リズムを少しずつ戻す

少し動ける日が増えてきたら、起きる時間をそろえることから始めます。眠れない夜があっても、まずは朝起きる時刻を一定にすることを小さな目標にします。

  • していいこと:決まった時間に起きてカーテンを開ける、近所を散歩する、簡単な料理や掃除をする、短い買い物に出る
  • 控えたいこと:調子のよい日に予定を詰め込む、遅れを取り戻そうと一日中動く、昼夜が逆転したまま過ごす

この時期は「休職中なのに出かけていいのか」と迷うこともあります。外出や旅行の考え方と主治医への確かめ方は適応障害の休職中に遊びに行くのはだめかで扱っています。

③ 準備する段階:働く体力と集中力を試す

主治医が「日常生活はできている」と判断する段階と、職場で求められる仕事ができる段階は同じではありません。厚生労働省の職場復帰支援の手引きも、主治医の判断は日常生活の回復の程度で行われていることが多く、仕事をこなせるまで回復しているとは限らないと書いています。この段階では、働くときに近い負荷を少しずつ試します。

  • していいこと:平日の朝、通勤と同じ時間に家を出る、図書館などで決まった時間を過ごす、本を読む・文章を書くなど集中する作業をする
  • 控えたいこと:一人で復職日を決めて会社に伝える、試した結果を記録せずに「大丈夫」と判断する

手引きでは、会社が設ける試し出勤制度の例として、図書館などで勤務時間と同じ時間帯を過ごす「模擬出勤」、自宅から職場の近くまで通常の経路で移動して一定時間過ごす「通勤訓練」が挙げられています。会社の制度がなくても、主治医と相談のうえ、似た形で生活の中で試してみる方法があります。転職や資格の勉強を考え始めたときも、主治医とペースを決めてからにします。会社との関係や注意点は適応障害の休職中に転職活動はしていい?会社との関係と注意点で確かめられます。会社の制度として行う試し出勤の扱いはリハビリ出勤(試し出勤)とはを読んでください。

暇な時間の使い方と、生活記録表のつけ方

「休職中が暇でつらい」と感じるのは、体が少し動くようになる②のころに出やすい悩みです。暇な時間は、回復の様子を確かめる材料にできます。

負担の小さい時間の使い方の例

  • 散歩のコースを決めて、同じ時間に歩く
  • 料理を一品だけ作る、植物の世話をする
  • 図書館で雑誌や写真の多い本を眺める
  • 短い動画やラジオを聞きながら、手を動かす作業(片付け・塗り絵など)をする

生活記録表は、主治医や産業医と話すときに、自分の回復の様子を具体的に伝える材料になります。紙でもスマートフォンのメモでもよいので、次のような表を毎日つけます。

日付 起床 就寝 食事(回数) 外出・活動 気分(1〜5) メモ
例:11/4 7:30 23:30 3 散歩20分・図書館1時間 3 午後に疲れて1時間横になった

1〜2週間続けると、起きる時間がそろってきたか、疲れが出る時間帯はいつかが見えてきます。復職の判断は、この記録をもとに主治医と話すと進めやすくなります。復職前の産業医面談で何を聞かれるかはうつで休職中・復職前の産業医面談で扱っています。

罪悪感とパワハラの記憶との付き合い方

休職中は「同僚に迷惑をかけている」「自分は甘えているのでは」と責める気持ちが出やすくなります。休職は、医師の判断と会社の制度にもとづいて回復のために取っている時間で、怠けとは違います。罪悪感が強くて休めないときの考え方は適応障害の休職に罪悪感があるときにまとめています。

パワーハラスメント(パワハラ)が原因の休職では、相手の言葉や場面がふいに浮かんでつらくなることがあります。次の点を意識すると、休養を守りやすくなります。

  • 記録の作業は時間を決める。 証拠になるメールや画面の写しは消さずに保存しておき、出来事の書き出しは体調のよい日に短い時間で行う。
  • SNSに会社や相手のことを書かない。 気持ちを吐き出したくなっても、特定できる形で書くと後で自分が不利になるおそれがある。書くなら人に見せないノートに。
  • 思い出してつらいときは人に話す。 家族や信頼できる人、主治医、カウンセラーに話す。眠れない・食べられない状態が続く、気持ちが追い詰められていると感じるときは、仕事がつらい・限界のときの相談先を使ってください。

休職中の過ごし方に正解は一つではありません。今いる段階でできることを一つずつ増やし、迷ったら記録を持って主治医に相談する。その繰り返しが、復職や次の働き方を選ぶ土台になります。復職までの全体の流れはパワハラ休職からの復職の流れにあります。

よくある質問

Q. 休職中に何もしないで寝ているだけでいいのでしょうか?

休職の始めは、休むこと自体がいちばんの仕事です。眠る、食べる、横になるだけで一日が終わっても、それは怠けではなく回復のための時間です。どの段階にいるかの見立ては人によって違うので、次の段階に進むかどうかは主治医と相談して決めてください。

Q. 休職中に資格の勉強や転職の準備をしてもいいですか?

頭を使う作業は疲れやすく、早い段階で始めると休養の妨げになることがあります。本や勉強に向かう気持ちが自然にわいてきて、生活のリズムが整ってきたら、主治医に相談してから短い時間で試すのが安全です。転職活動については会社との関係も含めて別の記事で整理しています。

Q. パワハラの記録の整理は休職中にしたほうがいいですか?

記憶が新しいうちに残しておく価値はありますが、思い出すことでつらさが強まるなら、無理に進めなくてかまいません。手元のメールや画面の写しを消さずに保存しておくことだけ先に済ませ、出来事を時系列に書き出す作業は、体調が落ち着いてから少しずつ行う方法があります。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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