相談先と窓口 / 手順

職場で暴力・脅しを受けたら:110番と#9110、警察への相談の仕方

この記事のもくじ
  1. いま危険か、急がない相談かで番号を分ける
  2. 電話で伝えることと、話す順番
  3. けがと証拠を残す:診断書・写真・記録
  4. 相談から被害届、その後の流れ
  5. 会社と労働の窓口にも、並行して相談する

いまも危険が続いている、殴られた直後、けがをしているときは、ためらわず110番に電話してください。 急がないが警察に話を聞いてほしいときは、警察相談専用電話の #9110(平日8:30〜17:15が基本。時間は都道府県警察で異なる)が窓口です。性的な暴力を受けたときは、#8103(警察の性犯罪被害相談電話、24時間)か #8891(ワンストップ支援センター)に電話できます。気持ちが追い詰められているときは仕事がつらい・限界のときの電話とLINEの相談先も開いてください。この記事に、職場での暴力・脅しについての警察の窓口の番号と受付時間をまとめています。

いま危険か、急がない相談かで番号を分ける

職場の上司や同僚から殴られた、物を投げつけられた、「殺すぞ」と脅された。そんなときに警察へ相談してよいのか迷う人は少なくありません。職場で起きたことでも、殴る・蹴る・脅すといった行為は警察に相談できます。どの番号を使うかは、いま危険があるかどうかで決めます。

早見表:職場の暴力・脅しで使う警察と支援の番号
番号・窓口 使う場面 受付
110番 暴行を受けている・受けた直後、けがをした、相手が近くにいて危険 24時間
#9110(警察相談専用電話) 緊急ではないが警察に相談したい(数日前に殴られた、脅しのメッセージが続く など) 平日8:30〜17:15(都道府県警察で異なる)。土日祝・時間外は一部を除き当直か音声案内
#8103(性犯罪被害相談電話) 職場で性的な暴力を受けた 24時間。通話料無料
#8891(ワンストップ支援センター) 性暴力の被害。医療・相談・支援をまとめて受けたい 24時間受付が基本(時間外は夜間休日コールセンター。センターによって異なる)。通話料無料
Cure Time(内閣府の性暴力に関するSNS相談) 電話が難しい。チャットで相談したい 毎日17:00〜21:00。匿名で相談できる
法テラス 犯罪被害者支援ダイヤル 0120-079714 被害届や刑事手続き、使える支援制度を知りたい 平日9:00〜21:00、土曜9:00〜17:00(祝日・年末年始を除く)。通話料無料

番号を使うときに知っておきたい点です。

  1. 110番は「事件・事故の緊急」用です。 加害者がまだ近くにいる、職場を出られない、けがの手当てが要るときは、迷わず110番を使います。会社の建物の中でもかまいません。
  2. #9110は24時間ではありません。 平日の昼が基本で、受付時間は都道府県警察ごとに違います。夜間や休日に危険を感じたら110番です。
  3. #8891は、一部のIP電話からはつながりません。 NTTのひかり電話からは 0120-8891-77 を使います。つながらないときは、住んでいる都道府県のワンストップ支援センターに直接かけます(直接かけると、一部の自治体を除き通話料がかかります)。センターごとの受付時間は内閣府の一覧で確かめられます。
  4. Cure Timeの受付時間は事業の年度で変わることがあります。 内閣府のページからたどって確かめてください。

性暴力を受けた場合の相談の順番と、職場への申し出は後でよいことは、"職場で性暴力を受けたら:#8891・#8103など24時間の相談先"で詳しく扱っています。

電話で伝えることと、話す順番

警察に電話するとき、「職場でパワハラを受けていて」と全体から話し始めると、緊急かどうかが伝わりにくくなります。次の順番で話すと、相手が状況をつかみやすくなります。

  1. いまの安全:相手が近くにいるか、けがをしているか
  2. いる場所:会社の住所、建物名、フロア
  3. 何をされたか:殴られた・蹴られた・物を投げつけられた・脅された
  4. いつ、誰に:日時と、相手との関係(上司・同僚・取引先など)
  5. けがと受診:痛む場所、受診したか
  6. 残っているもの:写真、メッセージ、見ていた人

110番の例:「会社で上司に殴られました。いま会議室を出て、1階のロビーにいます。上司はまだ同じフロアにいます。左の頬が腫れています。場所は〇〇区〇〇の〇〇ビルです。」

#9110の例:「3日前の夕方、職場の倉庫で同僚に胸を突き飛ばされ、棚にぶつかりました。翌日に受診して打撲と言われ、診断書をもらっています。その後も『次は本気でやる』というメッセージが届いています。警察で相談できる内容か、どう進めればよいか聞きたいです。」

職場の嫌がらせのうち、どんな行為が警察向きで、どんな行為が労働の窓口向きかの見分け方は職場の嫌がらせは警察に相談できる?相談できる行為と準備することにまとめています。

けがと証拠を残す:診断書・写真・記録

警察に相談するときも、会社や労働局に相談するときも、けがの記録と、その日のうちのメモが土台になります。

  • 受診して診断書を頼む。 痛みが軽くても受診しておくと、けがの記録が医療機関に残ります。医師には「いつ、どこで、誰に、体のどこを、何で」されたかを伝え、警察に相談するために診断書が必要だと伝えます。受診の伝え方はパワハラで診断書をもらうには:受診で伝えることと証拠としての使い方で扱っています。
  • けがの写真を、日をおいて撮る。 赤みやあざは時間とともに色が変わります。当日、翌日、数日後と撮ると経過が残ります。日付が分かる形で保存します。
  • 投げつけられた物、壊れた物、現場を撮る。 物そのものも捨てずに保管します。
  • 脅しのメッセージ・メール・留守番電話を消さない。 送信日時と相手が分かる画面を保存し、別の場所にも控えを取ります。
  • その日のうちにメモを書く。 時刻、場所、相手の言葉そのもの、直前のやりとり、見ていた人。
  • 見ていた人の名前を控える。 名前が分からなければ「隣の席の2人」のように書いておきます。

記録の項目と記入例は身体的な攻撃(職場の暴力)を受けたときの対応に、写真の撮り方はパワハラの証拠に写真・動画を残すとき:撮ってよいもの・避けたいものにあります。

相談から被害届、その後の流れ

警察への相談から刑事手続きまでの大まかな流れは次のとおりです。どこで止めるか、どこまで進めるかは本人が選べます。

流れ図:警察への相談から刑事手続きまで
  1. 110番または#9110で相談する(または警察署の窓口へ行く)
  2. 警察官に事情を話す。診断書・写真・メッセージを見せる
  3. 被害届を出すかを決める(その場で決めなくてよい)
  4. 警察が事情を確かめ、事件として捜査を進める場合は、現場の確認や目撃者への聞き取りなどを行う
  5. 警察は事件を検察官に送り、起訴するかどうかは検察官が決める

被害届の受理は、警察の規則で定められています。 国家公安委員会の規則である犯罪捜査規範61条は、犯罪による被害の届出をする者があったときは、管轄区域の事件であるかどうかを問わず受理しなければならないと定めています。口頭で届け出たときは、被害届の用紙に記入を求めるか、警察官が代わりに書くことになっています。

捜査をした事件は、原則として書類や証拠物とともに検察官に送られ(刑事訴訟法246条)、起訴するかどうかは検察官が決めます(247条)。被害者が処罰を求める意思を示す告訴(230条)は、被害届とは別の手続きです。被害届と告訴の違い、出すかどうかの考え方はパワハラで被害届・告訴を考えるとき:刑事と民事の違いと警察への相談で整理しています。

刑法には、暴行(208条)、傷害(204条)、脅迫(222条。親族への害の告知も含む)、強要(223条。脅して土下座や退職届を書かせるなど)といった罪があります。ただし、ある行為が罪に当たるかどうかを決めるのは捜査機関と裁判所で、相談する段階で本人が判定しておく必要はありません。条文と法定刑、告訴の期限はパワハラに刑事罰はある?暴行・脅迫・名誉毀損など刑法の罪との関係にまとめています。

相談したことは、捜査が始まれば職場の人への聞き取りなどで会社に伝わることがあります。会社に知られることに不安があるなら、相談の時点でそのことを話し、どの段階で職場に連絡が入りうるかを担当者に聞いておくと、見通しを立てやすくなります。

会社と労働の窓口にも、並行して相談する

警察は犯罪の被害を扱う機関で、会社の配置や職場の環境を変えるよう求める立場にはありません。加害者と同じ職場で働き続けることが怖いときは、会社と労働の窓口にも並行して相談します。

  • 会社の相談窓口:パワハラ指針は、事実が確認できたときの被害者への配慮の措置の例として、被害者と行為者を引き離すための配置転換や、行為者の謝罪を挙げています。相談するときは「加害者と二人きりにならない配置にしてほしい」など、いま必要な配慮を具体的に伝えます。
  • 労働局・総合労働相談コーナー:会社が取り合わない、相談窓口が加害者に近い人だというときに相談できます。窓口ごとの番号と受付時間はパワハラの相談窓口一覧で確かめてください。
  • 出勤がこわいとき:無理に出勤を続けず、受診して医師に相談したうえで休むことも選択肢です。体と安全を守ることが、記録や手続きより先です。

相談に行く前に、出来事の日付・記録・望む対応を1枚にまとめておくと、警察でも会社でも話が早く進みます。まとめ方はパワハラ相談の準備チェックリストを使ってください。

よくある質問

Q. 警察に相談したら、被害届を出さないといけませんか?

相談と被害届の提出は別の手続きです。相談だけをして、被害届を出すかどうかは後で決めることもできます。性犯罪の相談電話や#8891に電話するときも同じで、まず話を聞いてもらうところから始められます。迷っている気持ちも含めて、そのまま担当者に伝えてかまいません。

Q. 会社から「警察には言わないでほしい」と言われました。

警察に相談するかどうかは、被害を受けた本人が決めることで、会社の意向に合わせて決めるものではありません。会社に穏便に済ませたい事情があっても、あなたの安全や、けがの記録を残すことのほうが先です。会社の対応にも不安があるなら、警察への相談とあわせて労働局の窓口にも相談できます。

Q. 殴られてから何日もたっています。今からでも相談できますか?

相談できます。日がたっていても、受診の記録、当時の写真、メッセージ、その日のことを書いたメモがあれば持っていってください。残っていない場合も、日時と出来事をできるだけ思い出して書き出してから#9110に電話すれば、どう進めるかを一緒に考えてもらえます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

身体的な攻撃とは?叩く・物を投げるなど職場の暴力を受けたときの対応

職場の嫌がらせは警察に相談できる?相談できる行為と準備すること

パワハラで被害届・告訴を考えるとき:刑事と民事の違いと警察への相談

職場で性暴力を受けたら:#8891・#8103など24時間の相談先