状況別の対処 / 手順

パワハラの話し合い・面談に臨む前に:同席者・録音・議事メモの準備

この記事のもくじ
  1. パワハラの話し合いの前に決める3つ:同席者・録音・議事メモ
  2. 同席者の頼み方:誰に、どう頼むか
  3. 録音の扱い:するかどうかより、どう使うか
  4. 議事メモを双方で確認する方法
  5. 当日の進め方と、その場で決めないこと

パワハラの話し合いや面談に臨む前に決めておきたいのは、同席者・録音・議事メモの3つです。同席者は名前と理由を添えて事前に書面で頼み、録音は申し出たうえで、録ったものは公開せず相談先や専門家に渡すために使います。そして、話し合いの後に議事メモを作って会社に送り、内容を双方で確かめる。この3つがそろうと、「言った・言わない」の争いを防ぎ、話し合いの結果を次の手続に生かせます。

パワハラの話し合いの前に決める3つ:同席者・録音・議事メモ

職場での「話し合い」には、いくつかの種類があります。どの場かで、準備の重点が変わります。

話し合いの種類 よくある相手 準備の重点
相談・事実確認の面談 相談窓口・人事 伝える事実の整理、共有範囲の確認
措置の説明・調整の面談 人事・上司の上司 求める措置(担当替え・席の変更など)の言葉にしておく
加害者が同席する話し合い・謝罪の場 加害者と会社の立会人 同席者、席と時間、途中で退席できること
退職や異動を持ちかけられる面談 上司・人事 その場で答えない準備

会社が事実確認(ヒアリング)を始める段階の準備はパワハラのヒアリングで被害者が準備すること:聞かれる項目と伝え方に分けてあり、この記事は、事実確認の後の話し合いや面談を中心に扱います。退職を勧められる面談の場合は、別の注意点があります。退職勧奨の面談でその場で答えない準備:録音・持ち帰り・文例で詳しく扱っています。謝罪の場については、前の記事パワハラ加害者に謝罪してほしいとき:求め方と会社の措置の関係も参考にしてください。

同席者の頼み方:誰に、どう頼むか

話し合いに一人で臨むと、緊張して言いたいことを言えなかったり、後で何が話されたかを思い出せなかったりします。同席してもらえる人の候補は次のとおりです。

同席者の候補 できること 頼むときの注意
人事の担当者 会社側の立会人として、話の行き過ぎを止める 加害者との話し合いなら、立会人を置くよう会社に求める
信頼できる上司・同僚 落ち着いて話せる支え、聞き取りの補助 本人の負担と、職場での立場に配慮して頼む
労働組合の担当者 組合員のために会社と交渉する権限がある(労働組合法第6条) 社内の組合か、個人で入れる合同労組(ユニオン)かで手順が違う
弁護士 依頼を受けた代理人として、法律の観点で同席・交渉できる 会社の面談に入れるかは事前の調整が要る

社内の話し合いに誰を入れるかは、会社が判断する部分もあります。断られたら、その返事を記録に残し、録音や議事メモで補います。

メールの例:「人事部 ○○様 10月30日の面談について、お願いがあります。当日は緊張で話をうまく伝えられないおそれがあるため、同僚の△△さん(同じ課・事情を知っている方)に同席していただきたいと考えています。同席が難しい場合は、その理由をお知らせください。」

労働組合への相談の仕方はパワハラを労働組合に相談する:社内組合・ユニオンでできることを見てください。

録音の扱い:するかどうかより、どう使うか

話し合いの録音について、まず押さえておきたい事実は次のとおりです。

  • 会話の当事者が自分の会話を録音すること自体を、直接罰する条文は、刑法や個人情報保護法には見当たらない
  • 問題になりうるのは、録音を公開・拡散すること(名誉毀損・侮辱=刑法第230条・第231条、民事の損害賠償=民法第709条・第710条)
  • 録音のために、他人の場所に入る、封をした書面を開けるといった手段は、住居侵入(第130条)や信書開封(第133条)など別の問題になりうる
  • 会社の就業規則や情報管理の規程で、録音や持ち出しのルールが定められていることがある

自分が参加していない話し合いの場に機器を置いて録る、といった方法は、自分の会話を録るのとは別の問題になりうるので避けます。

録音の進め方には2つの選び方があります。

  1. 事前に申し出る。 「聞き漏らしを防ぐため録音させてください」と伝える。会社も録音して双方で持つ、という提案もできる
  2. 申し出ずに録る。 会社に知らせずに録ることを選ぶ人もいる。その場合も、公開はしない、編集しない、必要な相手(労働局・弁護士など)にだけ渡す、という使い方の線は同じ

どちらがよいか、録音が後でどう扱われるかは、状況によって変わります。迷ったら、録る前に弁護士や労働組合に相談しておくと安心です。録音の考え方はパワハラ相談の場を録音してもいい?窓口・面談での記録の残し方とパワハラを無断で録音してもいい?相手の同意と使い方の注意点で詳しく扱っています。

議事メモを双方で確認する方法

録音ができない場合でも、できる場合でも、議事メモは作っておく価値があります。録音は聞き返すのに時間がかかりますが、議事メモは「何が決まったか」を一目で示せるからです。

議事メモの型:話し合いの後に作る項目
項目 書く内容の例
日時・場所 10月30日 14:00〜14:45、第2会議室
出席者 自分、人事部○○さん、同席者△△さん
議題 9月の会議での発言についての事実確認の結果と、今後の措置
会社から説明されたこと 事実確認の結果、担当替えを検討中であること
自分が伝えたこと 担当替えの希望、相談内容の共有範囲の確認
決まったこと 11月中に担当替えの案を示すこと
持ち帰ったこと 異動の打診(その場では回答していない)
次の予定 11月15日までに人事部から連絡

作った議事メモは、その日のうちにメールで送り、確認を求めます。

メールの例:「人事部 ○○様 本日はお時間をいただきありがとうございました。本日の面談の内容を、下に要点としてまとめました。私の理解に誤りがあれば、11月6日までにご指摘いただけますか。ご指摘がない場合は、この内容で認識をそろえたものとして進めさせていただきます。」

返事がなくても、送った記録が残ります。会社から修正の返事が来たら、そのやり取りも保存します。話し合いの記録は、事実確認や、労働局・弁護士への相談のときに使える材料になります。

当日の進め方と、その場で決めないこと

話し合いの当日は、次の流れを意識すると、落ち着いて臨めます。

  1. 冒頭で、議題と終わりの時刻を確かめる
  2. 時系列表を見ながら、伝えたい事実を順に話す
  3. 会社の説明は、要点をメモにとる(メモの了承は冒頭で求める)
  4. 最後に、決まったこと・持ち帰ることを口に出して確かめる

その場で答えず、持ち帰ってよいことも決めておきます。

  • 退職や異動の打診への返事
  • 合意書・念書・誓約書への署名
  • 示談や解決金の話
  • 「今後この件は口外しない」といった約束

持ち帰ると伝えるだけで、相手に失礼にはなりません。「書面でいただけますか。内容を確かめてからお返事します」と言えば十分です。

話し合いの場で謝罪を求めたいときは、次の記事パワハラ加害者に謝罪してほしいとき:求め方と会社の措置の関係を読んでください。話し合いでは解決しない嫌がらせが続く場合や、脅しや暴力が伴う場合には、警察への相談という選択肢もあります。職場の嫌がらせは警察に相談できる?相談できる行為と準備することで、どんな行為が相談の対象になるかを確かめてください。

よくある質問

Q. 加害者と同じ部屋で話し合うのが怖いです。断ってもいいですか?

断ってかまいません。会社の事実確認や措置の検討は、加害者と同じ場にいなくても進められます。「同席の場は避けたい。人事の方と個別に話したい」と書面で伝え、会社がそれでも同席を求める場合は、その理由を尋ねて記録しておきます。

Q. 録音を断られたら、話し合いには出ないほうがいいですか?

出ないことで不利になる場面もあるため、代わりの記録の手段を使って参加する方法があります。終わった後に議事メモを作って会社に送り、内容の確認を求めれば、何が話されたかの記録になります。手書きのメモをとることの了承も、その場で求めておきます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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