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パワハラの解決金・示談とは?和解で決まることと合意書の注意点

この記事のもくじ
  1. 解決金・示談・慰謝料の違い
  2. 解決金が提示される場面
  3. 合意書によく入る条項と読み方
  4. 署名の前に弁護士に確かめる理由
  5. 提示されてから返事をするまでの手順

パワーハラスメント(パワハラ)の解決金とは、会社との争いを話し合いで終えるときに、合意書の中で決めて支払われるお金の名目です。慰謝料・未払いの賃金・退職の条件などを一つずつ分けず、まとめて「解決金」とする形もあります。示談は、裁判の外でこの和解をすることを指す言葉です。いったん合意書に署名すると、そこに書いた条件で争いが終わるので、金額だけでなく条項の中身を署名の前に確かめます。

解決金・示談・慰謝料の違い

民法695条は、和解を「当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約する」ものと定めています。示談も、裁判の外で結ぶ和解です。解決金は、その和解で決めたお金の呼び方で、何の対価かを一つに限らないのが特徴です。慰謝料は精神的な苦痛への損害賠償で、請求の根拠になる考え方はパワハラの慰謝料はどう決まるかで整理しています。

言葉 何を指すか 決まり方 注意する点
解決金 争いを終える合意の中で払うお金の名目 当事者の話し合い(あっせん・調停・労働審判・裁判の和解を含む) 何を含むかは合意書の文言で決まる
示談 裁判の外で結ぶ和解 当事者・代理人どうしの交渉 条件は合意書に書いたものがすべて
慰謝料 精神的な苦痛に対する損害賠償 話し合い、または裁判所の判断 解決金の中に含めて払われる形もある
和解 互いに譲歩して争いをやめる約束(民法695条) 合意 後から反対の証拠が出ても覆りにくい(696条)

労働政策研究・研修機構の調査(2015年公表)では、2012年度に4つの労働局で合意に至ったあっせん324件のうち、313件(96.6%)が金銭による解決でした。謝罪を内容とする解決は1件でした。合意に至ったあっせんの大部分は、お金の支払いという形でまとまっていたことが分かります。

解決金が提示される場面

会社から解決金の話が出るのは、主に次の場面です。どの場面かで、合意書を誰が作るか、相談できる相手が誰かが変わります。

  1. 退職の話と一緒に出る:退職を求められ、「辞めるなら解決金を払う」と示される。条件の確かめ方は退職勧奨に応じる前の条件チェックにまとめています。
  2. 社内の相談のあとに出る:会社が調査をしたうえで、示談として金額を示してくる。合意書は会社側(会社の弁護士)が用意する場合がある。
  3. 労働局の手続の中で出る:あっせんや調停で、委員が間に入って金額を調整する。あっせんで成立した合意は民法上の和解契約の効力を持ち、あっせん委員が合意文書を作ると厚生労働省は案内しています。手続の全体は労働局の助言・指導と調停の仕組みで説明しています。
  4. 弁護士を通じた交渉・裁判の中で出る:労働審判や訴訟の和解で決まる。

どの場面でも、提示された金額をその場で受けるかを決める必要はありません。会社から書面を渡されたら、次のように伝えて持ち帰ります。

文例:「ご提示ありがとうございます。内容を確認したいので、合意書の案を持ち帰らせてください。写しをいただけますか。回答は○日までにします。」

合意書によく入る条項と読み方

合意書の形は決まっていませんが、労働の紛争でよく見られる条項があります。次の表は、条項の種類と、署名の前に確かめる観点の一覧です。個々の条項が自分に不利かどうかの判断は、弁護士に文案を見てもらって決めます。

条項 一般的な中身 署名の前に確かめること
支払い 金額・支払日・振込先・分割の有無 支払いが遅れたときの扱いが書かれているか
名目 「解決金として」「慰謝料として」など 何の請求を含む扱いになるか
退職 退職日、退職の理由(会社都合か自己都合か) 雇用保険の受け取り方に関わる退職理由の書き方
清算条項 「本合意書に定めるほか、何らの債権債務がないことを確認する」 未払い残業代・退職金・有給休暇など、別に求めたいものまで消えないか
口外禁止(守秘) 合意の内容や経緯を第三者に話さない 家族・医師・弁護士などへの例外があるか、違反したときの定め
相互の誹謗中傷の禁止 互いに相手をおとしめる言動をしない 会社側にも同じ義務があるか
取下げ 労働局への申立てや訴えを取り下げる どの手続を、いつまでに取り下げるか
謝罪・再発防止 会社としての謝罪、行為者への措置、研修 書面に書かれているか、口約束で終わっていないか

退職の理由は、雇用保険の給付の受け方に関わります。ハローワークは、上司・同僚からの故意の排斥や著しい冷遇・嫌がらせを受けて離職した人を特定受給資格者の範囲に挙げています。合意書の退職理由の書き方は、パワハラで退職したときの失業保険で確かめてから決めます。

チェック表:解決金の合意書に署名する前に見る8項目
  • 金額・支払日・振込先が書かれている
  • 「解決金」の名目で何の請求を含む扱いになるか分かる
  • 退職日と退職の理由の書き方に納得している
  • 清算条項で消える請求(残業代・退職金・有給など)を洗い出した
  • 口外禁止条項の範囲と例外を確かめた
  • 取り下げる手続とその期限が分かる
  • 謝罪・再発防止など、お金以外の約束が書面にある
  • 弁護士などの第三者に文案を見てもらった

署名の前に弁護士に確かめる理由

一番の理由は、和解は後からやり直しにくいことです。民法696条は、和解で権利が「ある」「ない」と決めた場合、後からそれと反対の確証が得られても、その権利は和解によって移転・消滅したものとすると定めています。録音や同僚の証言が後から見つかっても、署名した合意を前提に考えることになるのが原則です。

二つ目は、清算条項の範囲が広いことです。パワハラの慰謝料だけを話し合っていたつもりでも、「一切の債権債務がない」と書かれていれば、未払いの残業代や退職金のように別に求められたかもしれないものも含めて終わる形になりえます。請求できるものを先に一覧にする方法は、パワハラの損害賠償で請求されうる項目が参考になります。

三つ目は、心身の不調が続いている場合の影響です。治療が続いているときは、症状や今後の治療費の見通しと合意の関係を整理しておく必要があります。うつ病や適応障害で療養している場合の考え方は、パワハラでうつ・適応障害になったときの慰謝料と労災の関係で扱っています。

示された金額が妥当かどうかを、このサイトや会社の説明だけで判断しないでください。弁護士に文案と経緯を見てもらえば、条項の意味と、ほかに取れる手段を一緒に確かめられます。費用が心配なときは、収入などの条件を満たせば無料の法律相談を受けられる法テラスでパワハラを相談する方法もあります。

提示されてから返事をするまでの手順

  1. 書面で受け取る:口頭の提示なら、金額と条件をメールで送ってもらうよう頼む。
  2. 回答の期限を決める:急がされても、確認の時間として1〜2週間ほどを求める。
  3. 経緯と証拠をまとめる:時系列表と証拠のコピーをそろえる(パワハラの時系列表の作り方)。
  4. 請求できるものを書き出す:慰謝料・治療費・休業中の収入・残業代・退職金・有給休暇。
  5. 専門家に文案を見てもらう:条項ごとに疑問を書き込んで相談する。
  6. 修正したい点を書面で伝える:例外の追加、退職理由の書き方、支払日の変更など。
  7. 最終版を読み直してから署名する:修正が反映されたか、日付と当事者名を確かめる。

会社に修正を求めるときは、本人が使う文例として、次のように書けます。

文例:「合意書案を拝見しました。第○条の口外禁止について、家族・医師・弁護士への相談は例外とする一文を加えていただけますか。また、退職理由の記載について相談したいので、○日までに回答をお願いします。」

よくある質問

Q. 合意書の口外禁止条項は、外してほしいと言えますか?

合意書の文言は当事者どうしの合意で決まるので、修正を申し入れること自体はできます。家族・医師・弁護士・税の申告先など、話す必要がある相手を例外として書き込む形もあります。どの書き方が自分の状況に合うかは、署名の前に弁護士に文案を見てもらって決めます。

Q. 解決金と退職金は同じものですか?

別のものです。退職金は就業規則や退職金規程に基づいて支払われるもので、解決金は争いを終える合意の中で決める支払いです。合意書に「退職金とは別に」と書かれているか、清算条項で退職金の請求まで消えないかを確かめます。

Q. 署名した後で、もっと証拠が見つかったらやり直せますか?

民法696条は、和解で決めた権利関係は、後から反対の確証が出てきても和解のとおりになると定めています。やり直しを前提にせず、署名の前に証拠と請求できるものを洗い出しておくことが大切です。署名後に問題があると感じたら、早めに弁護士に相談します。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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