パワハラで転職するときの進め方:在職中に探すか辞めてから探すか
この記事のもくじ
パワハラから離れるための転職は、心身の状態で進め方を分けるのがいちばん失敗が少ない方法です。出社できて睡眠と食事が保てているなら、在職中に探して収入を切らさずに動けます。眠れない、食べられない、出勤が怖いといった状態が続いているなら、活動より先に受診と休養です。この記事では、在職中に探す場合と辞めてから探す場合を並べて比べ、退職日の決め方、公的な窓口と転職エージェントの使い分けまでを順に整理します。
つらさが強いときの電話・LINE窓口は仕事がつらい・限界のときの相談先:電話・LINEの窓口と受付時間にあります。まず休むことを考えたいときはパワハラで休職したいと思ったら:休職を考える目安と相談の順番を先に読んでください。
在職中に探す場合と辞めてから探す場合の比べ方
どちらが正しいということはなく、収入・時間・体調・お金の手続きの4つで比べると、自分に合う側が見えてきます。
| 比べる点 | 在職中に探す | 辞めてから探す |
|---|---|---|
| 収入 | 給与が続く | 止まる。雇用保険の基本手当を受けられる場合がある |
| 時間 | 平日の面接は有給や時間調整が要る | 面接・書類作成に時間を使える |
| 気持ち | パワハラのある職場に通い続ける負担が残る | 加害者から離れて落ち着いて動ける |
| 決まらないとき | 今の職場に残る選択肢がある | 生活費の不安が先に立ちやすい |
| 保険・年金 | 勤務先の健康保険・厚生年金が続く | 国民健康保険などへの切り替えが要る(退職後の手続きの記事を参照) |
| 退職日の決め方 | 内定先の入社日から逆算できる | 先に退職日が決まる |
比べて迷うときは、**「あと何か月、今の職場に通えるか」**を基準にします。1〜2か月なら在職中に動けても、通うこと自体で体調が崩れていくなら、その時点で動き方を変えるサインです。「辞めてから探す」は、貯金と雇用保険で何か月暮らせるかを見積もったうえで選びます。
辞めてから探すときのお金:雇用保険の基本手当を先に見積もる
辞めてから探す場合の生活費は、雇用保険の基本手当(いわゆる失業保険)が支えになります。ハローワークの説明では、受給には離職日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上あることが基本で、特定受給資格者などは離職日以前1年間に通算6か月以上で足ります(雇用保険法第13条)。
パワハラが理由の離職は、上司や同僚からの故意の排斥や著しい冷遇、嫌がらせを受けたことによる離職が、特定受給資格者の範囲に挙げられています。ただし、どの区分になるかを決めるのはハローワークで、事実を示す記録が材料になります。詳しくはパワハラで退職したときの失業保険:特定受給資格者になる場合と確かめ方で扱っています。
自己都合の離職は、待期の後に給付が始まらない期間(給付制限)があります。厚生労働省の説明では、離職日が令和7年4月1日以降の場合、原則1か月です。この期間は生活費が入らない前提で、貯金から見積もります。
見積もりの手順は次のとおりです。
- 毎月の生活費(家賃・食費・保険料・通信費)を書き出す
- 貯金を月の生活費で割り、何か月暮らせるかを出す
- 基本手当の見込みは、ハローワークで離職理由と被保険者期間を伝えて確かめる
- 退職から転職先の入社までの期間を、最長でどれくらいにするかを決める
なお、体調が悪く、すぐに働けない状態で辞める場合は、基本手当より先に傷病手当金の継続給付や受給期間の延長を考えることになります。順番はすぐ働けないときの失業保険:受給期間延長の手続きと期限にまとめています。
心身の状態別:どこから始めるか
診断名で決めるのではなく、日常の状態で3段階に分けると動き出しやすくなります。診断や治療の判断は医師に任せ、ここでは目安だけを示します。
| 状態の目安 | 進め方 |
|---|---|
| 眠れない・食べられない日が続く、出勤の前に動悸や吐き気がある | 転職活動より先に受診する。休職や傷病手当金の可能性を主治医に聞く。転職は回復してから |
| 出勤はできるが、帰宅すると動けない | 在職中は「情報を集めるだけ」にとどめる。求人を眺める、職務経歴を整理する、公的窓口で相談する |
| 出勤でき、休日は動ける | 在職中に応募を始める。面接日は有給や半休で調整する |
一番上の段階にいる人が、無理に面接を詰め込むと、体調が崩れて選考も進みません。休職を挟む場合の動き方はパワハラで適応障害と言われたら:休み方と使える制度の整理と、休職後の転職を扱った適応障害で休職した後の転職:回復の目安と応募のタイミングにあります。
在職中に探す人の進め方:退職日は入社日から逆算する
在職中に転職先が決まりそうなときは、入社日から逆算して退職の動きを決めます。要点は3つです。
- 応募を始める前に、就業規則の退職の申し出期限を確かめる
- 退職の意思は、内定を承諾してから伝える
- 入社日は、引き継ぎと有給消化の日数を足した退職日より後にする
期間の定めのない雇用なら、民法第627条1項により、退職の申入れから2週間で雇用は終了します。ただし、就業規則の期限や引き継ぎとの関係があるので、入社日までに余裕を持たせるほうが安全です。内定後の段取りの全体は在職中の転職の準備リスト:会社に知られずに転職活動を進める方法に、2週間の考え方は退職は2週間で成立する?民法627条・628条と即日退職の考え方、書類の流れは退職手続きのチェックリスト:会社から受け取る書類と役所の手続きにあります。
文例(面接の日程を調整するメール):「在職中のため、平日は午後6時以降、もしくは午前中に半休を取っての参加を希望しております。第一希望の日程が難しい場合は、別の候補日をいただけますと幸いです。」
ハローワークと転職エージェントの使い分け
求人を探す入口は、大きく2つあります。
- ハローワーク:厚生労働省が運営する公的機関で、求職者へのサービスは無料です。年齢や状況に合わせた専門窓口もあります。窓口の種類と使い方はハローワークの転職相談の使い方:失業中・在職中に受けられる就職支援で扱っています。
- 民間の転職エージェント:職業安定法でいう「職業紹介」、つまり求人と求職の申込みを受けて雇用関係の成立をあっせんする事業です。有料の職業紹介は厚生労働大臣の許可が必要で(同法第30条)、許可を受けた事業者は、求職者から手数料を徴収してはならないとされています(同法第32条の3。例外は厚生労働省令で定められるため、契約前に確かめます)。
どちらか一方に決める必要はありません。公的な窓口で全体像をつかみ、民間のサービスで非公開の求人や面接の調整を頼む、という併用も選べます。パワハラのことをどう話すかはパワハラ後の転職エージェントの使い方:話す範囲は3段階で決めるにまとめています。
転職支援サービスを使うなら、次の3点を最初の面談で確かめます。
- 有料職業紹介の許可を受けた事業者か(許可番号を示せるか)
- 求職者側の費用が発生する場合があるか
- 応募のペースを、自分の体調に合わせて調整してもらえるか
辞める前に済ませておくことと、状況別に読む記事
転職の話が先に進んでも、パワハラの記録と相談先の確認は、在職中のうちに済ませておくと後で選択肢が残ります。退職後は、会社の資料や同僚への確認が難しくなるためです。
- 日時・場所・言葉・その場にいた人を残した記録(書き方はパワハラの記録の書き方:日時・言葉・場所・目撃者を残す記入例つき)
- 離職理由に関わる書類(離職票は退職後に届くので、離職理由の欄を開いて確かめる)
- 相談先の確認(窓口はパワハラの相談窓口一覧:電話番号・受付時間・できることの早見表)
辞めてからでも労働局などへの相談はできますが、証拠は在職中のほうが集めやすいのが実情です。退職後に集める場合の限界はパワハラで退職した後に証拠を集める:今からできることと限界にまとめています。
年齢や立場によって確かめることが変わるので、当てはまる場面があれば、その記事から読むと早く進みます。
- 20代で辞めた、または辞めようとしている:パワハラで辞めた第二新卒の転職:進め方と使える公的支援
- マタハラ・育休明けの不利益な扱いが理由:マタハラ後の転職:子育てと両立しやすい職場を見極める確認点
- 40代で、経験をどう生かすか迷う:40代でパワハラから転職する:経験の棚卸しと求人の選び方
- 地元や地方に戻って探したい:地方・地元に戻って転職する:Uターンの順番と使える支援の確かめ方
- 職種を変えたい:パワハラを機に転職で職種を変えるとき:未経験転職の考え方
- 正社員にこだわらず働き方を変えたい:正社員以外の働き方:派遣・パート・業務委託の違いと選ぶ前の確認点
転職先でまた同じ目に遭うのではという不安があるときは、パワハラの後の転職が怖い:次の職場で繰り返さないための準備で、職場選びの確かめ方を扱っています。面接で辞めた理由を聞かれたときの話し方はパワハラ退職の理由を面接でどう話す?前向きな言い換えの例文で例文を挙げています。
よくある質問
Q. パワハラを受けているのに、働きながら転職活動をしても大丈夫ですか?
出社できていて、睡眠と食事がある程度保てているなら、在職中に探す選択肢は取れます。収入が続き、決まらなくても焦らずに済むのが利点です。眠れない、食べられない、出勤前に動悸がするといった状態が続くなら、活動より先に受診と休養を優先し、転職は体調が落ち着いてから考えるほうが、結果として選べる幅が広がります。
Q. 退職してから転職活動を始めると、不利になりますか?
退職後に活動する人は多く、辞めたこと自体が応募の条件になるわけではありません。ただし、収入が止まるため、雇用保険の手続きと生活費の見通しを先に立てておく必要があります。空白期間が長くなるほど、面接で理由を聞かれる機会は増えるので、活動の区切りと説明を準備しておくと落ち着いて答えられます。
Q. 上司のパワハラが原因だと、応募先に正直に言うべきですか?
伝えるかどうかは本人が決めることで、伝える場合は、相手を責める話にせず「何を変えたいか」を中心にまとめるのが基本です。面接の言い方は、退職理由の伝え方を扱った記事に例文があります。応募書類の段階では、事実と異なることを書かず、詳しい経緯を書かなくても足りる形にしておきます。
出典・参考にした公的な情報
- 民法 第627条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 雇用保険法 第13条・第21条・第33条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 特定受給資格者の範囲(ハローワークインターネットサービス)(厚生労働省)
- 基本手当の給付制限について(令和7年4月以降の離職)(厚生労働省)
- 職業安定法 第4条・第30条・第32条の3(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- ハローワーク(公共職業安定所)のご案内(厚生労働省)
- 健康保険法 第99条・第104条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。