心と体のつらさ / 手順

職場のストレス対処法:パワハラの最中に心身を守る毎日の工夫

この記事のもくじ
  1. 職場のストレス対処は「一日の流れ」に組み込む
  2. 朝と勤務中:記録と短い休憩で、言葉を持ち帰らない
  3. 帰宅後と寝る前:仕事のストレス発散と睡眠を守る
  4. 週に一度の点検と相談:一人で抱えない
  5. 無理を続けないための線:ここまで来たら休む・受診する

パワハラが続く職場でのストレス対処は、気分が落ちたときに何かをするより、毎日の流れに小さな工夫を組み込んでおくほうが続きます。朝は体調を確かめ、勤務中は記録と短い休憩で相手の言葉を持ち帰らないようにし、帰宅後は切り替えと睡眠を守る、という順番です。そのうえで、週に一度は自分の状態を点検し、「ここまで来たら休む・受診する」という線をあらかじめ決めておきます。

職場のストレス対処は「一日の流れ」に組み込む

職場の人間関係によるストレスは、原因が毎日そこにあるため、休日に一度発散しただけでは追いつきません。厚生労働省のこころの耳は、ストレスへの対処として、ストレスのもとに働きかける方法、周りの人の協力を得て解決する方法、不安や怒りを人に聴いてもらって発散する方法を挙げています。パワハラの最中は、原因そのものをすぐになくすのが難しいので、後の2つと、心身の消耗を減らす工夫を毎日に組み込みます。

一日の流れ:パワハラの最中に心身を守る工夫
時間帯 すること ねらい
朝(起きてすぐ) 眠れたか・食欲・気分を○△×で3つだけつける 自分の変化に早く気づく
勤務中 出来事を短くメモする。言われた直後に席を外して呼吸を整える 言葉を一人で抱え込まない
昼休み 職場から物理的に離れる。一人で食べてよい 緊張を一度切る
帰宅後 仕事のメモを閉じる時刻を決める。体を動かす・人と話す 仕事と家の境目をつくる
寝る前 寝床でスマホの業務連絡を見ない。眠くなってから床に入る 睡眠を守る

全部をこなす必要はありません。まずは朝の○△×と勤務中のメモの2つから始めて、続けられそうなものを足していくのが現実的です。

朝と勤務中:記録と短い休憩で、言葉を持ち帰らない

勤務中のストレスを減らす工夫の中心は、記録です。嫌な言葉を言われたとき、頭の中で何度も繰り返してしまうのは、忘れてはいけないと心のどこかで感じているからでもあります。紙やスマホのメモに「いつ・誰が・何と言ったか・周りに誰がいたか」を書き出しておけば、覚えておく役目を紙に預けられます。書き方の具体例はパワハラの記録の書き方:日時・言葉・場所・目撃者を残す記入例つきを参考にしてください。

記録の例:「10/20(月)10:15 第2会議室。課長から資料の誤字について『こんなこともできないのか、給料泥棒』と言われた。同席:〇〇さん。その後、動悸が30分ほど続いた。」

最後の一文のように、体の反応も一緒に書いておくと、受診するときや、後で相談窓口に説明するときに役立ちます。

言われた直後の数分間をやり過ごす工夫も決めておきます。

  1. 「確認して戻ります」とだけ言って席を外す(トイレ・給湯室・階段など)
  2. 吐く息を長めにして、数回ゆっくり呼吸する
  3. 冷たい水で手を洗う、窓の外を見るなど、体の感覚に注意を移す
  4. 戻る前に、メモに一行だけ書く

口頭の指示が攻撃的になりやすい相手には、指示の内容をメールやチャットで確かめ直すのも有効です。「先ほどのご指示を確認させてください。〇〇を△日までに修正、で合っていますか」と送れば、やり取りが文字で残り、相手と一対一で向き合う時間も減らせます。

帰宅後と寝る前:仕事のストレス発散と睡眠を守る

帰宅後は、仕事と家の境目をつくることが目標です。仕事のメモを閉じる時刻を決め、それ以降は業務用のチャットを開かないようにします。発散の方法は人によって違いますが、選ぶときは次の3つに分けて、毎日1つは入れるようにすると偏りにくくなります。

種類 例 向いているとき
体を動かす 散歩、ストレッチ、湯船につかる 頭の中で言葉が回り続けるとき
人に話す 家族や友人に「聞いてほしいだけ」と頼んで話す 怒りや悔しさがたまっているとき
好きなことに没頭する 料理、音楽、動画、手を動かす趣味 気持ちを仕事から引き離したいとき

一方で、気をつけたい発散もあります。こころの耳は、ストレスのサインとなる行動の変化として、消極的になって人との交流を避ける、飲酒や喫煙の量が増える、身だしなみが乱れる、といった例を挙げています。「発散のつもりで続けていることが、実はサインになっていないか」を、ときどき見直してください。

睡眠は、ストレス対処の土台です。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、成人は6時間以上を目安に必要な睡眠時間を確保することを勧めています。同じガイドは、睡眠で休養がとれた感覚を下げる要因の一つに、仕事などによる日中のストレスを挙げています。また、必要以上に長く寝床で過ごすと、寝つくまでに時間がかかる、途中で目が覚めるなど、眠りの質が下がることも示されています。眠れない夜は寝床でスマホを見続けるより、いったん起きて照明を落とした部屋で過ごし、眠くなってから戻るほうがよいでしょう。

週に一度の点検と相談:一人で抱えない

毎日の工夫に加えて、週に一度、休日の昼など落ち着いた時間に、次のチェックで自分の状態を見直します。

  • この1週間、朝の○△×で×が3日以上あった
  • 寝つけない、または明け方に目が覚める日が続いている
  • 食欲がない、または食べすぎてしまう
  • 休日も職場のことが頭から離れない
  • 飲酒や喫煙の量が増えた
  • 好きだったことをする気になれない
  • 誰にも職場のことを話していない

当てはまる項目が増えてきたら、一人で抱える段階を過ぎています。こころの耳は、パワハラを受けた場合には職場の相談窓口で事情を話して対策を求めるか、公的機関の相談窓口を利用するよう案内しています。心身の不調そのものは医療の専門家に、職場の問題は労働局の総合労働相談コーナーなどに、と相談先を分けると話がまとまりやすくなります。より客観的に自分のストレスの状態を見たいときは、こころの耳の「5分でできる職場のストレスセルフチェック」も使えます。

人間関係のストレスが続いて、辞めるか異動を願い出るかで迷い始めた場合の考え方は人間関係で仕事を辞めたいとき:異動・相談・転職の選び方にまとめています。家族に様子を知ってもらいたいときは、家族向けに書いた家族がパワハラを受けているとき:支える声かけと、してはいけないことを見てもらうのも一つの方法です。

無理を続けないための線:ここまで来たら休む・受診する

毎日の工夫は、あくまで「しのぐ」ための手段です。工夫で持ちこたえられる範囲を超えたら、休む・受診するほうへ切り替えます。その線を、元気なうちに自分で決めておくのが大切です。

こころの耳は、悲しみや憂うつ感、不安やイライラ、無力感といった心のサイン、食欲がない、寝つきが悪い・朝早く目が覚める、動悸がするといった体のサインが2週間以上続く場合は、精神科や心療内科などの専門家に早めに相談するよう勧めています。これを目安に、たとえば次のように自分の線を書いておきます。

自分の線の例:「眠れない日が2週間続いたら、心療内科を予約する。朝、玄関で足が動かない日が出たら、その日は休む連絡を入れる。」

線を越えたら、迷わず線のとおりに動きます。休むときの連絡の言い方は体調不良で仕事を休む連絡の例文:電話・メール・LINE別に紹介に、限界が近いときのサインと最初にすることは職場のストレスが限界のサイン:眠れない・涙が出るときにまずすることに詳しく書いています。今まさにつらさが強いときは、仕事がつらい・限界のときの相談先:電話・LINEの窓口と受付時間から、今かけられる窓口を探してください。

よくある質問

Q. ストレス発散にお酒を飲むのはだめですか?

飲むこと自体を責める必要はありませんが、飲む量が増えてきたら注意のサインです。こころの耳では、ストレスに気づくための行動の変化として「飲酒、喫煙量がふえる」を挙げています。寝つくために飲むのが習慣になっている場合は、眠りの質にも影響しうるので、医師に相談してください。

Q. 上司の言葉が頭から離れず、休日も仕事のことを考えてしまいます。

頭の中で繰り返すのを止めようとするより、紙に書き出して「月曜の朝まで置いておく」と決めるほうが、切り替えやすくなります。書き出したメモは、そのまま出来事の記録にもなります。休日にも動悸や眠れない状態が続くときは、早めに医療機関や相談窓口に話してください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

パワハラから回復するまで:立ち直る過程と焦らないための目安

職場のストレスが限界のサイン:眠れない・涙が出るときにまずすること

パワハラの記録の書き方:日時・言葉・場所・目撃者を残す記入例つき

家族がパワハラを受けているとき:支える声かけと、してはいけないこと