友達や同僚からパワハラを相談されたら:話の聞き方と窓口のすすめ方
この記事のもくじ
友達や同僚からパワハラを相談されたら、まずは否定しない・急かさない・途中で遮らないの3つを守って、最後まで話を聞いてください。答えや解決策を出す必要はなく、「話してくれてありがとう」と受け止め、聞いた内容を確かめるだけで十分な支えになります。そのうえで、本人が望めば労働局や心の相談窓口をすすめ、本人の様子から命の危険を感じたときは、本人の安全を優先して動きます。
パワハラを相談されたら:最初に守りたい3つの聞き方
相談した人は、「大げさだと思われないか」「言いふらされないか」と不安を抱えながら話しています。最初の数分の受け止め方で、その後も話してくれるかどうかが変わります。
- 否定しない:「それくらいよくあるよ」「考えすぎじゃない?」と言わない。本人が感じたつらさを、そのまま受け止める
- 急かさない:「で、どうするの?」「早く誰かに言ったほうがいい」と結論を求めない
- 途中で遮らない:自分の体験や助言を挟みたくなっても、話が一段落するまで待つ
厚生労働省のこころの耳は、相談を受けるときに話を妨げてしまう対応として、話の途中で口を挟んで助言を始めること、否定や批判、自分の考えを挟むこと、話の内容が周りに聞こえる場所で聴くことを挙げ、避けるよう勧めています。最後まで聴くことが基本です。
話の聞き方:場所・態度・返し方の具体例
こころの耳の「傾聴のポイント」は、上司が部下の話を聴く場面を想定したものですが、友達や同僚の相談にもそのまま使えます。要点を、相談を受ける側の行動に置き換えると次のようになります。
| ポイント | 具体的にすること |
|---|---|
| 環境を整える | 周りに聞こえない場所と、落ち着いて聞ける時間をとる。今すぐ無理なら「今夜なら30分ゆっくり聞ける」と時間を決めて伝える |
| 態度で伝える | 穏やかな表情で相手を見る。腕組みや脚組みをしない。早口にならない |
| うなずき・あいづち | 否定や批判、自分の考えを挟まず、落ち着いたテンポでうなずく |
| 理解したことを確かめる | 最後まで聞いてから、「〇〇ということで合ってる?」と言葉にして確認する |
| 誠意をもって応える | 本人が何を望んでいるかを一緒に確かめる。自分では答えられないことは正直に伝える |
返し方の言葉は、次のような例が使えます。
受け止める例文:「話してくれてありがとう。毎日そんなことを言われていたら、つらかったよね。」
確かめる例文:「つまり、半年くらい前から、会議のたびに人前で強く責められていて、最近は眠れなくなってきた、ということで合ってる?」
望みを聞く例文:「今日は話を聞いてほしかった?それとも、これからどうするか一緒に考えたい?」
最後の質問はとても大切です。話を聞いてほしいだけの人に解決策を並べると、「分かってもらえなかった」と感じさせてしまいます。逆に、具体的な手を探している人には、次に紹介する窓口の情報が役に立ちます。
一方で、相手を励ますつもりの「頑張って」「気にしないほうがいいよ」は、控えたほうがよい言葉です。こころの耳の家族向けページでも、頑張りすぎて不調になっている人への励ましは、「もう頑張れない」という思いを強めることがあると説明されています。
窓口のすすめ方:本人が選べるように情報を渡す
本人が「どうしたらいいか分からない」と言ったら、窓口をすすめます。このとき、「〇〇に行きなさい」と一つに決めるより、役割の違う窓口を並べて、本人が選べるようにするのがコツです。
| 本人の状態・望み | すすめる窓口の例 |
|---|---|
| 気持ちを聞いてほしい、眠れないなど心身がつらい | こころの耳(電話・LINE・メール)、医療機関 |
| 職場の問題としてどうにかしたい | 社内のハラスメント相談窓口、労働局の総合労働相談コーナー、雇用環境・均等部(室) |
| 会社に知られずに、まず話を聞いてほしい | 名前を出さずに使える公的窓口 |
| 法的な手続きも考えたい | 法テラス、弁護士会の法律相談 |
窓口ごとの番号や受付時間は、パワハラの相談窓口一覧:電話番号・受付時間・できることの早見表をそのまま本人に送ると、伝え間違いがありません。誰にも話せずにいた人には、本人向けに書いたパワハラを誰にも相談できないとき:一人で抱えないための最初の一歩を渡すのも一つの方法です。
すすめるときの例文:「無理に今決めなくていいけど、こういう窓口もあるみたい。名前を言わずに相談できるところもあるから、気が向いたら見てみて。」
窓口に一人で行くのが不安そうなら、「一緒に調べようか」「電話するとき横にいようか」と、行動の手前を手伝う申し出も支えになります。
同僚から相談されたときに気をつけたいこと
同じ職場の同僚から相談された場合は、友達とは違う気配りが要ります。
- 職場で話を広げない:信頼できる同僚にも、本人の了解なく話さない。噂になると、本人がさらに孤立することがある
- 目撃したことは記録しておく:自分も現場を見ていたなら、日時・場所・言葉をメモしておく。本人が後で相談するときの材料になる
- 会社の事実確認に協力するときの扱い:労働施策総合推進法第31条は、労働者が相談したことや、会社の相談対応に協力して事実を述べたことを理由に、解雇その他の不利益な取扱いをしてはならないと定めています
同僚の立場で、目の前で起きているパワハラにどう関わるかは職場のパワハラを目撃したら:同僚を助けたいときにできることで詳しく扱っています。相談の相手が上司ではなく同僚から嫌がらせを受けている場合の対処は、同僚からのパワハラへの対処:上下関係がなくても相談できる場合が参考になります。なお、相談の中身が「自分がパワハラで訴えられた」という場合は、聞き方の基本は同じですが、必要な準備がまったく違うので、本人に専門家への相談をすすめてください。
危険を感じたときの対応:本人の安全を優先する
話を聞いていて、次のような様子があれば、一人で受け止めずに動きます。
- 「死にたい」「消えたい」「いなくなりたい」と口にする
- 「自分はだめな人間だ」「みんなに迷惑をかけている」と強く自分を責める
- 身の回りの物を整理する、別れのような言葉を口にする
- 職場で暴力を受けた、脅されている、つきまとわれていると話す
こころの耳の家族向けページは、強い自責の念がある場合は自殺の危険が高まっていると考えられるとし、主治医がいれば連絡して相談し、受診していなければ受診をすすめることが大切だとしています。友達や同僚の立場でも、次の順番で動きます。
- 「死にたいと思うくらいつらいの?」と、ごまかさずに気持ちを聞き、答えを否定せずに受け止める
- その日は一人にしない。そばにいられないときは、本人の家族や信頼できる人に連絡がつくようにする
- 24時間かけられる電話窓口を本人と一緒に探す。窓口は仕事がつらい・限界のときの相談先:電話・LINEの窓口と受付時間にまとめています
- 今まさに命の危険がある、暴力を受けているときは、迷わず110番や救急に連絡する。職場での暴力・脅しの相談先は職場で暴力・脅しを受けたら:110番と#9110、警察への相談の仕方にあります
危険を感じたときは、「誰にも言わないで」という約束より、本人の命を守ることを優先してください。約束を破る形になったときは、後で「心配だったから」と正直に伝えることが、関係をつなぎ直すきっかけになります。
よくある質問
Q. 相談されたことを、上司や人事に伝えてもいいですか?
本人の了解を得ずに伝えるのは避けてください。本人が会社に知られる時期や範囲を選べなくなり、かえって相談しにくくなることがあります。命に関わる危険があると感じたときは別で、その場合は本人の安全を優先して、家族や医療機関、公的な窓口に相談してください。
Q. 話を聞いていて、自分までつらくなってしまいました。
相談を受ける側にも負担がかかるのは自然なことです。一人で支え続けようとせず、本人には公的な窓口や専門家をすすめ、自分の気持ちは別の人や窓口に話してください。こころの耳の電話相談は、働く人自身の悩みとして、相談を受けた側のつらさも話すことができます。
出典・参考にした公的な情報
- 傾聴のポイント(こころの耳)(厚生労働省)
- 部下の話を聴けていますか-傾聴のすすめ-(こころの耳)(厚生労働省)
- 関わり方のポイントを知る ご家族にできること(こころの耳)(厚生労働省)
- 労働施策総合推進法 第31条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- こころの耳電話相談(対象・対応できないこと)(厚生労働省)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。