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保育士のパワハラ:園長・先輩からの被害を記録して相談する方法

この記事のもくじ
  1. 最初に分ける:私立園か公立園か
  2. 園の中で起きやすいパワハラを、指針の例で読む
  3. 記録の付け方:保育の仕事に合わせた項目
  4. 相談の進め方:園、自治体、労働局
  5. 年度途中で辞めたいとき
  6. 次の職場を探すなら、確かめる点を決めておく

園長や先輩保育士からの言動がパワーハラスメント(パワハラ)に当たりうるかは、厚生労働省の指針にある**3つの要素(優越的な関係・業務上必要かつ相当な範囲を超える・就業環境が害される)**で整理できます。相談先は、勤め先が私立園か公立園かで大きく変わります。まず自分の勤務先がどちらかを確かめ、記録を付けながら、園内、自治体や労働局の順に進めるのが基本の流れです。

最初に分ける:私立園か公立園か

勤務先 身分 労働局の援助・調停(第36条・第37条) 主な相談先
私立の保育園、認定こども園(社会福祉法人・株式会社など) 民間の労働者 使える 園の窓口 → 運営法人 → 労働局・自治体の労働相談
公立の保育所(市区町村立) 地方公務員 対象外(第48条) 自治体の相談窓口、人事委員会・公平委員会など

公立園の保育士は、労働施策総合推進法第48条により、労働局長の援助や調停の対象から外れています。公立園の相談先と手続きは地方公務員のパワハラ:人事委員会・公平委員会への相談と措置要求で扱っています。以下は、主に私立園で働く人向けの説明です。

園の中で起きやすいパワハラを、指針の例で読む

指針は、適正な指導はパワハラに当たらない一方で、次のような言動を「当たると考えられる例」として挙げています。保育の職場にあてはめると、次のようになります(あてはめは筆者のもので、該当するかの判断ではありません)。

指針の類型 指針の例 保育園での場面のあてはめ
精神的な攻撃 人格を否定する言動、他の労働者の面前での大声での威圧的な叱責を繰り返す 職員会議や保育室で「向いていない」「子どもがかわいそう」と皆の前で責められる
人間関係からの切り離し 同僚が集団で無視をし、職場で孤立させる 打ち合わせや連絡事項が自分にだけ伝わらない、休憩室で無視される
過大な要求 業務と関係のない私的な雑用を強制的に行わせる 園長・先輩の私用の買い物や送迎を断れない
過小な要求 嫌がらせのために仕事を与えない 担任から外され、理由なく雑務だけを命じられる
個の侵害 機微な個人情報を了解なく他の労働者に暴露する 病気や不妊治療のことを、了解なく他の職員に話される

指針は「例は限定列挙ではない」とも述べていて、表にない言動でも相談できます。逆に、安全確保のために保育中に強く声をかける、子どもへの接し方の誤りを具体的に注意するといったことは、態様が相当であれば指導の範囲です。指導かどうかを分ける視点はパワハラと指導の違いは?業務上必要な範囲を見分ける5つの視点にまとめてあります。先輩との関係は先輩からのパワハラ・いじめ:指導係が厳しすぎるときの整理も参考になります。

記録の付け方:保育の仕事に合わせた項目

時間に追われる職場でも続けられるよう、1件1行で書ける形にします。

日時 場所 相手(立場) 言われたこと・されたこと 周りにいた人 自分の対応
例:10/20 12:40 休憩室 〇〇主任 「あなたのクラスだけ片付けが遅い。いなくていい」 〇〇先生、△△先生 黙って退室。夜にメモ

あわせて保存しておくと役立つものは、次のとおりです。

  • シフト表、行事の担当分担表、会議資料(担当が不当に偏っていないかを示す材料)
  • 指示が書かれた連絡ノートやグループチャットの画面
  • 休んだ日・受診した日・症状(眠れない、涙が出る、出勤前の吐き気など)
  • 園の就業規則と、相談窓口が書かれた書面

園内の資料や子どもの個人情報が写り込むものは、持ち出してよい範囲を園の規則で確かめ、自分の言動と関係する部分だけを残します。上の表より細かい記入例はパワハラの記録の書き方:日時・言葉・場所・目撃者を残す記入例つきにあります。

相談の進め方:園、自治体、労働局

  1. 園内の窓口:園長が加害者のときは、理事長・法人本部・主任など別の窓口へ。指針は、事業主に相談窓口の整備と、該当するか微妙な場合も広く相談に応じることを求めています。相談の準備はパワハラ相談の準備チェックリストが使えます。
  2. 自治体の労働相談:都道府県には、労働局とは別に労働相談の窓口があります。違いと使い方は都道府県の労働相談窓口とは?労働局とは別の自治体の相談の使い方にあります。
  3. 都道府県労働局:雇用環境・均等部(室)や総合労働相談コーナーで、相談無料で助言を受けられます。会社側に事実確認や対応をしてもらうための助言・指導・勧告(第36条)や、紛争調整委員会の調停(第37条)の仕組みもあります。窓口の説明は労働局のハラスメント相談窓口:雇用環境・均等部(室)でできることにあります。

相談したことを理由に不利益な取扱いをしてはならないと、第31条2項は定めています。相談の後に配置や勤務が変わったときは、その日付と内容を記録に足しておきます。賃金や労働時間の問題は、パワハラとは別の相談先(労働基準監督署)になる場合があるため、労働基準監督署と労働局の違いも確認してください。

年度途中で辞めたいとき

保育では「年度の途中で辞めると、子どもや保護者に迷惑がかかる」という気持ちから、退職を言い出せなくなる人がいます。法律の面では、契約の形によって考え方が変わります。

早見表:契約の形ごとの退職の考え方
契約の形 考え方 条文
期間の定めのない雇用(正職員の多くの形) 申入れから2週間で雇用が終わる。会社の承諾は要件ではない 民法第627条1項
1年以内など期間を定めた契約 期間の途中では、やむを得ない事由があるときに直ちに解除できる。心身の不調やハラスメントが当たるかは事情による 民法第628条
1年を超える期間の契約 契約期間の初日から1年がたてば、申し出ていつでも退職できる(例外あり) 労働基準法 附則第137条

就業規則に「1か月前までに届け出る」などの定めがある場合は、民法の2週間との関係を分けて整理する必要があります。詳しくは会社を辞めたいといつ言う?法律の2週間と就業規則の1か月前の関係に書いています。公立園の場合は民間と手続きが違うため、公務員がパワハラで退職するときも確認してください。

自分で伝えるのが怖いときや、園長との面談が難しいときの選択肢として、退職代行を調べる人もいます。保育士が使うときの注意は保育士が退職代行を使うとき:年度途中の退職と園への配慮にまとめています。

次の職場を探すなら、確かめる点を決めておく

辞めるか続けるかは、心身の状態を最優先にして決めます。次の園を探す場合は、同じ状況を繰り返さないために、転職の相談先を使うことも選択肢の一つです。

面談や見学で確かめたい点は、運営法人の規模と相談窓口の有無、園長や主任が入れ替わった時期、職員の定着の様子、1クラスを複数人で見る体制、行事準備や書類の時間が勤務時間内に確保されているか、といったところです。パワハラ後の転職の準備はパワハラの後の転職が怖い:次の職場で繰り返さないための準備に整理しています。

看護や介護の現場でも同じ指針が使われます。看護師のパワハラ:師長・先輩からの被害を記録して相談する方法、介護職のパワハラ:施設長・同僚からの被害と利用者からの被害の分け方では、その現場に合わせた記録の取り方を説明しています。

よくある質問

Q. 園長が理事長も兼ねていて、園の中に相談できる人がいません。

パワハラ指針は、相談窓口を事業主が定めて周知することを求め、担当者を決める、外部の機関に委託するといった例を挙げています。園内に相談先がないときは、運営法人の別の役員や本部、それが難しければ都道府県労働局の総合労働相談コーナーや雇用環境・均等部(室)へ進めます。

Q. 保護者や子どもの前で叱られます。パワハラに当たりますか?

指針は、他の労働者の面前での大声の威圧的な叱責を繰り返すことを、精神的な攻撃の例に挙げています。保護者や子どもの前での叱責は、この例と同じ考え方で整理できる場面です。当たるかどうかは頻度や態様を含めて総合的に判断されるので、日時と言葉、その場にいた人を記録に残してください。

Q. 年度の途中で辞めたら、園や子どもたちに迷惑をかけてしまいます。

引き継ぎへの気持ちは大切ですが、期間の定めのない雇用なら、退職の申入れから2週間で雇用が終わると民法第627条1項が定めています。心身が限界のときは、引き継ぎの範囲を書面で整理して、できる限りの形で渡す方法もあります。退職の伝え方は[退職の伝え方:上司への切り出し方と理由の言い方の例文](/taishoku-tsutaekata/)にあります。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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