ハラスメントの種類 / 悩み整理

育休明けのマタハラ:降格・配置転換・嫌味を受けたときの整理

この記事のもくじ
  1. 2つに分けて考える:会社の不利益取扱いと、上司・同僚の嫌がらせ
  2. 降格・配置転換・減給:不利益取扱いとして挙がっている例
  3. 嫌味・仕事外し:育児休業等に関するハラスメントの型
  4. 理由を確かめ、記録し、相談する手順
  5. 続けるか、移るかを考えるとき

育休明けに、降格や意に反する配置転換を受けた、「時短の人に仕事は任せられない」と雑務ばかり回される──こうした悩みは、会社による「不利益取扱い」(育児・介護休業法10条、男女雇用機会均等法9条3項などで禁止)と、上司・同僚の嫌がらせを防ぐ「措置義務」(育介法25条、均等法15条)の2つに分けると整理しやすくなります。どちらも、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。マタハラ全体の定義はマタハラとは?2つの型の解説にまとめています。

2つに分けて考える:会社の不利益取扱いと、上司・同僚の嫌がらせ

会社による不利益取扱い 上司・同僚の嫌がらせ(ハラスメント)
誰が 会社(人事の決定として) 上司・同僚の言動
例 降格、減給、不利益な配置変更、契約を更新しない、非正規への変更の強要 「時短は戦力外」と繰り返す、雑務だけさせる、会議に呼ばない、情報を回さない
根拠 育介法10条(育休)・23条の2(時短など)、均等法9条3項(産休・妊娠出産) 育介法25条(育休・時短など)、均等法15条(妊娠・出産)
会社の義務 その扱いをしてはならない 防止の方針・相談窓口・事実確認・配慮などの措置をとる
相談先 雇用環境・均等部(室) 社内窓口、雇用環境・均等部(室)

育休明けの悩みは、両方が重なっていることがよくあります。たとえば「上司が『時短なら責任ある仕事は無理』と言い続け、その後の人事で役職を外された」なら、言葉はハラスメントとして、役職の変更は不利益取扱いとして、それぞれ記録しておきます。

降格・配置転換・減給:不利益取扱いとして挙がっている例

厚生労働省のパンフレットは、育児・介護休業等の申出・取得などを理由とする不利益取扱いの例として、次を挙げています。

チェック表:育休・時短などを理由とする不利益取扱いの例(厚生労働省の資料)
  • 解雇すること
  • 期間を定めて雇われている人の契約を更新しないこと
  • あらかじめ示されていた契約更新の回数の上限を引き下げること
  • 退職、または正社員からパートなど非正規への労働契約内容の変更を強要すること
  • 自宅待機を命じること
  • 本人が希望する期間を超えて、意に反して残業免除や短時間勤務などを適用すること
  • 降格させること
  • 減給をし、または賞与などで不利益な算定を行うこと
  • 昇進・昇格の人事考課で不利益な評価を行うこと
  • 不利益な配置の変更を行うこと
  • 就業環境を害すること
  • 派遣先が、派遣労働者の受け入れを拒むこと

対象となる制度は、育児休業(産後パパ育休を含む)、子の看護等休暇、所定外労働や時間外労働・深夜業の制限、所定労働時間の短縮措置、始業時刻変更等の措置、3歳から小学校入学前の子を育てる人の柔軟な働き方を実現するための措置などです。産休や妊娠・出産そのものを理由とする扱いは、均等法9条3項が同じように禁じています。

転勤・配置転換には別の規定もあります。 育介法26条は、会社が就業場所の変更を伴う配置転換をするとき、子の養育が難しくなる労働者がいれば、その状況に配慮しなければならないとしています。転勤の打診があったら、保育園の送迎や通勤時間の変化を具体的に伝えておくと、配慮を求める材料になります。

ある配置転換や評価が、育休を「理由とする」不利益取扱いに当たるかは、会社の説明や経緯を見て判断されるもので、この記事で決めることはできません。だからこそ、次の章のように理由を確かめて残すことが大切です。降格・評価・転勤の一般的な対応はパワハラとしての降格、上司の不当な人事評価、嫌がらせの転勤・異動を命じられたらでも扱っています。

嫌味・仕事外し:育児休業等に関するハラスメントの型

復帰後の言葉の悩みは、主に「制度等を利用したことにより嫌がらせ等をするもの」に当たります。指針とパンフレットのポイントは次のとおりです。

  • 嫌がらせ等とは、嫌がらせ的な言動、業務に従事させないこと、専ら雑務に従事させることをいいます。
  • 上司・同僚のどちらでも、繰り返し・継続的なものが該当します。やめてほしいと伝えた後にさらに言われた場合は、回数を問いません。
  • 言葉だけでなく、必要な仕事の情報を与えない、これまで出ていた会議に参加させない、といった行為も含まれます。
  • パンフレットの例:上司・同僚が「所定外労働の制限をしている人には大した仕事はさせられない」と繰り返し言い雑務のみさせる、「自分だけ短時間勤務をしているなんて周りを考えていない。迷惑だ。」と繰り返し言う。

一方、会社が本人の事情やキャリアを考えて早めの職場復帰を促すこと自体はハラスメントに当たらない、ただし復帰のタイミングは本人の選択に委ねられるべきで、強要すれば当たる、とパンフレットは説明しています。復帰後の言葉の例はマタハラになりうる発言の例に場面別でまとめています。

理由を確かめ、記録し、相談する手順

  1. 扱いの理由を書面で尋ねる。 降格・異動・評価の変更があったら、口頭の説明で終わらせず、メールで理由を確かめます。

文例:「○月○日付の配置転換について、育児休業から復帰した直後の変更でもあり、理由を確認させてください。新しい業務の内容、役職と賃金の変化、評価の基準について、書面またはメールでご説明いただけますか。」

  1. 前後を比べて記録する。 育休前と復帰後で、役職・担当業務・賃金・賞与・評価・勤務地・通勤時間がどう変わったかを表にします。給与明細と辞令は保管します。
  2. 言葉を記録する。 嫌味や仕事外しは、日時・相手・言葉・回数・やめてほしいと伝えたかを残します。
  3. 社内で相談する。 人事やハラスメント相談窓口へ。相談したことを理由とする不利益な扱いは、育介法25条2項・均等法15条2項で禁じられています。
  4. 雇用環境・均等部(室)へ。 社内で解決しないときは、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。育介法と均等法には、労働局長による紛争解決の援助と、紛争調整委員会の調停の仕組みもあります。連絡先はパワハラの相談窓口一覧、援助と調停の流れは労働局の助言・指導と調停にあります。

続けるか、移るかを考えるとき

相談しながら今の会社で働き続けるのも、両立しやすい職場に移るのも、どちらも選択肢です。介護のための休みをめぐる嫌がらせに悩んでいる人はケアハラとはも参考にしてください。辞めるかどうかを決める前に、言われた言葉と扱いの記録を手元に残し、退職を迫られている場合は応じる前にマタハラで退職を迫られたらを読んでください。在職中に次を探す場合は、求人票で時短や在宅勤務の実績、復帰した人の配置の例を確かめる方法をマタハラ後の転職にまとめています。

子育てと両立できる職場を探す手段として、子育て中の人の転職に絞った転職支援サービスがあります。使うときは、費用や利用条件を各サービスの公式サイトで確かめ、紹介される求人の条件は自分で確認する、という点を押さえておきましょう。面談では、短時間勤務の取得者がいるか、復帰した人がどんな役割に就いているか、残業の実態を具体的に尋ねると、同じことを繰り返さない職場選びに役立ちます。

よくある質問

Q. 育休前と同じ仕事に戻れないのは、それだけで問題になりますか?

配置は会社の人事の判断で決まる部分が大きく、元の仕事に戻れないことだけで結論は出ません。分かれ目は、育休の取得や時短の利用を理由にした不利益な配置の変更かどうかです。異動の理由を書面で尋ね、仕事内容・賃金・役職・通勤がどう変わるかを記録したうえで、労働局に相談してください。

Q. 時短勤務を理由に賞与や評価を下げられました。

厚生労働省は、育児休業等の申出・取得などを理由とする不利益取扱いの例として、減給や賞与の不利益な算定、昇進・昇格の人事考課での不利益な評価を挙げています。どの部分が時短の利用を理由とする扱いなのかを見分けるため、算定の方法と根拠を人事に書面で確かめ、そのうえで雇用環境・均等部(室)に相談してください。

Q. 子どもが3歳を過ぎたら時短は使えなくなりますか?

育児・介護休業法23条の時短の措置は、3歳に満たない子を育てる労働者が対象です。3歳から小学校に入るまでの子については、23条の3により、会社は始業時刻の変更、テレワーク、短時間勤務などの中から2つ以上の措置を講じることになっています。自分の会社がどれを選んでいるかは、就業規則で確かめてください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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