相談先と窓口 / 悩み整理

パワハラ相談はどこから?社内と社外の選び方を状況別に整理

この記事のもくじ
  1. パワハラ相談はどこから?3つの軸で決める
  2. 状況別の判断表:社内と社外のどちらを先にするか
  3. 社内から始めるときに確かめること
  4. 社外から始めるときに知っておくこと
  5. 社内と社外を同時に使うという選び方

パワーハラスメント(パワハラ)の相談をどこから始めるかは、「会社を信頼できるか」「急ぐ事情があるか」「どんな解決を望むか」の3つで決めると迷いにくくなります。会社の窓口が機能していて、配置の変更など社内での対応を望むなら社内から。行為者が社長や役員、相談が漏れそうなど社内を信頼できないなら、労働局など社外から。社内と社外は順番に使う必要はなく、同時に使うこともできます。この記事では、状況ごとの判断表で、どちらを先にするかを整理します。

パワハラ相談はどこから?3つの軸で決める

パワハラの相談先は、社内(相談窓口・人事・上司のさらに上の上司)と社外(労働局、労働基準監督署、法テラス・弁護士、労働組合など)に分かれます。どちらから始めるかは、次の3つの問いに順に答えると決まります。

  1. 会社を信頼できるか。 相談窓口があり、相談の内容が行為者に漏れない見込みがあるか。行為者が窓口の担当者や経営者と近い関係ではないか
  2. 急ぐ事情があるか。 体調が崩れている、暴力や脅しがある、退職や解雇の話が出ている、など時間をかけられない事情があるか
  3. どんな解決を望むか。 行為をやめさせたい・離れたい(職場の環境を変える)のか、謝罪やお金を求めたいのか、辞めたいのか

会社には、パワハラの相談に応じて適切に対応する体制を整える義務があります(労働施策総合推進法第31条1項)。厚生労働省の指針は、相談窓口をあらかじめ定めて働く人に周知すること、相談者のプライバシーを守ること、相談したことを理由に不利益な扱いをしないと定めて周知することなどを、会社が講じるべき措置として挙げています。社内の窓口は「会社が義務として用意している仕組み」なので、使えるなら使う価値があります。ただ、その仕組みが実際に機能しているかは会社ごとに違います。そこを見極めるのが1つ目の軸です。

状況別の判断表:社内と社外のどちらを先にするか

3つの軸を組み合わせると、次のように整理できます。

判断表:社内と社外、どちらから相談するか
会社への信頼 急ぐ事情 望む解決 先に使う相談先 並行して考えること
窓口が機能している なし 行為をやめさせたい・離れたい 社内の相談窓口・人事 記録を続け、対応がなければ労働局
窓口が機能している 体調が悪い 休みたい・離れたい 受診と社内窓口 休職の手続、心の相談
窓口がない・形だけ なし 行為をやめさせたい 総合労働相談コーナー 雇用環境・均等部(室)の援助・調停
行為者が社長・役員、家族経営 なし 職場を変えたい 雇用環境・均等部(室) 弁護士・労働組合
相談が漏れた・相談後に悪化した あり 処遇を戻したい 雇用環境・均等部(室) 弁護士への相談
どれでも 暴力・脅しがある 身の安全 警察 社内・労働局へは後で
どれでも 解雇・退職を迫られている 争いたい・条件を確かめたい 総合労働相談コーナー、弁護士 書面を受け取る・内容を確かめるまで署名を急がない
どれでも なし お金の請求(慰謝料など) 法テラス・弁護士 証拠の整理

この表は、どちらかに決めるためのものではなく、最初の一歩を選ぶためのものです。社内に相談したあとで社外へ、社外で話を聞いてから社内へ、どちらの順番もありえます。

窓口ごとにできることはパワハラの相談はどこへ?窓口ごとにできることと選ぶ順番、番号と受付時間はパワハラの相談窓口一覧:電話番号・受付時間・できることの早見表で確かめられます。

社内から始めるときに確かめること

社内の窓口から始めると決めたら、相談の前に次の点を確かめておくと、相談したあとの「こんなはずでは」を減らせます。

  • 窓口がどこか。 就業規則・社内のイントラネット・入社時の資料に、ハラスメント相談窓口が書かれているか。外部の専門機関に委託している会社もある
  • 守秘の範囲。 相談した内容を、誰に、どこまで伝えるのか。行為者に話す前に本人の同意を取るのか
  • その後の流れ。 事実確認は誰が、どのくらいの期間で行うのか。結果は本人に知らされるのか
  • 記録の残し方。 相談内容を書面やメールで残せるか

窓口に最初に聞く例:「相談の前に確認させてください。今日お話しする内容は、どの範囲の方に共有されますか。上司本人に伝える場合は、事前に私の了解を取っていただけますか。」

守秘や対応の流れを確かめる質問と伝え方の詳細は社内のハラスメント相談窓口の使い方:相談前の準備と守秘の確かめ方、メールで相談するときの書き方は会社にパワハラを相談するメールの書き方:件名から結びまでの例文にまとめています。

社内の窓口に相談したら、日付・相手・伝えた内容・返ってきた答えを記録しておきます。社外へ進むことになったとき、「会社にいつ伝え、会社がどう対応したか」はそのまま説明の材料になります。

社外から始めるときに知っておくこと

社内を信頼できないときは、社外の窓口から始めます。社外の窓口は、相談しただけで会社への働きかけが始まるものではありません。厚生労働省の案内でも、相談のあとの紛争解決援助は「ご希望に応じ」て行うとされています。会社への働きかけをどこまで求めるかは、話を聞いてから自分で選べます。

社外の段階 何をする 会社に知られるか
① 相談 総合労働相談コーナー・雇用環境・均等部(室)で事情を話し、使える手続を聞く 相談だけでは会社への働きかけは始まらない
② 援助の申出 労働局長が会社に助言・指導・勧告を行う(法第36条) 会社からも事情を聴くので知られる
③ 調停の申請 調停委員が双方から事情を聴き、調停案を示す(法第37条) 会社が当事者になるので知られる
④ 法的な手段 弁護士への相談、労働審判など 手続に進めば知られる

厚生労働省の案内では、援助と調停は無料で、関係者以外に内容は公にされないとされています。また、援助を求めたことや調停を申請したことを理由とする解雇などの不利益な扱いは、法律で禁じられています(法第36条2項・第37条2項)。

「会社に知られたくない」という気持ちが強いときは、①の相談だけを先に使い、②以降に進むかは状況を見て決めます。名前を出さずにできる範囲はパワハラを匿名で相談できる窓口:名前を出さずにできること・できないことで整理しています。

社内と社外を同時に使うという選び方

「社内か社外か」で迷い続けるより、両方を使うほうが動きやすい場面もあります。

  • 社内に相談しつつ、労働局で助言を受ける。 会社の対応が適切か、外の目で見てもらえる
  • 社外で整理してから社内へ。 何を求めればよいか(配置の変更、行為者への注意、相談後の不利益がないことの確認など)を固めてから社内の窓口へ行ける
  • 社内の対応を待つ期限を決めておく。 例えば「2週間で回答がなければ雇用環境・均等部(室)に相談する」と自分の中で決めておくと、待ち続けて時間だけが過ぎることを防げる

どちらから始めても、続けることは同じです。出来事の記録をつけ続けること、相談した日と相手を残すこと、体調の変化を見逃さないことです。相談先ごとのその後の流れはパワハラを相談したらどうなる?窓口ごとのその後の流れを比較で比べています。次の記事では、名前を出さずに相談できる窓口と、名前が要る手続の違いを確かめます。

よくある質問

Q. 社内で相談せずに、いきなり労働局へ行ってもよいですか?

かまいません。総合労働相談コーナーや雇用環境・均等部(室)は、社内で相談したかどうかを問わず相談を受け付けています。会社に働きかける援助や調停を申し出る段階では、社内でどんなやり取りがあったかを聞かれることがあるので、社内に伝えていない理由もメモしておくと話が早く進みます。

Q. 社内の窓口に相談したことは、外部に相談するときに不利になりますか?

不利になる決まりはありません。むしろ、いつ会社に伝え、会社がどう対応したかは、外部の窓口が状況をつかむ大事な材料です。社内に相談したときは、日付・相手・伝えた内容・返ってきた答えを記録しておきましょう。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

パワハラの相談はどこへ?窓口ごとにできることと選ぶ順番

社内のハラスメント相談窓口の使い方:相談前の準備と守秘の確かめ方

パワハラを匿名で相談できる窓口:名前を出さずにできること・できないこと

会社にパワハラを相談するメールの書き方:件名から結びまでの例文