休職と復職 / Q&A

適応障害の休職期間の平均は?会社の上限と医師の見立ての確かめ方

この記事のもくじ
  1. 適応障害の休職期間の平均は?国の調査で分かる数字
  2. 休職期間の最長は就業規則で決まる:確かめる4項目
  3. 医師の見立てを確かめる:診断書の「療養期間の見込み」の読み方
  4. お金の期限:傷病手当金の通算1年6か月と休職期間の関係
  5. 期間の見通しを立てる手順:カレンダーに書く4つの日付

適応障害の休職期間の「平均」を示した国の公的な調査は、この記事で確かめた範囲では見当たりません。厚生労働省の労働安全衛生調査が集計しているのは、メンタルヘルス不調で連続1か月以上休んだ人がいた事業所の割合などで、休んだ日数の平均ではないためです。実際の長さを決めるのは、会社の就業規則にある休職期間の上限、主治医が診断書に書く療養期間の見込み、傷病手当金を受けられる通算1年6か月の3つです。この記事では、公的な調査で分かる数字を示したうえで、3つの期限を自分の場合にあてはめて確かめる手順をまとめます。

適応障害の休職期間の平均は?国の調査で分かる数字

「平均何か月か」を知りたくて調べても、公的な統計で出てくるのは、休む人がどのくらいいるかと、会社がどこまで休ませる制度を持っているかの2種類です。

休む人の多さ。 2026年8月に公表された令和7年の労働安全衛生調査によると、2024年11月から2025年10月までの1年間に、メンタルヘルス不調で連続1か月以上休業した労働者がいた事業所は10.8%でした(前年の調査は10.2%)。休業した労働者の割合は0.6%、退職した労働者がいた事業所は6.5%です。1か月以上休むことは、珍しいことではありません。

会社が用意している休職期間の上限。 労働政策研究・研修機構(JILPT)が2012年に常用労働者50人以上の企業に行った調査(有効回答5,904社)では、病気休職制度がある企業の上限の分布は次のとおりでした。

早見表:病気休職制度の休職期間の上限(JILPT 2012年調査)
上限の長さ 企業の割合
6か月超〜1年 22.3%(最も多い)
1年超〜1年6か月 17.2%
1年6か月超(2年・3年・3年超の合計) 26.1%
上限なし 4.5%
6か月以下(就業規則等に規定がある企業だけの集計) 21.9%

6か月以下の行だけ、集計の対象が「規定がある企業」に限られるため、ほかの行と足し合わせても全体にはなりません。ほかに分かっていること:メンタルヘルスの休職期間を一般の病気と同じ扱いにしている企業が88.9%。上限が3年を超える企業の平均は4.2年。

この調査から10年以上たっているため、数字は「会社によって半年から数年まで幅がある」という目安として使い、自分の上限は就業規則で確かめます。同じ調査では、過去3年間に病気休職制度を使った人のうち退職した人の比率(企業ごとの平均値)が、メンタルヘルスでは42.3%でした。休職期間の終わり方を早めに確かめておく理由がここにあります。

適応障害そのものについて、厚生労働省のこころの耳は、環境の変化によるストレスが本人の順応力を超えたときに起きる不調で、回復には薬物療法に加えて環境の調整や環境に慣れることが重要だとしています。パワハラが原因なら、加害者との接点がなくなるか、戻る先の環境が変わるかが見通しにかかわるため、平均の数字より自分の状況を主治医と話すほうが役に立ちます。

休職期間の最長は就業規則で決まる:確かめる4項目

休職期間の最長を定めた法律はありません。労働基準法施行規則第5条は、会社が休職の定めをする場合に、それを労働条件として明示するよう求めているだけです。だから、上限を知る方法は就業規則(または休職規程)を読むことになります。規程の入手や休職届の出し方はパワハラ休職手続きの流れ:就業規則の確かめ方と休職届の書き方で扱っているので、ここでは「期間」に関する項目だけを挙げます。

  1. 上限の長さと、勤続年数による違い。 JILPTの調査では、病気休職制度がある企業の49.1%が勤続年数で期間を分けていました。分けている企業のうち80.0%が「5年未満」の区分を設けており、区分の数は「4つ以上」が39.0%で最も多い回答です。自分の勤続年数がどの区分に入り、その区分の上限が何か月かを見ます。
  2. いつから数えるか。 休職の発令日からか、欠勤が始まった日からかで、満了日が変わります。規程に書かれていなければ人事に聞きます。
  3. 再休職のときの通算。 同じ調査では、復職後一定期間内に同じ病気で休めば通算する企業が33.1%、期間にかかわらず通算する企業が17.4%、通算しない企業が17.6%でした。一定期間内とする場合、その期間は「6か月」が23.2%で最も多い回答です。
  4. 満了したときの扱い。 復職できないまま上限が来たとき、自動的に退職とするか、確認のうえ退職とするかなど、扱いは会社ごとに分かれます。具体的な扱いと確かめ方は休職中に解雇される?休職期間満了による退職の扱いを確認にまとめました。

人事に聞くときは、数字と日付で答えてもらえる聞き方にします。

文例:「休職期間について確認させてください。私の勤続年数の場合、休職期間の上限は何か月で、起算日はいつになりますか。満了日の日付と、満了時の扱いが就業規則のどの条にあるかも教えていただけますか。」

体調が悪く人事とのやり取りがつらいときは、家族に代わりにメールを書いてもらっても構いません。

医師の見立てを確かめる:診断書の「療養期間の見込み」の読み方

会社の上限が「休める最長」だとすると、主治医の見立ては「実際に休む長さ」の出発点です。厚生労働省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」は、休業の始めに出す診断書に、休業が必要なことに加えて必要な療養期間の見込みを書いてもらうことが望ましいとしています。

診断書の「○か月間の休養を要する」は、その時点での見込みです。期間が来たら自動的に復職になるわけではなく、その時点の状態でもう一度判断されます。受診のときに、次のことを聞いておくと見通しが立てやすくなります。

  • 今の見込みの期間は、何を目安に決めたか(睡眠・食事・外出など、どこまで戻れば次の段階か)
  • 見込みより長くなりそうなとき、いつごろ分かるか
  • 原因になった職場の状況(加害者と同じ部署かどうか)が、見込みにどう影響するか
  • 会社の休職期間の上限が○か月であること(上限を主治医に伝えておくと、延長や復職の時期の相談がしやすい)

手引きは、主治医の復職の判断は日常生活の回復の程度で行われることが多く、職場で求められる力まで戻っているとは限らないため、産業医などが精査して意見を述べることが重要だとしています。つまり、診断書の期間が終わってから復職までに、面談や試し出勤などの段階が入ることがあります。その分の日数も、会社の上限の内側に収める必要があります。診断書の頼み方はパワハラで休職する診断書のもらい方:医師に伝えることと出し方、見込みより長くなるときの手続きは適応障害の休職を延長したいとき:延長の手続きと期間満了前の確認を見てください。

お金の期限:傷病手当金の通算1年6か月と休職期間の関係

休職期間と別に数える必要があるのが、生活費を支える給付の期限です。休む原因を業務外の病気として扱うか、仕事による病気として扱うかで、期限の決まり方が違います。

期限 決めるもの 長さ 数え方
休職期間 会社の就業規則 会社ごと(半年〜数年) 規程の起算日から
傷病手当金(業務外の病気) 健康保険法第99条 通算1年6か月 支給を始めた日から。出勤して支給されなかった期間は数えない
休業補償給付(業務上の病気・労災) 労災保険法 療養のため働けず賃金を受けない間 療養開始後1年6か月で治らず傷病等級に当たる場合は傷病補償年金の対象

傷病手当金は、同じ病気について支給を始めた日から通算して1年6か月です(健康保険法第99条第4項)。「通算」なので、途中で復職して支給されなかった期間は数えず、その分だけ後ろにずれます。支給は、連続3日の待期を含めて4日以上休んだときの4日目からです。休職の前に有給休暇を使うと、待期は成立しますが、給与が出る日は手当金が出ないため、支給開始日が後ろにずれます。順番はパワハラ休職の前に有給を使う?傷病手当金との順番と待期の数え方で確かめてください。

休職期間と手当金の期間がずれる例を、筆者の計算で示します。休職期間の上限が6か月の会社では、手当金の期間が1年近く残っていても、先に休職期間が終わります。反対に、上限が2年の会社では、手当金が先に終わり、残りの休職期間は給与も手当金もない期間になることがあります。どちらが先に来るかで、延長の相談をする時期と生活費の準備が変わります。

手当金の条件や1日あたりの額は正本の休職中の傷病手当金はいくら?条件・計算式・期間を協会けんぽで確認で、休職中に退職する場合に受け続けるための条件は休職から退職後も傷病手当金を受け取る条件:辞める前の確認で確かめられます。パワハラによる病気として労災を申請するかどうかは、パワハラの休職は傷病手当金と労災のどちら?違いと切り替えで比べてください。

期間の見通しを立てる手順:カレンダーに書く4つの日付

平均の数字の代わりに、自分の4つの日付を並べると、「いつまで休めるか」がはっきりします。休み始めて少し落ち着いたら、次の順で書き出します。

  1. 休職期間の満了日。 就業規則の上限と起算日から出し、人事の回答と合っているかを照らします。
  2. 診断書の期間の終わりの日。 次の受診日もあわせて書き、その日に見込みを聞きます。
  3. 傷病手当金の通算1年6か月の目安の日。 支給開始日から数えます。申請書の控えや支給決定の通知で開始日を確かめます。
  4. 満了日の2か月前の日。 延長するか、復職の準備に入るか、別の道を考えるかを主治医と話し始める目安です。
図解:4つの日付を1本の線に並べる
並べる日付 出どころ この日に向けてすること
診断書の期間の終わり 主治医の診断書 受診して見込みを聞く
満了日の2か月前 自分で計算 延長・復職・退職のどれにするか主治医と相談
休職期間の満了日 就業規則・人事の回答 それまでに延長か復職の手続きを済ませる
傷病手当金の通算1年6か月 支給開始日から計算 手当金が終わった後の生活費を考える

日付が並ぶと、「満了日までに診断書の期間があと何回来るか」「手当金と休職のどちらが先に終わるか」が見えます。満了日に向けて回復が間に合いそうならパワハラ休職からの復職:主治医・産業医・会社と進める流れへ、戻ることを考えるとつらさが強まるなら復職したくないときの選択肢:退職・異動・休職延長の比べ方へ進んでください。休職全体の流れをもう一度見たいときは、適応障害・パワハラで休職するには:診断書から復職・退職までの流れに戻れます。

期限を確かめるのは、焦るためではなく、残りの期間を安心して休むためです。日付を書き出したら、あとは主治医の見立てに沿って療養を優先してください。

よくある質問

Q. 適応障害の休職は、何か月で終わるのが普通ですか?

病名ごとに決まった休職期間はなく、長さは主治医が診断書に書く療養期間の見込みと、会社の就業規則にある休職期間の上限で決まります。最初の診断書の期間は見込みなので、回復の様子を見て延びることも縮むこともあります。次の受診で、見込みが変わりそうかを主治医に聞いておくと予定を立てやすくなります。

Q. 一度復職してまた休んだら、休職期間は最初から数え直しになりますか?

会社の規程によります。2012年の企業調査では、同じ病気で再び休職したときに前の休職期間を通算する定めがある企業が50.5%でした。傷病手当金のほうは、同じ病気なら支給を始めた日から通算して1年6か月で数えるので、休職期間とは別に残りを確かめます。

Q. 傷病手当金の1年6か月が終わったら、休職も終わりですか?

別の仕組みなので、同時に終わるとは限りません。休職期間は就業規則で決まり、傷病手当金の期間は健康保険法で決まります。休職期間が残っていても手当金が先に終わることや、その逆もあるため、両方の終わりの日を並べて書き出しておきます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

適応障害の休職を延長したいとき:延長の手続きと期間満了前の確認

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休職中に解雇される?休職期間満了による退職の扱いを確認

パワハラ休職の前に有給を使う?傷病手当金との順番と待期の数え方