パワハラを受けたら最初にすること:今日からできる3つの行動
パワハラを受けたら最初にすることは、①今日の出来事を書き残す、②信頼できる人に話す、③心と体の状態を確かめるの3つです。会社に訴えるか、辞めるかといった大きな決断は、今日しなくてかまいません。まずは記憶が新しいうちに事実を残し、ひとりで抱え込まず、体を守ることから始めます。この3つをしておけば、後でどの道を選ぶときにも困りにくくなります。
パワハラを受けたら最初にすること3つ
最初の3つの行動を、かかる時間と目的でまとめると次のとおりです。
| 行動 | かかる時間の目安 | 目的 |
|---|---|---|
| ① 書き残す | 10〜15分 | 記憶が薄れる前に事実を固定する |
| ② 話す | 30分ほど | 一人で抱えず、気持ちと状況を外に出す |
| ③ 確かめる | 5分 | 眠り・食事・体の反応から、休む必要があるかを見る |
順番は①が先です。言われた言葉は、時間がたつほど細部があいまいになります。人に話して感想や助言をもらう前に、自分が見聞きしたとおりを先に書いておくと、後で相談するときに「その日の自分の記録」として出せます。
パワハラかどうか迷っていても、3つの行動は同じです。厚生労働省の指針は、会社の相談窓口に対し、パワハラに当たるか微妙な場合も広く相談に応じるよう求めています。「これくらいで」と思っても、残して損になることはありません。
① 今日の出来事を書き残す
スマートフォンのメモでも、紙のノートでもかまいません。帰りの電車や帰宅後すぐなど、その日のうちに書くのがいちばんです。
書き方の手順は次のとおりです。
- 日付と時刻を一行目に書く(例:10月23日 14時10分ごろ〜14時30分ごろ)
- 場所と、その場にいた人を書く(例:2階会議室、課長と自分、隣の席の○○さんが聞こえる位置にいた)
- 言われた言葉を、覚えているかぎりそのまま書く(言い換えない。語尾もそのまま)
- された行為を書く(机をたたいた、書類を投げた、会議から外した)
- 自分の受け答えと、その後どうなったかを書く(黙っていた、早退した、夜眠れなかった)
ポイントは、事実と気持ちを分けることです。「ひどいことを言われた」ではなく「『お前は何をやらせても駄目だ』と言われた」と書きます。気持ちは別の行に「悔しくて涙が出た」と書けば、相談のときに両方を伝えられます。
メールやチャットで届いたものは、スクリーンショットを撮るか、自分だけが見られる場所に保存しておきます。会社のパソコンの中だけに置くと、異動や退職のときに見られなくなることがあるので注意してください。なお、取引先の情報や顧客の個人情報が写り込んだ資料は、持ち出しが社内規則に触れることがあります。保存するのは、自分が受け取ったメッセージの画面や、自分で書いたメモを中心にし、迷う資料は相談の場で確かめてください。詳しい書き方はパワハラの記録の書き方と記入例、証拠の種類はパワハラの証拠集めと今日から残す記録の手順にまとめています。
記録の例:「10月23日(金)14時10分ごろ、2階会議室。課長から資料のミスについて『こんなこともできないなら辞めろ』と言われた。約20分。ドアは開いていて、△△さんが廊下にいた。その後、席に戻っても手が震えて作業ができず、16時に早退した。」
② 信頼できる人に話す
次に、ひとりで抱え込まないために、誰かに話します。最初の相手は、解決してくれる人でなくてかまいません。家族、友人、社外の知人など、安心して話せる人を選びます。
話す相手を選ぶときの目安です。
- 社内の同僚:状況を分かってもらいやすい。ただし、話が上司に伝わる可能性を考えて相手を選ぶ
- 家族・友人:気持ちを受け止めてもらいやすい。会社の事情を知らない分、結論を急がされることもある
- 公的な相談窓口:名前を言わずに話せるところもある。厚生労働省の「こころの耳」は働く人の心の悩みを聞く窓口で、パワハラに当たるかの判断はしないが、気持ちの整理には使える
同僚に話すとき、その人がその場を見ていたなら、後で証言をお願いすることになるかもしれません。今日の時点では「見ていた?」と確かめる程度にとどめ、頼み方は落ち着いてから考えます。
会社に正式に相談するかどうかは、この段階で決めなくて大丈夫です。社内と社外のどちらに相談するのが合うかはパワハラ相談はどこから?社内と社外の選び方で比べられます。
③ 心と体の状態を確かめる
最後に、自分の体の様子を確かめます。パワハラを受けた日は、自分で思っている以上に心身が疲れていることがあります。
次のどれかが当てはまるなら、休むことや受診を考えてください(日数は目安で、診断の基準ではありません)。
- 2日以上、寝つけない・夜中に何度も目が覚める
- 食欲がない、または食べても吐き気がする
- 職場のことを考えると動悸がする、涙が止まらない
- 朝、体が動かず出勤の支度ができない
体に出ているサインと受診先はパワハラによる体調不良のチェックで確かめられます。上司が怖くて出社できないときの休み方と連絡の仕方はパワハラ上司が怖い・出社できないとき:休む連絡の文例と相談する順番にあります。死にたい気持ちがあるときは、ほかのことより先に仕事がつらい・限界のときの相談先を使ってください。
急いで決めなくてよいこと・今日は避けたいこと
パワハラを受けた直後は、怒りや悲しみから大きな行動に出たくなることがあります。次のことは、今日決めなくてかまいません。
| 急がなくてよいこと | 理由 |
|---|---|
| 会社を辞めるかどうか | 記録と相談の履歴を残してからのほうが、辞めた後の選択肢が広がる |
| 会社や上司を訴えるかどうか | 手段の比較は、記録がたまってからのほうが判断しやすい |
| 上司に直接抗議するかどうか | 感情が高ぶっているときのやり取りは、記録の上で不利に見えることがある |
一方、今日は避けたいこともあります。SNSに上司の名前や会社名がわかる形で書き込むことは、名誉毀損などの問題になるおそれがあります。悔しさは、人に話すか、自分だけのノートに書いて外に出してください。
労働施策総合推進法 第31条は、職場のパワハラを防ぐ措置を会社に義務づけ、相談したことを理由とする不利益な扱いを禁じています。会社への相談は、準備ができてからでも間に合います。この先の進め方は、記録・距離・相談・異動・退職の順に並べたパワハラ上司への対処法で全体像を確かめてください。怒鳴られることが多い人は、続けて上司が怒鳴るときの対処を読むと、その場での受け流し方がわかります。
よくある質問
Q. パワハラを受けた日に、会社を早退してもいいですか?
体調が悪いなら、早退や休みを申し出ることは働く人として普通の手続きです。理由は「体調不良のため」で足ります。早退した事実と時刻も、その日の記録に書き足しておきましょう。
Q. 一度だけ強く言われた場合も、記録や相談の対象になりますか?
なります。厚生労働省のパンフレットは、強い身体的・精神的な苦痛を与える言動なら1回でも就業環境を害する場合があり得ると説明しています。回数が少ないからと記録をやめず、相談するかどうかは後で考えれば十分です。
出典・参考にした公的な情報
- 事業主が講ずべきハラスメント対策パンフレット(パワハラ指針 令和8年10月1日適用時点の本文を収録)(厚生労働省)
- 労働施策総合推進法 第31条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 刑法 第230条・第231条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- こころの耳 電話相談(厚生労働省)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。