辞めたい・退職 / 悩み整理

50代で会社を辞めたいとき:退職金・年金・再就職の確かめ方

この記事のもくじ
  1. 退職金:規程を読み、額を試算してもらい、税の仕組みを知る
  2. 年金:見込額を確かめ、繰上げ・繰下げの前に退職後の加入を決める
  3. 失業給付と健康保険:50代は日数も保険料も変わる
  4. 辞める前の確認表と、再就職の公的な窓口

50代で会社を辞めたいときは、気持ちの整理より先に、退職金・年金・失業給付・健康保険の4つを自分の条件で確かめるのが近道です。この4つは、辞める日や月の選び方で額が変わるため、辞めてから調べると取り戻せないことがあります。この記事では、確かめる順番と、再就職の公的な窓口を整理します。

仕事そのものがつらくて限界に近いときは、先に仕事がつらい・限界のときの相談先を使ってください。40代の人は40代で仕事を辞めたいときも参考になります。

退職金:規程を読み、額を試算してもらい、税の仕組みを知る

退職金は、法律で支払いが義務づけられている制度ではありません。労働基準法第89条は、退職手当の定めをする場合に、就業規則に適用される労働者の範囲、決定・計算・支払の方法、支払の時期を書くよう求めています。つまり、あなたの退職金は就業規則(退職金規程)にある条件で決まるので、まず規程を入手します。

規程で確かめる点は、次の5つです。

  1. 支給条件:勤続何年以上で支給されるか
  2. 計算式:基本給×勤続年数×係数のような定めか、ポイント制か
  3. 自己都合と会社都合の差:係数や支給率が分かれていないか
  4. 支給時期:退職後何か月以内に払われるか、一時金か年金形式か
  5. 減額・不支給の条件:懲戒解雇などの定め

規程が手元にないときは、人事・総務に閲覧を頼むか、就業規則の保管場所を聞きます。額の試算は、辞めたい日付を2〜3通り出して依頼してください。支給率が年数の区切りで変わる会社では、数か月の差が額に影響することがあります。なお、金額が思ったより少ないと言われた場合の確かめ方は、退職金がもらえない・減ると言われたらにまとめています。

税金は、退職金を一時金で受け取ると、退職所得という扱いになり、通常の給与より軽くなる仕組みがあります。国税庁の説明では、課税される額は(収入金額−退職所得控除額)×1/2で、控除額は勤続20年以下なら40万円×勤続年数(80万円に満たなければ80万円)、20年を超えるなら800万円+70万円×(勤続年数−20年)です。

勤続25年で退職金が1,500万円の場合の例を計算します(筆者の計算)。控除額は800万円+70万円×5年=1,150万円です。1,500万円−1,150万円=350万円の半分、175万円が課税対象になります。退職金の支払いを受けるまでに「退職所得の受給に関する申告書」を会社に出さないと、支払額の20.42%が源泉徴収され、確定申告で精算する形になります。なお、勤続5年以下の人などには、2分の1の計算が使えない部分がある別の扱いがあります。自分が当てはまるかは、国税庁の説明か税務署で確かめてください。

年金:見込額を確かめ、繰上げ・繰下げの前に退職後の加入を決める

50代の年金の確かめ方は、ねんきん定期便とねんきんネットから始めます。日本年金機構によると、50歳以上のねんきん定期便の見込額は、現在加入している制度に60歳まで同じ条件で加入し続けたと仮定した額です。辞めて厚生年金から外れる期間が生じると、実際の額はこれを下回る可能性があります。ねんきんネットでは、受給開始時期を変えた場合の見込額も自分で試算できます。

辞めた後は、次のどちらかに加入します。

辞めた後の状況 年金の加入 手続きの目安
厚生年金のある会社に再就職する 厚生年金(会社が手続き) 入社時
就職しない・自営・退職後に間が空く(60歳未満) 国民年金(第1号) 退職日の翌日から14日以内に市区町村へ
配偶者の扶養に入る 配偶者の加入先の基準で決まる 要件と手続きは配偶者の勤務先・年金事務所で確認

国民年金の保険料は、令和8年度で月17,920円、納付期限は翌月末日です。収入がなくなったときは、失業などによる特例免除を申請できる制度があります。免除や猶予を受けた期間は、年金額への反映が全額納付より少なくなる点を知っておきます。

受給開始時期は、原則の65歳から、繰上げ(60歳〜)と繰下げ(66歳〜75歳)を選べます。昭和37年4月2日以降生まれの人の場合、繰上げは1か月あたり0.4%減額(最大24%)、繰下げは1か月あたり0.7%増額(最大84%)で、どちらも一生変わりません。辞めた後の生活費を繰上げで補う前に、失業給付や再就職でどこまで埋められるかを先に見るほうが、後悔しにくい順番です。

失業給付と健康保険:50代は日数も保険料も変わる

雇用保険の所定給付日数は、50代では辞め方による差が大きくなります。ハローワークの表から、45歳以上60歳未満の部分を抜き出します。

区分 加入10年未満 10年以上20年未満 20年以上
自己都合 90日 120日 150日
特定受給資格者(45〜60歳未満) 1〜5年未満180日、5〜10年未満240日 270日 330日

基本手当日額の上限は、45歳以上60歳未満で9,110円です(令和8年8月1日現在。毎年8月1日に改定されるので、最新の額は失業保険の手続きの流れ:ハローワークでの求職申込みから受給までで確かめます)。勤続25年・自己都合なら150日なので、上限で計算した最大は9,110円×150日=136万6,500円です(筆者の計算)。自己都合は、待期7日のあと原則1か月の給付制限があります。

特定受給資格者になるのは、会社の倒産や解雇のほか、退職勧奨を受けた場合、上司や同僚からの嫌がらせで辞めた場合などです。早期退職優遇制度に応募して辞める場合は含まれない点に注意してください。判断するのはハローワークなので、事実を示す書類や記録を整理しておきます。

退職後の健康保険は、3つの選択肢があります。協会けんぽの任意継続は、退職日までの被保険者期間が継続して2か月以上あれば選べ、最長2年、保険料は、在職中に会社と折半していた分も含めて全額を自分で払う形になります(標準報酬月額に上限があり、額は協会けんぽの今年度の保険料率で確かめます)。国民健康保険は、市区町村で保険料が決まり、特定受給資格者などは前年の給与所得を30%として算定する軽減があります。家族の被扶養者になれるかは、加入先の基準で決まります。比較は退職後の健康保険の選び方、年金と住民税は退職後の年金・住民税の手続きで詳しく扱っています。

辞める前の確認表と、再就職の公的な窓口

辞める日を決める前に、次の表を埋めてください。

50代の辞める前の確認表
確認すること 確かめる相手・方法 済んだら記入
退職金の額と支給時期(辞める日を2〜3案で試算) 人事・総務、就業規則 /
年金見込額と、退職後の加入予定 ねんきんネット、年金事務所 /
失業給付の区分(自己都合か特定受給資格者か) ハローワーク /
退職後の健康保険 協会けんぽ、市区町村の国保窓口 /
住宅ローン・教育費の12か月分の支払い 家計の一覧表 /
有給休暇の残り日数 給与明細・勤怠 /

辞めた後には、期限のある手続きがいくつかあります。退職日を決めたら、手帳の日付に書き込んでおいてください。

手続き 期限の目安 出どころ
協会けんぽの任意継続の申出 退職日の翌日から20日以内 協会けんぽ
国民健康保険・国民年金の加入 退職日の翌日から14日以内 市区町村の窓口
失業給付の申込み 離職票が届いたら早めにハローワークへ。受給できる期間は原則、離職日の翌日から1年 ハローワーク

再就職では、労働施策総合推進法第9条が、事業主に募集・採用で年齢にかかわりなく均等な機会を与えることを求めています。ただし省令に例外があり、求人の中身を見て判断します。公的な窓口は、ハローワークの職業相談・求人紹介のほか、ハロートレーニングがあります。雇用保険を受給している人向けの離職者訓練は受講料が無料で、受給できない人向けの求職者支援訓練もあります。テキスト代などは自己負担です。

民間の転職支援サービスは、非公開求人の紹介や応募書類の相談ができる選択肢の一つです。使うなら、有料職業紹介の許可を受けた事業者か、相談内容の扱い、応募を断ったときの扱いを公式の説明で確かめてください。

辞めたい理由が職場の人間関係や言動なら、辞める前に記録を残しておくと、失業給付の区分の判断や相談の材料になります。在職中の動き方は在職中の転職の準備リスト、休職の選択肢は休職中の傷病手当金が参考になります。ここまでの確認を終えてから、次の新卒・1年目で会社を辞めたいときで扱う若い世代の動きと比べると、自分の年代で優先する点が見えてきます。

よくある質問

Q. 退職金は自己都合で辞めると減りますか?

退職金は法律で一律に決まるものではなく、会社の退職金規程や労働契約で決まります。規程に「自己都合は勤続年数に応じた係数を掛ける」といった定めがある会社もあります。辞めると決める前に、規程の支給条件と支給時期の欄を読み、人事に額の試算を依頼してください。額が減る定めがあっても、辞める時期を数か月ずらすと支給率が変わる規程もあるので、年数の区切りも見ておきます。

Q. 50代で辞めたら、年金はどのくらい減りますか?

減る額は、辞めた後に厚生年金に何年加入するかで変わるため、一律の額は言えません。ねんきん定期便の見込額は、60歳まで現在の条件で加入し続けると仮定して計算されているため、早く辞めれば下回る可能性があります。ねんきんネットで、退職後の加入状況を入れた試算を自分で試してください。

Q. 50代の再就職で、公的に使える支援はありますか?

ハローワークの職業相談と求人紹介のほか、雇用保険を受給している人向けの公共職業訓練(離職者訓練)や、受給できない人向けの求職者支援訓練があります。受講料は無料で、テキスト代などは自己負担です。対象かどうかは、最寄りのハローワークで確かめてください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

40代で仕事を辞めたいとき:転職市場・お金・家族を整理する判断表

新卒・1年目で会社を辞めたい:早期退職の判断材料と第二新卒の動き方

退職金がもらえない・減ると言われたら:規程の確かめ方

退職後の年金・住民税の手続き:辞めた月で変わる払い方