仕事に疲れた・辞めたいとき:休めば戻るのか辞めるべきかの見分け方
この記事のもくじ
仕事に疲れて辞めたいときは、まず数日まとまって休み、その間に回復するかどうかで見分けます。休めば睡眠や気分が戻る疲れなら、休み方や仕事量の調整で立て直せる余地があります。休んでも戻らない、特定の人や場所を思い浮かべるだけで体が反応する、という疲れなら、原因は職場の側にある可能性が高く、辞めることも含めて環境を変える選択肢を考える段階です。どちらか分からないまま疲れ切った頭で退職を決めると後で迷いやすいので、この記事では見分けの目安、休み方、回復の記録のつけ方、相談先の順に整理します。
「消えたい」「死にたい」と感じるほどつらいときは、見分けより先に、仕事がつらい・限界のときの相談先にある電話やLINEの窓口を使ってください。
休めば戻る疲れか、職場に原因がある疲れかを見分ける目安
疲れには、忙しさが一時的に重なってたまったものと、職場の状態そのものから生まれ続けているものがあります。前者は休むと減り、後者は休んでも職場に戻る日が近づくと元に戻ります。次の表で、自分に当てはまる側に印をつけてみてください。
| 観点 | 休めば戻る疲れのサイン | 職場に原因がありそうなサイン |
|---|---|---|
| 休日のあと | 週末に寝れば月曜は動ける | 休んでも日曜の夜から気分が沈む・眠れない |
| 疲れの期限 | 繁忙期・締切など終わりが見えている | 何か月も同じ忙しさで、終わる見通しがない |
| 体の反応 | 全身のだるさ・眠気が中心 | 特定の上司の声やメールの通知で動悸・吐き気が出る |
| 仕事以外の時間 | 趣味や食事は楽しめる | 休日も仕事のことが頭から離れない |
| 周りの様子 | 同じ部署の人も同じ時期だけ忙しい | 同じ部署で辞める人・休む人が続いている |
右の列に多く当てはまるほど、休むだけでは解決しにくい疲れです。特に「体の反応が特定の人や場面に結びついている」場合は、仕事量ではなく人間関係やパワーハラスメント(パワハラ)が疲れのもとになっていることがあります。
左の列が多い人は、辞めるかどうかを決める前に、休み方と仕事量の調整を先に試す価値があります。どちらとも言えない人は、次の見出しの方法で一度まとまって休み、回復の様子を記録してから考えると判断の材料がそろいます。
まず休む:まとまった休みを取る方法
見分けるには、1日だけの休みでは足りません。週末とつなげて3〜5日ほど続けて休むと、回復するかどうかが見えやすくなります。休みの取り方は主に次の3つです。
- 年次有給休暇を続けて取る:労働基準法第39条により、年休は労働者が請求した時季に与えるのが原則です。会社ができるのは、事業の正常な運営を妨げる場合に別の時季へ変えることまでで、理由を詳しく書く必要はありません。残りの日数は給与明細や勤怠システムで分かります。
- 体調不良として欠勤する:年休が残っていない、急に限界が来たという場合です。連絡の仕方は体調不良で仕事を休む連絡の例文にまとめています。
- 医師の判断で休職する:数週間以上休む必要がありそうなら、受診して医師に相談します。業務外の病気で働けず、給与が出ない(傷病手当金の額より少ないときは差額)ときは、健康保険の傷病手当金の対象になることがあります。要件と金額の計算は休職中の傷病手当金で確かめてください。
残業が続いて疲れている人は、会社の制度も使えます。労働安全衛生規則では、休憩を除き週40時間を超えて働いた時間が月80時間を超え、疲労の蓄積が認められる人が申し出ると、会社は医師による面接指導を行うことになっています(労働安全衛生法第66条の8、同規則第52条の2・第52条の3)。ストレスチェックで高ストレスと判定され、面接指導を申し出た場合も同じく医師の面接につながり、申出を理由とした不利益な取扱いは禁止されています(同法第66条の10)。
上司への年休の申し出の例:「疲れがたまっていて、少しまとまって休みたいと考えています。○日から○日まで、年次有給休暇を取得させてください。担当中の○○は△△さんに引き継いでおきます。」
休んだあとに確かめる:回復の記録のつけ方
休んでいる間は、気分の良し悪しを頭の中で判断するより、毎日同じ項目を短く書き残すほうが、後で見返したときに分かりやすくなります。1日1〜2分で書ける程度にします。
- 寝た時刻と起きた時刻、途中で目が覚めた回数
- 食事が普通にとれたか
- 朝の気分を0〜10の数字で
- 仕事やメールを思い出したときの体の反応(動悸・胃の痛み・涙など)
- その日にできたこと(散歩・家事・趣味など、小さなことでよい)
休みの最終日の前夜と、出勤した日の夜にも同じ項目を書いておくと、休み中との差がはっきりします。休み中に数字が上がり、出勤が近づくと急に下がるなら、疲れのもとは職場にあると見てよい材料になります。
自分の状態を別の角度から見たいときは、厚生労働省の働く人向けサイト「こころの耳」にある「5分でできる職場のストレスセルフチェック」も使えます。仕事について、最近1か月の心と体の状態、周りの人の支え、満足度の4つの区分で全57問に答える形式で、所要時間は約5分です。結果は受診や相談の目安として使い、自分で病名を当てはめることはしないでください。
眠れない・食べられない状態が続く、涙が止まらない、という場合は、記録の結果を待たずに受診してください。受診先の選び方はパワハラで心療内科を受診するときで扱っています。
職場に原因があるときに、辞める前に試せること
記録から職場の側に原因がありそうだと分かっても、すぐに退職だけが答えになるわけではありません。原因の種類によって、先に試せる手があります。
| 原因 | 先に試せること | 相談する相手 |
|---|---|---|
| 仕事量・残業 | 担当の見直しを頼む、医師の面接指導を申し出る | 上司、人事、産業医 |
| 仕事の中身が合わない | 異動の希望を出す | 人事、上司の上司 |
| 特定の人からの言動 | 記録を取り、社内外の窓口に相談する | 社内の相談窓口、労働局 |
| 職場全体の体質 | 転職の準備を在職中に始める | 家族、公的な就職支援 |
仕事量の相談は、感情より事実で伝えると話が進みやすくなります。
業務量の相談の例:「この3か月、担当が○件から○件に増え、残業が月○時間ほど続いています。体調を崩しかけているので、○○の担当を見直していただけないでしょうか。」
特定の人からの言動が疲れのもとなら、何をされたかを日付つきで残し、パワハラの相談窓口一覧から相談先を選ぶ流れになります。試せることを試しても変わらない、あるいは試す気力が残っていないときは、辞めるか休むかを比べる段階です。判断の順番は仕事を辞めたいとき最初にすること:辞める・休む・異動を比べる判断の順番、30代でキャリアと生活の両面から考えたい人は30代で会社を辞めたいときにまとめています。
気持ちを整理したいときの相談先:無料の窓口と有料のカウンセリング
疲れているときは、考えを一人で回すほど結論が極端になりがちです。誰かに話して整理する場として、まず費用のかからない公的な窓口があります。厚生労働省の「こころの耳」では、働く人とその家族が電話・LINE・メールで心の不調や仕事の悩みを相談できます。ただし、ハラスメントに当たるかの判断や法律の相談、会社への働きかけは扱っていません。使い方はこころの耳の相談とは?で確かめてください。
無料の窓口は1回の時間や受付の時間帯が限られるため、同じ相手に続けて話を聞いてもらいたい人は、有料のオンラインカウンセリングを選ぶ人もいます。申し込む前には次の点を確かめます。
- カウンセラーの資格:公認心理師は国家資格で、登録を受けていない人がこの名称を使うことは法律で禁じられています(公認心理師法第44条)。
- 料金:1回の料金、時間、キャンセルの期限と料金のかかり方
- 方法:ビデオ・電話・文章のどれか、同じ担当者に続けて相談できるか
- できないこと:カウンセリングは診断や治療ではなく、休職の診断書も出せません
どのサービスが自分に合うか比べたいときは、オンラインカウンセリングの選び方を参考にしてください。辞めるか残るかを、今後の働き方まで含めて整理したい人には、次に読むキャリアコーチングとは?で、有料のサポートを使う前に確かめることを紹介しています。
よくある質問
Q. 疲れて辞めたいのは、休みが足りないだけでしょうか?
休んで回復するかどうかで見分けられます。3〜5日ほどまとまって休み、睡眠や食欲、仕事を思い出したときの体の反応が戻るなら、休み不足の面が大きいと考えられます。休んでも戻らない、出勤の前夜にまた悪くなる場合は、仕事の量や人間関係など職場側の原因を疑って次の手を考えます。
Q. 有給休暇を「疲れたから」という理由で取ってもいいですか?
年次有給休暇は、労働者が請求した時季に与えるのが原則で、使い道を会社に説明する決まりは労働基準法にありません。会社ができるのは、事業の正常な運営を妨げる場合に別の日へ変えてもらうことまでです。申請の様式や締切は職場の規程に合わせてください。
Q. カウンセリングを受ければ、辞めるかどうか決めてもらえますか?
カウンセリングは、気持ちや考えを話しながら整理する場で、辞めるかどうかを決めてくれる場ではありません。病気の診断や治療もしません。眠れない・食べられない状態が続くときは、カウンセリングより先に医療機関を受診してください。
出典・参考にした公的な情報
- 労働基準法 第39条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 労働安全衛生法 第66条の8・第66条の10(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 労働安全衛生規則 第52条の2・第52条の3(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 5分でできる職場のストレスセルフチェック(こころの耳)(厚生労働省)
- こころの耳 電話相談(対象・相談できないこと)(厚生労働省)
- 傷病手当金について(全国健康保険協会(協会けんぽ))
- 公認心理師法 第2条・第44条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。