休職と復職 / 悩み整理

うつで休職を繰り返すとき:再休職を防ぐための見直し点

この記事のもくじ
  1. うつで休職を繰り返すときに、最初に確かめる3つのこと
  2. 再休職の扱い:就業規則の通算規定を読む
  3. 傷病手当金は通算1年6か月:残りの期間を見積もる
  4. 前回の復職を振り返る:見直しのチェックリスト
  5. 環境を変える選択肢:異動・労災・退職

うつや適応障害で復職したのに、またつらくなってきたときは、「自分が弱いから」と考える前に、前回の復職の進め方と職場の条件のどこに無理があったかを見直します。 厚生労働省の職場復帰支援の手引きも、復職後のフォローアップを独立した第5ステップに置いています。あわせて、再休職のときは、就業規則の休職期間の通算と、傷病手当金の通算1年6か月という2つの「残り時間」を先に確かめておくと、次の判断で慌てずにすみます。死にたい気持ちがある、眠れない日が続くといった強い不調があるときは、仕事がつらい・限界のときの相談先の窓口をすぐに使ってください。

うつで休職を繰り返すときに、最初に確かめる3つのこと

またつらくなってきたと感じたら、休むかどうかを決める前に、次の3つを確かめます。

  1. 主治医の見立て。 今の状態が、前回の休職前と比べてどうか。休むべきか、勤務を軽くして続けられるか。早めに受診して、出勤している日の様子をそのまま伝えます。
  2. 休職期間の残り。 就業規則で、再び休職するときに前の期間と通算されるか、満了日はいつになるか。
  3. 傷病手当金の残り。 前回いつから支給を受け、どれだけの期間受け取ったか。同じ病気なら、残りの期間だけになります。
早見表:再休職のときに確かめる2つの「残り時間」
休職期間 傷病手当金の支給期間
決めるもの 会社の就業規則 健康保険法99条4項
再休職のときの数え方 通算するか、どの条件で通算するかは規程しだい 同じ病気なら、支給を始めた日から通算して1年6か月
確かめる先 人事、就業規則の休職の条文 加入している健康保険、支給決定の通知
切れたとき 規程により退職などの扱い 同じ病気については支給が終わる

この2つは別々に数えるので、どちらか一方だけが先に切れることがあります。休職期間がまだあるのに手当金が残り少ない、またはその逆、という状態を早めに把握しておくと、復職・延長・退職のどれを選ぶかを考える時間が取れます。

再休職の扱い:就業規則の通算規定を読む

休職制度は法律で決まっているものではなく、会社が就業規則で定める仕組みです。厚生労働省のモデル就業規則も、業務外の病気による休職期間を「○年以内」と空欄にしていて、長さは会社ごとに決めるものとしています。再休職のときに前の休職と期間を合わせて数えるかどうかも、それぞれの会社の規程で決まります。

休職の条文を読むときは、次の項目を探します。

探す項目 書かれ方の例 自分への影響
期間の通算 「復職後○か月以内に同一または類似の事由で休職したときは、前後の期間を通算する」 通算されると、残りの休職期間が短くなる
休職に入る条件 「欠勤が○日を超えたとき」 再休職の前に欠勤の期間が必要なことがある
満了時の扱い 「休職期間が満了しても復職できないときは退職とする」 満了日が退職日になる形がある
復職の条件 「休職事由が消滅したとき」「会社が指定する医師の意見を聞く」 再度の復職の手続き

「同一または類似の事由」と書かれている場合、前回が適応障害で今回がうつ病というように病名が違っても、通算の対象になることがあります。自分の場合にどう扱われるかは、条文の写しをもらったうえで人事に書面で確かめます。満了時の扱いの読み方は休職中に解雇される?休職期間満了による退職の扱いで、延長の申し出のしかたは適応障害の休職を延長したいときで扱っています。

文例(人事へのメール):「体調が再び悪くなり、主治医と相談しています。もう一度休職する場合に、前回の休職期間と通算されるか、通算される場合の満了日がいつになるかを教えていただけますでしょうか。該当する就業規則の条文の写しもいただけますと助かります。」

傷病手当金は通算1年6か月:残りの期間を見積もる

傷病手当金の支給期間は、健康保険法99条4項で「同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病」について、支給を始めた日から「通算して」1年6か月と決まっています。復職して給与が出ている間は支給されないので、その期間は1年6か月に数えず、再び休んだときに残りの期間を受け取る仕組みです。

筆者の計算の例:2025年11月1日から傷病手当金の支給を受け、2026年4月30日まで6か月休んだあと、5月から復職したとします。10月に同じ病気で再び休み、支給の条件を満たした場合、受け取れるのは1年6か月から6か月を引いた、残りおよそ1年分です。実際の残りの日数は、加入している健康保険が支給した日を数えて決めるので、支給決定の通知を手元に置いて問い合わせます。

再休職のときに気をつけたいのは、次の2点です。

  • 同じ病気かどうかは健康保険が判断する。 前回と病名が違っても、前の病気から生じたものと扱われれば通算されます。
  • 退職後の継続給付とは条件が違う。 協会けんぽは、退職後にいったん仕事に就ける状態になった場合、その後に再び就けなくなっても支給されないとしています。復職して働いた後に退職すると、在職中のように「残りを後で受け取る」ことはできません。

金額の計算や申請のしかたは休職中の傷病手当金:受け取る条件・金額の計算・期間にまとめています。手当金の残りが少ない場合は、休み方を決める前に、生活費の見通しも立てておきます。

前回の復職を振り返る:見直しのチェックリスト

同じことを繰り返さないために、前回の復職を項目ごとに振り返ります。当てはまるものに印をつけ、主治医と産業医の面談に持っていきます。

  • 主治医の「復職可能」が、日常生活ができるという意味だったのか、仕事の負荷に耐えられるという意味だったのかを確かめないまま戻った
  • 戻る前に、決まった時間に起きて外出する生活を、何週間か続けられていなかった
  • 試し出勤や短時間勤務など、段階を踏まずにいきなり元の勤務時間で戻った
  • 残業の制限などの配慮に期限がなく、いつの間にか元の働き方に戻っていた
  • パワハラをした人と同じ指示系統のまま戻った
  • 復職後のフォロー面談がなく、つらさを伝える場がなかった
  • 通院や治療の方針を、主治医と相談せずに変えた
  • 帰宅後の疲れや睡眠の様子を記録しておらず、崩れ始めに気づけなかった

手引きは、主治医の判断は日常生活の回復の程度によることが多く、職場で求められる仕事ができるところまで回復しているとは限らない、と書いています。前回、復職の時期を急いだと感じるなら、今回は戻る前の準備期間を長めに取る、試し出勤の制度を使う、といった進め方を主治医と相談します。試し出勤のしくみはリハビリ出勤(試し出勤)とはで説明しています。

会社の外で戻る準備をする方法もあります。高齢・障害・求職者雇用支援機構の地域障害者職業センターが行う「リワーク支援」は、休職中の人を対象とし、主治医が職場復帰に向けた活動を始めてよいと了解していることを条件にしています。休職中の生活の整え方は適応障害の休職中の過ごし方も参考になります。

環境を変える選択肢:異動・労災・退職

チェックリストで「職場の条件」に印が多くついたなら、本人の努力より、戻る先の環境を変えることを考えます。手引きは「まずは元の職場への復帰」を原則としながら、職場の要因と本人の要因が合わない可能性がある場合などは、配置転換や異動の必要性を検討する必要があるとしています。

選択肢 向いている場合 詳しい記事
異動・配置の配慮を求める 仕事は続けたいが、上司や部署が負担 パワハラ上司がいる職場に復職するとき
労災の請求を考える 発症や悪化の原因が、パワハラなど仕事にある パワハラの休職は傷病手当金と労災のどちら?
退職・転職を考える 会社の対応に期待できない、働き方を変えたい 復職したくないときの選択肢

パワハラが原因で病気になったと考えるなら、労災の請求も選択肢に入ります。労働基準法19条は、業務上の病気の療養のために休業する期間とその後30日間の解雇を禁じていますが、私傷病の休職はこの対象ではありません。労災と認められるかを判断するのは労働基準監督署なので、認定の要件はパワハラによる精神障害の労災認定で確かめてください。

休職を繰り返していると、「また迷惑をかけた」と自分を責めがちです。けれども、繰り返したことは、前回の戻り方や職場の条件を見直す材料でもあります。次に戻るときの条件を言葉にして、主治医・産業医・人事と共有するところから始めてください。

よくある質問

Q. 休職を繰り返すと、解雇や退職になりますか?

休職を繰り返したこと自体で直ちに辞めさせられるわけではありませんが、就業規則に前の休職期間と通算する定めがあると、残りの休職期間が短くなり、満了による退職が早く来ることがあります。まず規程の通算の条文と、自分の満了日を人事に書面で確かめてください。

Q. 再休職のとき、傷病手当金はまた1年6か月もらえますか?

同じ病気やそこから生じた病気なら、前回の支給の続きとして通算され、残りの期間だけです。別の病気と扱われれば別に数えますが、同じ病気かどうかは加入している健康保険が判断します。支給決定の通知で前回の支給期間を確かめておくと、残りを見積もれます。

Q. 復職してすぐに、またつらくなってきました。すぐ休んでもいいですか?

早めに主治医を受診して、今の状態を伝えてください。休むかどうかは主治医の判断を踏まえて決めますが、悪くなってからより、崩れ始めの段階で相談したほうが、休む期間が短くてすむこともあります。死にたい気持ちがあるときや眠れない日が続くときは、相談先の記事の窓口を使ってください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

パワハラ休職からの復職:主治医・産業医・会社と進める流れ

リハビリ出勤(試し出勤)とは:復職前に確かめたい賃金と労災の扱い

適応障害の休職中の過ごし方:回復の段階ごとにしていいこと

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