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公務員のパワハラ相談先と対処:人事院・人事委員会など民間と違う窓口

この記事のもくじ
  1. まず自分の立場を分ける:公務員のパワハラは立場で窓口が変わる
  2. 公務員が民間の窓口で使えないもの・使えるもの
  3. 動く順番:記録→所属の窓口→外の窓口→制度の申立て
  4. 相談に使える窓口と、それぞれができること・できないこと
  5. 組織が動かないとき・立場が特別なとき
  6. 公務員のパワハラ相談で、最初の一週間にすること

公務員のパワハラは、民間の会社員が使う総合労働相談コーナーや労働局のあっせんの対象になりません。一般職の国家公務員は人事院規則10-16を根拠に、所属府省の相談員か人事院へ。地方公務員は、所属の相談窓口か、人事委員会・公平委員会へ。 公立学校の教員は教育委員会の窓口も加わります。この記事では、まず自分の立場の見分け方、次に民間と何が違うか、最後に動く順番を整理します。

まず自分の立場を分ける:公務員のパワハラは立場で窓口が変わる

「公務員」とひとくくりにされますが、パワハラを防ぐ決まりも相談先も、立場で分かれています。最初に次の表で自分がどれに当たるかを確かめてください。

早見表:立場ごとの根拠と最初の相談先
立場 パワハラ防止の根拠 最初の相談先 詳しい記事
一般職の国家公務員(常勤・非常勤) 人事院規則10-16 所属府省の相談員、人事院の苦情相談 国家公務員のパワハラ
地方公務員(市役所・県庁・会計年度任用職員など) 労働施策総合推進法の措置義務(第31条〜第34条)と自治体の規程 所属の相談窓口、人事委員会・公平委員会 地方公務員のパワハラ
公立学校の教員 地方公務員と同じ(任命権者は教育委員会) 校長、教育委員会、人事委員会 教師のパワハラ
自衛官など防衛省の職員(特別職) 人事院の制度の対象外 防衛省・自衛隊の部内窓口 自衛隊のパワハラ
私立学校の教員、民間の委託先の職員 民間と同じ 総合労働相談コーナーなど パワハラの相談窓口一覧

地方公務員には、公立の小中学校や高校の教員、警察官、消防職員も含まれます。市町村立の小中学校の教員は市町村の職員というイメージを持ちやすいのですが、任命するのは都道府県の教育委員会です(地方教育行政法第37条)。退職や休職の手続きの窓口がどこになるかは、この任命権者で決まります。

私立学校の教員は公務員ではなく民間の労働者です。窓口はパワハラの相談窓口一覧:電話番号・受付時間・できることの早見表にまとめています。

公務員が民間の窓口で使えないもの・使えるもの

厚生労働省の相談窓口の案内は、国家公務員と地方公務員の相談は、総合労働相談コーナーと都道府県労働委員会では扱っていないと説明しています。例外は、行政執行法人の職員、地方公営企業の職員、特定地方独立行政法人の職員、技能労務職員です。この人たちは、職場のいじめ・嫌がらせなど勤務条件の相談を、総合労働相談コーナーと都道府県労働委員会で受けられます。ただし任用、分限、懲戒、服務、賠償などの相談は扱われません。

法律の面では、次の三つを分けて覚えておくと混乱しません。

  1. パワハラの措置義務(労働施策総合推進法の第31条〜第34条)。 一般職の国家公務員、裁判所職員、国会職員、自衛隊員には適用されません(同法第48条)。地方公務員は適用除外に入っていません。
  2. 労働局長の援助や調停(同法の紛争解決の特例)。 国家公務員にも地方公務員にも適用されません(同法第48条)。
  3. 労働局のあっせんと助言・指導(個別労働関係紛争解決促進法)。 国家公務員と地方公務員には適用されません。ただし、行政執行法人の職員や地方公営企業の企業職員などは例外です(同法第22条)。

つまり、公務員は「労働局に申し立てて、会社に指導してもらう」道が使えません。その代わりに、公務員だけが使える制度があります。人事院への苦情相談と行政措置要求(国家公務員)、人事委員会・公平委員会への苦情相談と措置要求(地方公務員)、不利益処分の審査請求、公務災害の補償です。

国の側の規則は、人事院規則10-16(令和2年人事院規則10-16、2020年6月1日施行)が出発点です。定義は、職務に関する優越的な関係を背景とした、業務上必要かつ相当な範囲を超える言動で、職員に精神的・身体的な苦痛を与えたり、人格や尊厳を害したり、勤務環境を害したりするものです。民間の「就業環境が害される」より言い回しが広く、苦痛、人格・尊厳、勤務環境のどれかに当たれば足りる書き方になっています。

動く順番:記録→所属の窓口→外の窓口→制度の申立て

公務員の場合も、動き方の骨組みは民間と変わりません。違うのは、2段目以降の行き先です。

  1. 記録を残す。 日時、場所、言われたこと・されたこと、その場にいた人、体調の変化を残します。手順はパワハラの記録の書き方:日時・言葉・場所・目撃者を残す記入例つきにあります。人事院も、相談前に日時・内容の記録、当事者との関係、証拠の有無、求める対応を整理しておくよう案内しています。
  2. 所属の相談窓口か人事担当に相談する。 人事院規則10-16は、各府省に複数の相談員を置き、相談者が希望する性別の相談員が対応できるよう努めることを求めています。地方公務員も、自治体ごとにハラスメント相談窓口を設けています。加害者が窓口の近くにいる場合は、別の部署や外部の窓口を選べるか、最初に聞いておきます。
  3. 外の公的な窓口に相談する。 国家公務員は人事院の苦情相談、地方公務員は人事委員会・公平委員会の苦情処理です。所属の窓口で動いてもらえなかった場合や、所属に話しづらい場合の選択肢になります。
  4. 制度の申立てを考える。 勤務条件の改善を求める措置要求、自分が受けた不利益処分への審査請求があります。損害賠償や謝罪を求めるなら、民間と同じく弁護士に相談する領域です。
  5. 体調に合わせて休む・辞める・補償を考える。 病気休暇や休職の制度は公務員がパワハラで休職するとき:病気休暇と休職の違い・給与・傷病手当金、辞職の手続きは公務員がパワハラで退職するとき:辞職願の出し方と承認の流れ、精神疾患の補償は公務員のパワハラ労災は公務災害:地方・国家公務員の申請先で扱っています。

動くと決める前に、その段階の最悪の場面と、自分が取りうる次の手を一枚の紙に書き出しておくと、相談員に伝えやすくなります。文例を一つ置きます。

文例:「所属の上司から、ここ3か月、会議で人格を否定する発言を受けています。日付と内容は記録しています。まず、この相談を人事担当や上司に伝えるかどうかを、私が決めたいです。伝える範囲を先に教えてください。」

相談に使える窓口と、それぞれができること・できないこと

国家公務員の人事院の苦情相談では、職員相談員が助言のほか、関係者への指導やあっせん、必要に応じた事情聴取などの調査ができます。一方で、異動や昇格、他の職員の懲戒といった任命権者の裁量に属することの実施を求めること、損害賠償、謝罪の要求は相談の対象外です。ハラスメントの事案は、所属府省が調査して認定するのが基本です。詳しい手順は国家公務員のパワハラ:人事院規則10-16と人事院への苦情相談で説明します。

地方公務員の人事委員会・公平委員会は、地方公務員法第8条で、勤務条件の措置要求の審査、不利益処分への審査請求の裁決、そして職員の苦情の処理を担います。人事委員会は都道府県と指定都市に置かれ、人口15万以上の市と特別区は人事委員会か公平委員会、それ未満の市町村は公平委員会です(同法第7条)。自分の自治体がどれに当たるかは、自治体のサイトで確かめられます。具体的な使い方は地方公務員のパワハラ:人事委員会・公平委員会への相談と措置要求にまとめています。

数字で見ると、利用はどちらも小さくありません。人事院の苦情相談は令和7年度に1,431件で、そのうち「パワー・ハラスメント、いじめ・嫌がらせ」が450件、約3割を占めました(人事院の令和7年度年次報告書)。地方公務員の人事委員会・公平委員会などの苦情処理でも、パワハラが内容別で最多です。件数と処理結果の内訳は地方公務員のパワハラ:人事委員会・公平委員会への相談と措置要求にまとめています。窓口は、パワハラの相談を受ける場所として実際に使われています。

ただし、相談すれば加害者が処分される、という仕組みではありません。処分を決めるのは任命権者で、被害者が処分を請求する制度ではないからです。加害者の処分の基準は公務員のパワハラは懲戒処分になる?停職・減給・戒告の標準例と令和7年の件数で扱います。

組織が動かないとき・立場が特別なとき

窓口に相談しても動かない、相談そのものがしにくい、という場合の道筋は公務員のパワハラで泣き寝入りしない:所属が動かないとき外に出せる3つの手段にまとめています。立場が特別な人は、次の記事から入ってください。

つらさが強くて眠れない、仕事に行こうとすると体が動かないといった状態のときは、制度の手続きより先に、休むことと受診を優先してかまいません。電話で話を聞いてもらえる窓口は仕事がつらい・限界のときの相談先:電話・LINEの窓口と受付時間にあります。身の危険があるときは、職場での暴力や脅しとして警察に相談できます。

公務員以外の立場の方へ

ここまでは公務員の窓口の話です。同じ職場に、民間の立場の人が混ざっていることもあります。民間の窓口を使う立場の方は、次の記事から入ってください。

公務員のパワハラ相談で、最初の一週間にすること

最後に、最初の一週間でできることを並べます。全部を一度にやる必要はありません。

  • 自分の立場(国・地方・教員・防衛省)を表で確かめる。
  • この三か月に起きたことを、日付つきで書き出す。
  • 所属の相談窓口と、人事院や人事委員会・公平委員会の案内ページをブックマークする。
  • 相談の際に「誰に、どこまで伝えてよいか」を最初に確認する、と決めておく。
  • 通院が必要な体調なら、先に受診する。診断書の取り方はパワハラで診断書をもらうには:受診で伝えることと証拠としての使い方が参考になる。

窓口の電話番号や受付時間は変わるため、各機関の案内ページで最新のものを確かめてから連絡してください。

よくある質問

Q. 公務員でも、労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談できますか?

厚生労働省の相談窓口の案内では、国家公務員と地方公務員の相談は総合労働相談コーナーでは扱っていないと書かれています。労働局のあっせんや調停も、法律で公務員には適用しないと定められています。公務員は、人事院、所属の人事担当、人事委員会・公平委員会、教育委員会といった別の窓口を使います。なお、非現業の地方公務員が受ける労働基準法上の監督は、労働基準監督署ではなく人事委員会(置かない団体は首長)が行います(地方公務員法第58条第5項)。

Q. 相談したことは、上司や加害者に知られますか?

人事院は、ハラスメントの相談を原則として本人の了承なく人事当局に伝えないと案内しています。ただし自傷のおそれがあるなどの緊急時は例外です。所属の相談員や人事委員会に相談する場合も、最初に「誰にどこまで伝えてよいか」を口頭で確かめておくと安心です。

Q. 会計年度任用職員や非常勤でも、同じ窓口を使えますか?

総務省は令和7年度の調査の通知で、会計年度任用職員や教育職員、警察・消防職員も、措置要求や苦情処理などの制度の対象であることを周知するよう求めています。一般職の国家公務員は、常勤・非常勤を問わず人事院の行政措置要求の対象になります。自分の任用の形を人事担当に聞いて確かめてください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

国家公務員のパワハラ:人事院規則10-16と人事院への苦情相談

地方公務員のパワハラ:人事委員会・公平委員会への相談と措置要求

公務員のパワハラで泣き寝入りしない:所属が動かないとき外に出せる3つの手段

パワハラの相談窓口一覧:電話番号・受付時間・できることの早見表