ハラスメントの種類 / 基本ガイド

職場のハラスメントの種類一覧:パワハラ・セクハラ・マタハラ・カスハラの違い

この記事のもくじ
  1. 職場のハラスメントは「法律で会社に義務があるもの」とそれ以外に分かれる
  2. 種類ごとの定義のポイントと、詳しく読む記事
  3. 法律上の名前がないハラスメント:モラハラ・ジタハラ・アカハラなど
  4. 種類によって変わる相談先
  5. 種類ごとの詳しい記事:読む順番
  6. 迷ったときの整理の順番

職場のハラスメントは、種類ごとに根拠になる法律と相談先が違います。大きく分けると、法律で会社に防止の措置が義務づけられているもの(パワハラ・セクハラ・カスハラ・就活セクハラ・マタハラ・育児休業等のハラスメント)と、法律上の名前がないもの(モラハラ・ジタハラ・アカハラなど)の2つです。後者でも、中身によってはパワハラなどとして扱われます。この記事では、今受けている嫌なことがどの種類に近いかを見つけ、相談先を選ぶところまでを一覧でたどれるようにしました。

職場のハラスメントは「法律で会社に義務があるもの」とそれ以外に分かれる

まず、法律に根拠がある種類です。どれも「行為者を罰する法律」ではなく、会社(事業主)に、相談体制の整備などの雇用管理上の措置を義務づける法律だという点が共通しています。2026年10月1日からは、カスハラと就活セクハラの対策もすべての事業主の義務になりました。

一覧:法律で会社に措置義務があるハラスメント
種類 根拠の法律(現行の条) どんな言動か(要点) 主な社外の相談先
パワーハラスメント(パワハラ) 労働施策総合推進法31条 優越的な関係を背景に、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動で、就業環境が害されるもの 雇用環境・均等部(室)、総合労働相談コーナー
カスタマーハラスメント(カスハラ) 同法33条(2026年10月1日施行) 顧客・取引先・施設利用者などの言動で、社会通念上許容される範囲を超え、就業環境が害されるもの 雇用環境・均等部(室)
セクシュアルハラスメント(セクハラ) 男女雇用機会均等法11条 性的な言動への対応で不利益を受ける(対価型)、性的な言動で就業環境が害される(環境型) 雇用環境・均等部(室)
求職者等へのセクハラ(就活セクハラ) 均等法13条(2026年10月1日施行) 会社の社員による性的な言動で、面接・説明会・インターンシップなどの求職活動が妨げられるもの 雇用環境・均等部(室)、学校のキャリアセンター
妊娠・出産等に関するハラスメント(マタハラ) 均等法15条 妊娠・出産や、産前休業などの制度の利用に関する上司・同僚の言動で就業環境が害されるもの 雇用環境・均等部(室)
育児休業・介護休業等に関するハラスメント(パタハラ・ケアハラを含む) 育児・介護休業法25条 育児休業・介護休業などの制度の利用に関する言動で就業環境が害されるもの。男女とも対象 雇用環境・均等部(室)

雇われていないフリーランスの人にも、別の法律があります。いわゆるフリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)14条は、業務を委託する事業者に、委託先のフリーランスに対するセクハラ、妊娠・出産に関する言動、優越的な関係を背景とした言動による就業環境の侵害を防ぐ体制整備などの措置を求めています。相談先はフリーランスのハラスメント相談先にまとめています。

種類ごとの定義のポイントと、詳しく読む記事

表だけでは分かりにくい点を、種類ごとに補います。どれも、当てはまるかは個々の事情で判断されるもので、記事で結論を出すことはできません。近い種類を見つけたら、それぞれの記事で指針の例を確かめてください。

パワハラ:3要素をすべて満たすもの

パワハラ指針は、①優越的な関係を背景とした言動で、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③就業環境が害されるもの、の3つをすべて満たすものとしています。優越的な関係は上司に限らず、業務に必要な知識を持つ同僚や、抵抗しにくい同僚の集団も含みます。客観的にみて業務上必要かつ相当な範囲の指導は当たりません。3要素と6類型はパワハラとは:3要素と6類型で整理しています。

セクハラ・就活セクハラ:性別や立場を問わない

セクハラ指針は、同性に対するものも含み、被害を受けた人の性的指向やジェンダーアイデンティティにかかわらず対象としています。行為者も上司や同僚に限らず、取引先や顧客がなることもあります。基本はセクハラとは:対価型・環境型で、就職活動中の被害は就活セクハラとはで扱っています。

カスハラ:正当なクレームとの線引きがある

カスハラ指針は、苦情のすべてがカスハラになるわけではなく、社会通念上許容される範囲の申入れは当たらないとしています。対面だけでなく、電話やSNSなどのインターネット上の言動も含みます。定義はカスハラとは:定義と会社の措置義務で、苦情との違いはカスハラとクレームの違いで確かめられます。会社に何を求められるかはカスハラ対策義務化で会社は何をするにあります。

マタハラ・育休等のハラスメント:制度の利用と状態への嫌がらせ

マタハラは「制度等の利用への嫌がらせ型」と「状態への嫌がらせ型」に分けて説明されます。業務分担や安全配慮の観点から、客観的にみて業務上の必要性に基づく言動は当たりません。型ごとの例はマタハラとはに、男性の育休取得を妨げる言動はパタハラとはに、介護の制度の利用への嫌がらせはケアハラとはにまとめています。妊娠中や育休明けの具体的な場面は育休明けのマタハラにあります。

法律上の名前がないハラスメント:モラハラ・ジタハラ・アカハラなど

日常でよく使われる「〇〇ハラ」の多くは、法律や指針の用語ではありません。ただ、名前がないから相談できないわけではなく、中身が上の表のどれかに当てはまれば、その種類として扱われます。いじめ・嫌がらせの対処は職場の嫌がらせへの対処、チェックは職場のモラハラチェックリストも使えます。

呼び名 指すことが多い言動 近い法律上の種類・指針の例 詳しい記事
モラハラ 言葉や態度で相手を傷つけ、精神的に追い詰める 3要素を満たせばパワハラ(精神的な攻撃・人間関係からの切り離しなど) 職場のモラハラとは
いじめ・嫌がらせ 無視、陰口、仕事を回さない、物を隠す パワハラに当たりうる。当たらなくても労働局のあっせんの対象になりうる 職場のいじめへの対処法
ジタハラ(時短ハラスメント) 仕事量を減らさないまま、早く帰るよう求める 過大な要求などパワハラの類型に近い場合がある ジタハラとは
アカハラ 大学などで、教員の立場を背景に学生や研究者が受ける嫌がらせ 大学に雇われている教職員なら、3要素に当てはまればパワハラとして扱われうる。学生は大学の相談窓口が中心 アカハラとは
SOGIハラ 性的指向・性自認に関する侮辱、本人の了解のない暴露(アウティング) パワハラ指針の精神的な攻撃・個の侵害の例に明記 SOGIハラとは
オワハラ 内定承諾や他社の選考辞退を迫る 求職者への言動。パワハラ指針は、求職者などへの言動にも方針を示すことを望ましい取組としている オワハラとは
逆パワハラ 部下や後輩からの嫌がらせ 部下の集団など、優越的な関係があればパワハラ 逆パワハラとは

パワハラとモラハラの違いをひと言でいえば、パワハラは法律と指針で定義された言葉、モラハラは定義のない日常の言葉です。職場のモラハラの多くはパワハラの類型と重なりますが、指針の3要素に当てはまるかどうかで、会社の措置義務の対象になるかが変わります。

種類によって変わる相談先

社内では、まず会社の相談窓口か人事に相談します。会社には、上の表のどの種類でも、相談に応じて事実を確認し、被害者への配慮や再発防止をとる措置が求められていて、相談したことを理由とする不利益な取扱いは禁じられています。

社外の公的な窓口は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)がセクハラ・マタハラ・育休等・カスハラ・パワハラの相談を受けていて、パワハラは総合労働相談コーナーでも受け付けています。相談の先には、労働局長による助言・指導・勧告や、紛争調整委員会による調停という手続があります。パワハラの3要素に当たるか分からないいじめ・嫌がらせは、総合労働相談コーナーから、助言・指導やあっせんに進む道があります。窓口の番号と受付時間はパワハラの相談窓口一覧にまとめています。

例外もあります。公務員は、労働局の助言・指導や調停を使えず(労働施策総合推進法48条)、国家公務員は人事院や所属府省の人事担当、地方公務員は人事委員会(公平委員会)、公立学校の教員は教育委員会が相談先になります。詳しくは公務員のパワハラ相談先で説明しています。

種類ごとの詳しい記事:読む順番

当てはまりそうな種類が見つかったら、その種類の記事を上から順に読むと、定義から手順、深掘りまでたどれます。

迷ったときの整理の順番

どの種類に当たるか分からないときは、次の順で書き出すと、相談の場で説明しやすくなります。

  1. 何をされたか:言われた言葉、されたことを、日時と一緒にそのまま書く。
  2. 誰からか:上司・同僚・部下・役員・顧客・取引先のどれか。
  3. 何に関する言動か:性的な内容か、妊娠・出産や育児・介護の制度の利用に関することか、仕事の指示や評価に関することか。
  4. どんな影響が出たか:仕事が止まった、評価が下がった、体調を崩したなど。
  5. 会社にしてほしいこと:事実確認、配置の見直し、再発防止など。

2で「顧客・取引先」ならカスハラ、3で「性的な内容」ならセクハラ、「妊娠・出産や制度の利用」ならマタハラや育休等のハラスメントに近く、それ以外の職場内の言動はパワハラの3要素で整理するのが基本の流れです。いくつかが重なっていても問題ありません。パワハラとセクハラで法律と会社の義務がどう違うかはセクハラとパワハラの違いで比べています。記録の残し方はパワハラの証拠集めと記録の手順を参考にしてください。

身の危険を感じる暴力や性暴力、眠れない・食べられないといった心身の限界のサインがあるときは、種類の整理より先に、身の安全と体を守ることを優先します。性暴力を受けたときの24時間の窓口は職場で性暴力を受けたらに、今すぐ話を聞いてほしいときの窓口は仕事がつらい・限界のときの相談先にまとめています。

よくある質問

Q. 1つの出来事が、いくつものハラスメントに当たることはありますか?

あります。上司が部下の妊娠について人前で人格を否定する言い方をした場合のように、マタハラとパワハラの両方の面を持つ出来事もあります。相談の窓口では、どの種類に当たるかを相談者が決めておく必要はありません。何があったかを時系列で伝えれば、窓口がどの法律の手続を使えるかを整理してくれます。

Q. モラハラは法律上のハラスメントではないので、会社に相談しても無駄ですか?

無駄ではありません。モラハラと呼ばれる言動でも、パワハラ指針の3要素に当てはまればパワハラとして会社の措置義務の対象になります。当てはまるか迷う場合も、指針は会社の相談窓口に、該当するか微妙な場合も広く相談に応じるよう求めています。違いの整理は[職場のモラハラとは](/moraharas-shokuba/)で扱っています。

Q. 会社の相談窓口は、ハラスメントの種類ごとに分かれているのですか?

会社によります。パワハラ指針は、パワハラ・セクハラ・マタハラなどの相談を一元的に受け付ける体制を、会社が取り組むことが望ましいものとして挙げています。窓口が分かれている会社でも、どこに相談すればよいか分からないときは、まず人事か、社内で案内されている窓口に「どこに相談すべきか」から聞いてかまいません。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

セクハラとパワハラの違いは?法律・相談先・会社の義務を比較

職場のモラハラとは?パワハラとの違いと受けたときの整理の仕方

パワハラとは?3要素と6類型・指導との境目を指針の言葉で整理

カスハラとは?定義と2026年10月から会社に課された措置義務